「either」という英単語を見ると、「難しい」「習ったけどよく分からなかった」と思う方が多いかもしれません。
スペリングから読み方が想像しにくい単語ですし、「neither」や「too」など、紛らわしい単語と使い分ける必要があり、少し使い方が難しい単語です。
この記事では、ちょっと難しい英単語「either」の発音と意味、そして「neither」・「both」・「too」との違いについて解説します。
日常会話で使えるフレーズも紹介するので、ぜひ「either」を使いこなせるようにしましょう。
「either」の発音と品詞ごとの意味
「either」の発音
「either」は、アメリカ英語では[íːðər](イーザァ)と発音します。
カタカナで書くと「ザ」となってしまいますが、「the」の部分は、日本語の「ザ」の音(za)ではなく、舌を軽く噛んで[ðə]と発音しましょう。
また、語尾の[r]は舌を口の奥に丸めて軽く発音します。
イギリス英語では[áiðər](アイザァ)と発音します。
両方の発音とも一般的に使われるため、どちらの発音で聞こえても理解できるようにしておきましょう。
形容詞の「either」
eitherを形容詞として使う場合、肯定文や疑問文では、「どちらか一方の〜」・「どちらの〜でも」という意味で使います。
Aさん
Take either book.
訳)どちらの本をとってもいいですよ。
Aさん
Either day is OK.
訳)どちらの日でも大丈夫ですよ。
また、否定文では「どちらの〜もない」という意味になります。
Aさん
I don’t like either team.
訳)どちらのチームも好きではありません。
肯定文・疑問文・否定文のいずれの場合も、後ろに置く名詞は単数形になるので注意しましょう。
代名詞の「either」
代名詞の「either」は、「どちらか一方」・「どちらでも」という意味で使います。
代名詞はもともと、前に出てきた名詞の繰り返しを避けるために使われる表現なので、代名詞としてeitherを使う時も、前に話題になった2つのことについて「そのうちのどちらか」という意味で使います。
肯定文や疑問文では、以下のような例文で使われます。
Aさん
Either will do.
訳)どちらでもいいです。
Aさん
Can either of you help me out?
(2人のうち)どちらでもいいから手伝ってくれますか?
否定文として使う場合は、「どちらも~ない」という意味になります。
Aさん
I haven’t met either of them.
訳)彼らのどちらにも会ったことがありません。
Aさん
I haven’t read either of his novels.
訳)私は彼の小説をどちらも読んでいません。
接続詞の「either」
接続詞として「either」を使う場合は、肯定文や疑問文では「either A or B」という形で「AかBのどちらか1つ」という意味で用います。
Either you or your brother has to go there.
訳)あなた、あるいは弟さんのどちらかがそこに行かなくてはいけません。
ちなみに「either A or B」が主語になった時は、動詞の形はBに一致させるのが原則です。否定文では、「AもBも(…ない)」という意味になります。
I can’t play either the piano or the guitar.
訳)僕はピアノもギターも弾けません
副詞の「either」
副詞としての「either」は、「〜もまた(…ない)」という意味で、否定文の中で使われます。
「too」の否定バージョンと捉えておけば大丈夫です。
He doesn’t have a dog, and he doesn’t have a cat, either.
訳)彼は犬を飼っていないし、猫も飼っていない。
否定文に対して同意する時にも、文末に付ける形でよく使われます。
I don’t like tennis so much.
訳)テニスはあまり好きじゃありません。
I don’t, either.
訳)私もです
4種類の「either」まとめ
4種類のeitherを簡単な表にまとめると、以下のようになります。
形容詞 | 「どちらか一方の〜」「どちらの〜でも」 (否定文)「どちらの〜もない」 |
---|---|
代名詞 | 「どちらか一方」「どちらでも」 (否定文)「どちらも~ない」 |
接続詞 | 「AかBのどちらか」 |
副 詞 | 「〜もまた(…ない)」 |
eitherの用法については、「形容詞」・「代名詞」・「副詞(副詞的用法・接続詞的用法)」と3つに大別する場合もあります。
基本的に「2つのうちの1つについて決める」というイメージの言葉ですが、否定文の場合は「どちらでも」という意味や「両方の」という意味になるということをおさえておいてください。
似たような単語との使い分け
「either」と「neither」の違い
接続詞の「either」の使い方として、「either A or B(AかBのどちらかひとつ)」という表現を紹介しましたが、「either A or B」と合わせて覚えておきたいのが、「neither A nor B(AもBもどちらもない)」という表現です。
「either A or B」は以下のような例文で使います。
I’ll either go to Hawaii or Bali this winter.
訳)私はこの冬ハワイかバリ島に行くつもりです。
I neither like cats nor dogs.
訳)私は猫も犬も好きではありません。
また、eitherを否定文として使うと、やはり「両方を否定する表現」になるので、neitherを使った文との言い換えが可能です。
(私はどちらのチームも好きではありません)I can’t either ski or skate. = I can neither ski nor skate.
