学校で食べるご飯を給食と呼びますが、子ども達が配膳や片付けに関わる日本独特のやり方は良い意味で外国人に驚かれることがあります。

ところで食育にもつながる給食、英語ではどのように表現するのでしょう?
そして、海外ではどのような内容の給食を食べているのかも気になりますね。

そこで、この記事では給食の英語表現や、まつわる様々なことについて紹介します。

「学校給食」の英語表現

「学校給食」の英語表現

世界中の学校で特定多数を対象に提供される学校給食。食育という言葉も関わっています。
日本でも給食があるのが当たり前かと思いきや、給食制をとっていない学校もあるようです。文部科学省によって毎年行なわれる「学校給食実施状況等調査」で全国の国公立学校をすべて調べるそうです。

学校給食の英語表現

さて、海外では学校給食をどう表現しているのか気になります。
しかし一旦知ってみれば、とても覚えやすいフレーズであることが分かります。

学校給食の英語は “school meal” や “school dinner” が一般的です。
school mealのmealには食事・食べ物に加え、決まった食事の時間という意味があります。

一方のschool dinnerをみて、昼間食べるのになぜ”dinner?”と思った人がいるのではないでしょうか?これは、20世紀初めまで、イギリスではメインの食事はランチ、夕食は簡単で軽いものであったことから、メインの食事=dinnerと呼ばれていた名残りなんですね。

school meal / school dinnerの使い方

ここで、学校給食を表すschool meal / school dinnerの使い方を例文でみていきます。

Aさん
It’s time for school meal.
訳)給食の時間だ~
Aさん
I love school dinners because everyone sits down together and chat happily while we eat.
訳)学校給食が好きなのは、みんな一緒に座って楽しくおしゃべりしながら食べるからです。
Aさん
School dinners are midday meals provided for children at school.
訳)学校給食とは、学校で子どもたちに提供される昼食のことです。
Aさん
A typical meal consists of a warm main course, vegetables, bread and a drink.
訳)典型的な食事は、温かいメインコース、野菜、パン、飲み物で成っています。

consistは「~から成る・成り立つ」「基礎とする・定義される」「一致する」といった意味を持つ動詞です。

Aさん
Nutritional standards are in place for school meals.
訳)学校給食には、栄養基準が定められています。
Aさん
A standard price for the meal package is typically £2.50.
訳)これらの食事パッケージは標準価格で通常2.50ポンドです。

2.50ポンドは、現在約416円(1ポンド166.35円換算)です。

日本の給食の特徴

日本では、小中学校で給食が提供されていることが多く、日本の給食は海外から注目され、高く評価されています。そんな日本の給食について、その特徴を見ていきましょう。

  1. 日本の学校給食は冷凍食材を使っておらず、多くの場合、学校でイチから作られています。調理作業は合理化され、衛生管理、栄養管理も調理施設で行われています。
  2. 学校給食に関する基本的な栄養基準は学校給食法で定められているが、規定が少なく、正確なカロリーの目安もないです。多くの学校では栄養士がレシピを作成し、献立の栄養バランスに十分配慮しています。
  3. コストの安さも日本の学校給食の大きな特徴と言えます。前出の2018年度文部科学省調査によると、公立小中学校の保護者が支払う給食費の平均月額は、小学校が4,343円、中学校が4,941円。
  4. 学校給食で栄養価の高い食事を安価に提供することは、子どもたちの健康に良い影響を与え、日本人の長寿や肥満率の低さにもつながっていると考えられます。
  5. 日本の給食は、生徒が自分で配膳し、ある程度後片付けをします。日本で育った人にとっては、まったく当たり前のことです。生徒の自立を促し、自主性や責任感を育てる教育法として海外からも注目されています。

Aさん
What do you think is great about the features of Japanese school lunches?
訳)日本の学校給食の特徴について、何が素晴らしいと思いますか?

Bさん
I found out that school lunches in Japan are much better than I had expected.
訳)日本の給食は、期待していたよりずっと素晴らしいことが分かりました。

Aさん
What features in particular impressed you?
訳)特にどんな特徴について、感動しましたか?

Bさん
I was impressed by the facts that a nutritionist creates the recipes of school lunch in Japan, and sufficient consideration is given to the nutritional balance of the menus.
訳)栄養士が日本の学校給食のレシピを作成し、献立の栄養バランスに十分配慮しているという事実に感動しました。

 

Aさん
Also, the low cost of school lunches in Japan is also attractive. Assuming 20 days per month, the cost per day is approximately 217 yen for elementary school and 247 yen for junior high school.
訳)日本の学校給食の低コストもまた魅力ですね。1ヶ月20日として、1日あたりのコストは小学校の場合は約217円、中学校の場合は約247円です。

高い評価を受ける日本の食育

次に、海外から高い評価を受ける日本の食育について見ていきましょう。

多くの国では、学校給食は主に福祉の一環として位置づけられていますが、日本の学校給食の最大の特徴は、教育の一環としての位置づけられています。日本では、食を通じて教育を行う「食育」の考え方が広まっています。

「食育」Shokuiku は英語で、”food and nutrition education” または “dietary education” といいます。

2005年7月、国をあげて「食」を考え、「食」の正しい知識を持ち、「食育」を通じて国民の健康を向上させる目的で「食育基本法」the Basic Act on Shokuiku (Food and Nutrition Education) が制定されました。食育は「知育、徳育、体育の基礎となる人間生活の基本」と位置づけられており、乳幼児期からの幼児教育の重要な要素となっています。

