外資系の生命保険会社やIT業界など、インセンティブ制度を取り入れている企業があります。
ところが、英語のインセンティブにはもともとの意味があります。それはどのようなものなのでしょう?

この記事では、英語incentiveの意味や使い方、そして関連するインセンティブ制度についても紹介します。

インセンティブ制度とは

インセンティブ制度とは

まずは、インセンティブ制度について解説します。
制度の内容、メリット・デメリット、そして英語のインセンティブ制度がどうなっているかを紹介しましょう。

インセンティブ制度

インセンティブ制度とは企業が導入し、目標を達成した人が報酬として報奨金をもらえる制度です。賞与のボーナスとは異なり、報奨金は業務への貢献・勤労を評価し、さらなる努力を奨励するために贈られるお金であり、インセンティブ制度は報奨金制度とも呼ばれます。

インセンティブ制度のメリット・デメリット

インセンティブ制度を導入するメリットは、従業員や組織のモチベーション向上・活発化、承認欲求が満たされる、成果が正当に評価されやすいという点です。これらの環境が整っている企業には優秀な人材が集まる可能性が高くなります。
一方、従業員間のモチベーションに差が出る、人間関係が悪化するリスクなどがデメリットとして挙げられます。

Incentive Reward System

インセンティブ制度は英語でIncentive Reward System、またはIncentive Systemになります。Incentive Programsも同様です。

これを英語で説明すると以下になります。

Aさん
An Incentive Reward System is a structured framework implemented by organisations to motivate and reward individuals or teams for achieving specific goals, behaviours, or performance targets.
訳)インセンティブ制度とは、特定の目標、行動、業績目標を達成するために個人またはチームに対し、やる気を起こさせ、報酬を与えるために組織が実施する構造化された枠組みである。

a structured framework implemented=構造化された枠組み
文章はかたいですが、motivate(やる気にさせる)やreward(報酬を与える)といったインセンティブ制度の特徴が述べられています。

インセンティブの使い方

次に、ここではインセンティブ制度に使用されるincentiveという単語について詳しくみていきましょう。

incentiveの意味

incentiveは名詞と形容詞の意味を持っています。
カタカナ語ではインセンティヴのように発音します。

【名詞のincentive】
行動を促す「刺激・動機」
人の行動を「駆り立てるもの」
仕事などに対する「やる気」を起こさせるもの
労働意欲を高めるための「報奨金」

【形容詞のincentive】
やる気を起こさせる
出来高による・能率による

英語インセンティブには、動機・刺激・報奨金という意味があり、従業員を活動する方向に動かす上でインセンティブがビジネスで使用されることがよく分かります。
ちなみに、incentiveは「刺激する」の意味を持つラテン語incentivus、外部から与える刺激によって、やる気を起こさせる、これにもまた納得ですね。

incentiveの使い方

incentiveの意味を押さえたところで、実際の使用例をみていきます。ここでは、インセンティブ制度ではないincentiveの使い方例文を2つ紹介しましょう。

Aさん
There is no incentive for people to save petrol, because they choose the convenience to get somewhere by cars.
訳)人々は車でどこかに行く便利さを選ぶので、ガソリンを節約しようとする動機がありません。

いきなり否定文ですが、incentiveの「刺激・動機」「駆り立てるもの」をnoで否定している形です。この例文のようにThere is no incentive(何かをする動機がない)のパターンがよく使われます。逆に肯定文の場合はThere is incentiveにしましょう。
ちなみに、incentiveがポジティブなものであるのに対し、人の行動を止めるようなネガティブなことはdisincentive(ディスインセンティヴ)で表現します。

Aさん
Her incentive for studying English is great.
訳)彼女の英語学習への意欲は素晴らしいです。

行動を促す何かがあったり、駆り立てるものがあったり、それがインセンティヴです。

インセンティブとモチベーション

インセンティブとモチベーション

モチべと省略されるモチベーション、動機づけの意味で日本語としても親しみのある言葉です。インセンティブ制度のところでも「従業員や組織のモチベーション向上・活発化」とありました。では、インセンティブとの違いはどこにあるのでしょう?

incentive vs motivation

incentive
行動を望ましいものにしたり、逆に望ましくないものにしたりすることで行動を促す外部要因。

motivation
人々に行動を起こさせる内なる動機または力。

incentiveはやはり外部からの刺激というニュアンスがある一方、モチべは自発的で内部で感じる刺激、こういった違いがあります。しかし、両方の刺激や動機がマッチしたときは素晴らしい効果が期待できるのではないでしょうか?