(私はスキーもスケートも両方ともできません。)
「too」と「either」の使い分け
「too」も「either」も「~もまた(…です)」という意味で使う言葉です。
使い分け方としては、
- 「too」は、「AもBも好き」と両方を肯定する場合
- 「either」は「AもBも好きではない」というように、AとBを両方とも否定する場合
というように区別します。
具体的な例文を見ていきましょう。
肯定文では、「~もまた」と言う時は、以下のように「too」を使います。
Aさん
I like spring. I like fall, too.
訳)私は春が好きです。秋も好きです。
一方、否定文で「~もまた」と言いたい時は、以下のように「not…either」を使います。
Aさん
I don’t like summer. I don’t like winter, either.
訳)私は夏は好きではありません。冬も好きではありません。
「夏も冬も好きではない」と言いたい時は、英語では「I don’t like summer. I don’t like winter, too.」とは表現しないので注意しましょう。
否定文での「either」と「both」の使い方に注意
否定文で「both」と「either」を使う場合、日本語に直訳して考えると分かりにくくなるので注意しましょう。
次の英文を比較してみてください。
I don’t like both of them.(彼らのうちどちらかが好きではない)
I don’t like either of them.(彼らのことを両方とも好きではない)
直訳してしまうと、逆の意味に捉えてしまいがちな表現です。「both」と「either」の使い分けについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「either」を使った英会話フレーズ集
「either」は基本的に2つの選択肢の中から1つを選ぶイメージの単語ですが、英会話表現で使う場合は、必ずしも選択肢を2つに限定しない場合が多いです。
「どっちでもいいよ」-Either is fine
「どっちでもいいよ」という表現は、英語でもよく使います。
Aさん
Either way is fine with me.
訳)私はどっちでも構いませんよ。
Either is OK.
訳)どっちでもいいよ。
Eitherの後に「way」はつけてもつけなくても大丈夫です。また、後ろに「with me」も、つけてもつけなくても構わないようです。
「Either is fine to me. 」や「Either is fine for me.」と言っても間違いではありませんが、「with」を使うのが無難です。
選択肢が2つの場合は、「Either A or B is fine.」という言い方もできます。
「either way」を使ったフレーズ
「either way」という表現は、日常会話の中では「いずれにしろ」「どっちみち」といった意味で使われます。
But either way it’s time to think.
訳)何はともあれ、とにかく今は考えましょう。
It could go either way.
訳)どちらに転んでもおかしくない。
また、「どっちでもいいよ」という表現は、「either way」を使うと、以下のような言い方もできます。
I don’t mind either way.
ちなみに、日本人は「気にしないで!」という意味で「Don’t mind!」と言いがちですが、「don’t mind」は「I don’t mind(私は気にしない)」の主語を省略した表現として解釈されます。
「I failed the last exam.(この前の試験落ちちゃった)」などと落ち込んでいる友人に、「ドンマイ!」という意図で「Don’t mind!」と言ってしまうと、「あなたが不合格でも私は気にしない」という意味になってしまいます。
励ましの意味にはならないので注意しましょう。
日本語の「ドンマイ」に当たる励ましの表現については以下の記事を参考にしてみてください。
「同意」の表現について
「either」は否定文に対して同意する時に使うということを紹介しました。
「私もです」と言いたい時も、「Me too.」という表現になじみがあると思いますが、相手が否定的な発言をした時に同意するためには、全く別の言い方をしなければなりません。
I don’t like dogs.
訳)犬は好きじゃありません。
Me either.
訳)私もです。
「I don’t like dogs.」と言われた時、同意するつもりで「Me too.」と言うと、「私も犬が好きです」という意味になってしまい、相手は混乱してしまうでしょう。
「私も犬は嫌いなんです」と同意したい時は、「Me either.」と答える必要があります。
「私もです」と同意する表現には、他にも「So do I.」や「Neither do I.」など様々なものがあります。
英語で相づちを打つ表現について知りたい方は次の記事も参考にしてみてください。
誤解を防ぐコツ
JohnとBobという2人について、「ボブは嫌いじゃないけど、ジョンは苦手」と言いたいとしましょう。
こういう時、「I don’t like either of them.」と言うべきか、「I don’t like both of them.」と言うべきか迷ってしまいますよね。
I don’t like both of them.
I mean I like Bob, but not John.
訳)ボブは好きだけどジョンは苦手って意味だからね。
まとめ
「either」は様々な意味のある単語ですが、基本的に「2つのうちどちらか1つ」を表す言葉だということをおさえておきましょう。
その意味が転じて「どちらでも」という意味や、否定文で「両方の」という意味を表すことがあります。
「neither」や「both」などとの使い分けが難しい単語ですが、まずは基本の意味「2つのうちどちらか1つ」をおさえましょう。
そして座学や実践を通して身に着けていくと良いでしょう。
実践で覚える時のコツですが、自分の意図を簡単な言葉で補足するよう心がけると良いでしょう。
そうすれば誤解を生むこともありませんし、むしろそういった場面を繰り返し経験することで、「either」を適切に使えるようになります。
否定文の中で使う時は、日本人の感覚と真逆になってしまう表現もあるので、戸惑うこともあるかもしれません。
しかし、英語でのコミュニケーションを円滑にするには欠かせない単語ですし、しっかり学べば英語力アップにつながります。
使い方に迷った場合は、ぜひこの記事も参考にしてみて下さい。