食育基本法では、主に次のようなことが定められています。

・食育は、食に関する適切な判断力を養い、生涯にわたって健全な食生活を実現することにより、国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成に資することを旨として、行われなければならない。(第2条)

・食育の推進に当たっては、国民の食生活が、自然の恩恵の上に成り立っており、また、食に関わる人々の様々な活動に支えられていることについて、感謝の念や理解が深まるよう配慮されなければならない。(第3条)

Aさん
It’s great that dietary education is positioned as “the basis of a human life which is fundamental to intellectual education, moral education, and physical education”, and is an important element of childhood education from infancy in Japan.
訳)日本では、食育は「知育、徳育、体育の基礎となる人間生活の基本」と位置付けられており、乳幼児期からの幼児教育の重要な要素となっていて、素晴らしいです。

お弁当の英語表現

本題から外れますが、お弁当を英語でどう表現するかも簡単に触れておきましょう。
お弁当は “a pack lunch” , ” a box lunch”、最近では”a bento box”なんていう言葉まで定着しています。

Aさん
My mum makes a delicious packed lunch that is Japanese style.
訳)母は日本スタイルの美味しいお弁当を作ります。

その他の給食の英語表現

その他の給食の英語表現

学校以外の場でも給食があります。企業の社員食堂、レストランスタッフのためのまかない、果ては刑務所の食堂など、食べることは生きる基本ということを感じないわけにいきません。

社員食堂・まかない・プリズンミール

食事が提供されるという意味から、企業にある食堂などの英語表現もみてみましょう。

社員食堂

福利厚生の一環として企業の社員食堂があります。一種類だけの定食スタイル、フードコートスタイルなどやり方も様々です。
英語で社員食堂は、canteen/company canteen/cafeteria/company cafeteriaです。canteenとcafeteriaの違いですが、canteenがイギリスで使われるのに対し、cafeteriaはアメリカという点になります。

これらを使って社員の食事を表してみます。

Aさん
All employees can eat their meals at a company canteen.
訳)すべての社員が社員食堂で食事をすることができます。
Aさん
Dishes at a company cafeteria change every day.
訳)写真食堂の料理は毎日替わります。

レストランのまかない

レストランスタッフが休憩時間にまかないを食べますが、これを板や役員会などで使う “board” で表すことができます。名詞として食事・賄い、動詞として食事・賄いを出すという意味です。boardは有料の場合に使われる言葉なこと、また賄いに当たる英語はないため、普段は”staff meal”で表現できます。

Aさん
I’m so lucky to eat a delicious staff meal every day.
訳)毎日、美味しいまかないを食べられて幸せ。

プリズンミール

映画や海外ドラマで、刑務所に入っている服役囚たちが並んで座り、黙々と食事をするシーンがあります。クサい飯なんていう言い方もありますが、イギリスではチャリティ団体が支援し、受刑者の再犯率を下げるために料理を教え刑務所内にレストランを開店するなんていうアイデアがあります。

さて、刑務所で食べる食事はprison food、食べる場所はa prison canteenです。

Aさん
Porridge was the only breakfast choice for prisoners during the 1800s.
訳)1800年代の囚人にとって、ポリッジは唯一の朝食の選択肢だった。

Porridgeはおかゆ状のもので、オートミールなどをミルクか水で煮たものです。

海外の学校給食事情

海外の学校給食事情

最後に、海外の学校給食はどんなものなのか紹介しますが、日本との違いが大きく面白いです。
海外では教室で食べる学校給食というよりも、日本の学食のイメージと考えていただければ分かりやすいでしょう。

キャンティーンやカフェテリアに行って食べるランチ

例えば、イギリスでは小学校から高校まで、ランチは教室で食べるのではなくキャンティーン・カフェテリアといった場所に行って食べる形です。体育館をランチ時間に食堂にすることもあります。全学年が一気に利用するとキャンティーンが混雑するため、ランチ時間を何学年かに分けています。

どんなものを食べているの?

小学校では学期ごとにメニューが決まっていて、みんなが同じ食事を摂ります。なかなか、国際色豊かです。中学・高校になると、選択肢から自分が食べたいものを買うようになり、また大学進学希望者が2年間通うthe sixth formの年になると、ランチを校外で食べることも許されます。

食事内容で定番はサンドウィッチ、パスタ、ピザ、バーガー、チキンやチップス(ポテトフライ)など、それらにクリスプス(ポテチ)やビスケットなどのスイーツが人気です。

どうやって支払うの?

中高生ともなると、指認証や顔認証によってデジタルな方法で支払いをします。オンラインで事前にお金を入れておいて、日々のランチを買うのです。

貧困家庭のためのフリーミール

イギリス政府は恵まれない生徒たちに健康的な学校給食を提供する重要性を認識し、無料のランチ制度を提供しています。年収の低い家族は学校に申請をすることで、子どもが無料でランチを食べられます。
イギリスのフットボール選手のMarcus Rashfordが2021年、Free School Meals Campaignを行なったことは有名です。

まとめ

学校給食は “school meal” や “school dinner” で表現でき、canteen(イギリス)やcafeteria(アメリカ)で一堂に介して賑やかに食べることが分かりました。
コロナ禍ではロックダウンさえ行なったイギリスでしたが、学校でのランチに黙食という概念はありませんでした。学校給食一つとっても、国によって違いがあり面白いですね。