インセンティブの具体例

ここでは、インセンティブにどのような種類があるのかをみていきます。

インセンティブ具体例を紹介

インセンティブ制度には報奨金だけでなく、リーダー職に就けるリーダー制度、成果が数値化しにくい職種のための表彰制度などもあります。

ここで、7つのインセンティブタイプを紹介します。
1. Financial Incentives
2. Non-Financial Incentives
3. Performance-Based Incentives
4. Team-Based Incentives
5. Goal-Based Incentives
6. Skill-Based Incentives
7. Recognition-Based Incentives

従業員の長所と短所に基づき、最適なインセンティブを選択することが重要です。例えば、ある企業が採用したGoal-Based Incentivesでは、顧客満足度評価、通話処理時間、問題解決率について従業員に目標を与えました。

引用:plentive “7 Types of Incentive for Your Employees”

インセンティブの意味 – ビジネス

では、ビジネスにおけるインセンティブの意味をみていきます。社員を対象として成果型の制度として、金銭、金銭以外のインセンティブが多く使われます。

インセンティブを多く稼げる業界

普段の給与とは別に支給される歩合給がインセンティブです。
インセンティブ手当を多く稼げると言われる業界には、外資系生命保険会社、独立系ファイナンシャルプランナー、不動産業界の営業、リフォーム営業などがあります。求人情報でも年棒500万円+インセンティブという記載を目にします。

例えば、アメリカ最大級の保険・金融サービス機関の生命保険会社であるプルデンシャル生命、トップセールスマンになるとインセンティブ手当を含めた年収は億を超える人もいるそうです。ちなみに、採用はヘッドハンティングのみとのこと、厳しい世界です。

なお、インセンティブには以下のようなものがあります。
incentive wages(奨励金)
incentive bonus(特別ボーナス)
incentive award(褒賞)

Appleのケース

Appleファンは世界中にいますが、Appleで働きたいと考える人も多いでしょう。Apple社は独立した思考を奨励し、従業員表彰プログラムは業績重視、業績によって報酬を獲得するシステムがあります。現金ボーナス、株式だけでなく、無料または割引の製品、休暇などの特典が含まれています。

Aさん
There’s a system at Apple for earning rewards based on employee performance.
訳)Appleには、従業員の業績に応じて報酬を得るシステムがあります。
Aさん
Apple is said to reward independent thinking.
訳)Appleは独立した思考を評価すると言われている。

評価する方法がどう確立されているかも企業の評価につながります。企業が従業員各自への投資方法を持ち、社員がwell-being、自信、満足感を体験できることがwin winとなっていくのでしょう。

「見返り」の言い換え表現2選

見返りとは、相手のしてくれたことに応えて何かをすることであり、見返りを求める、求めないという言い方をしますね。

reward

英語reward(リウォード)には、行為の結果としての「利益・うまみ」、人に「見返りを与える」という意味があります。Apple社の例文でも報酬を得るシステムでrewardsが使われていました。

Aさん
If you’re brave enough to say NO to an unfairness, life will reward you with a new situation.
訳)不公平に対しノーと言えるほどの勇気があれば、人生は新たな状況で報いてくれるだろう。

in return

「引き換えに」「~のお礼に」の意味を持つフレーズin returnも覚えると便利です。自分に見返りで何かしてもらう、相手にしてあげる、両方の使い方ができます。

Aさん
I’ll buy you a beer in return for your help to find my iPhone SIM card!
訳)iPhoneのSIMを探すの手伝ってくれたお礼にビールご馳走するよ!

見返りを期待せずにチャリティを頑張る人も多いですね。そんなときにはwithout expecting anything in returnで表現します。

まとめ

外部から与える刺激によって、やる気を起こさせるようなときに使える単語がincentiveです。この機会に、動機・刺激・報奨金の英語incentiveを使えるようにしていきましょう。

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