オリンポス十二神の一柱であるアルテミスは神々の中でも屈指の弓の達人でした。また純潔の女神として有名なアルテミスですが、それゆえ純潔を破るものに対して厳しい態度をとる姿もあります。この記事では狩猟と純潔の女神と他の神々とのエピソードを英語を交えて解説します。

アルテミスとは?

アルテミスはギリシャ神話に登場する月と狩猟の女神で、オリュンポス十二神の一柱です。ローマ神話では「ディアナ」として知られています。彼女はゼウスとレトの娘であり、双子の兄弟に太陽神アポロンがいます。
神話の中でアルテミスは自然や野生動物の守護者であり、純潔を象徴する存在としても描かれます。彼女は弓矢を携え、狩猟を好む独立した女性神として多くの伝説を持っています。

英語での説明:

Artemis is a goddess from Greek mythology. She is one of the twelve main gods, called the Olympians. She is the goddess of the moon and hunting.
The Romans called her Diana. She is the daughter of Zeus and Leto, and her twin brother is Apollo, the god of the sun.
In Greek mythology, Artemis is the protector of nature and wild animals.
She is also seen as a symbol of purity. Artemis carries a bow and arrow and loves to hunt. She is an independent goddess with many stories.

 

アルテミスの神話と伝説

アルテミスの神話と伝説

アルテミスには様々な神話や伝説があります。特に双子の兄弟であるアポロンとの関係性や他の神々との関わりにより嫉妬や悲しみを生むことも多々ありました。アルテミスと特に関わりの深い神々とのエピソードを紹介します。

1. アクタイオンの悲劇

ある日、狩人アクタイオンが偶然にも水浴びをしているアルテミスを目撃してしまいます。純潔を守るアルテミスはこれに怒り、アクタイオンを鹿に変えてしまいました。アクタイオンは自分の連れていた猟犬に追われ、命を落とすことになります。この話は、アルテミスの厳格な性格と純潔へのこだわりを示しています。

英語での説明:

One day, a hunter named Actaeon happened upon Artemis bathing in a stream.
Artemis, angered by his intrusion on her privacy, turned him into a deer. His own hunting dogs killed Actaeon.
This story shows Artemis’s strict personality and her dedication to purity.

2. オリオンとの関係

アルテミスと狩人であるオリオンとの関係も有名です。ある神話では、二人は親しい仲であったとされますが、アポロンがその関係をよく思わず、アルテミスに遠くの的を射るように挑発します。その的が水中に潜り、頭の一部だけを水面から出していたオリオンだったのです。アルテミスはその的がオリオンであるとは知らずに射抜いてしまい、オリオンが死んでしまったという悲劇の物語があります。

アルテミスは父であるゼウスにオリオンの復活を懇願しますが、ゼウスはそれを拒否。代わりにオリオンを天にあげ、オリオン座とすることでアルテミスを慰めるのでした。

別の神話では、オリオンが自身の力を誇示して地上のすべての獣を狩り尽くそうとしたため、アポロンが彼を止めるためにサソリを送り込み、海に促したとも伝えられています。このエピソードから、オリオン座は今も、さそり座が昇ってくるとそれから逃げるように西の空に沈んでいくと言われています。

英語での説明:

Artemis and Orion were friends. Apollo didn’t like their friendship. Apollo deceived Artemis into shooting Orion with an arrow. Orion died from her arrow. Artemis was very sad and asked Zeus to bring Orion back to life.
Zeus refused, but he put Orion in the sky as a constellation.
In another version of the myth, Orion intended to kill all animals on earth, so Apollo sent a scorpion to stop him.

 

3. カリストの悲劇

カリストはアルテミスに仕える美しいニンフ(ギリシャ神話の精霊)でしたが、ゼウスに誘惑されてしまいます。純潔を誓っていたカリストは妊娠し、そのことを知ったアルテミスの怒りを買い、追放されてしまいます。さらにヘラの嫉妬により、カリストは熊に変えられました。最終的にはゼウスの哀れみを受け、カリストは子供のアルカスと共に星座(大熊座と小熊座)に変えられました。

英語での説明:

Callisto was a beautiful nymph who served Artemis. Zeus deceived Callisto and she gave birth to a child.
Artemis was angry and turned Callisto into a bear. Hera was also angry and made Calisto’s situation worse.
Zeus felt sorry for Callisto and placed her and her son in the sky as constellations.

4. ニオベの罰

ニオベは自分の子どもたちがレトの子であるアポロンとアルテミスよりも優れていると自慢しました。これを聞いたアルテミスとアポロンは怒り、彼女の子どもたちを次々と射殺しました。ニオベは深い悲しみに暮れ、岩になったと伝えられています。

英語での説明:
Niobe boasted that her children were superior to Artemis and Apollo. Artemis and Apollo were angry and killed all of Niobe’s children. Niobe was so sad that she turned into a rock.

アルテミス信仰と祭儀

アルテミス信仰と祭儀

アルテミスはギリシャ各地で広く信仰されていました。特に有名なのはエフェソスのアルテミス神殿です。エフェソスのアルテミスは「豊穣の女神」として崇拝されています。エフェソスの女神像には多数の卵形の装飾がつけられており、「多数の乳房を持つ豊穣の女神」として紹介されることもあります。

英語での説明:

Artemis was worshiped in many places in Greece. One famous place was the Temple of Artemis in Ephesus. In Ephesus, people see Artemis as a goddess of fertility.

アルテミスが象徴するもの

アルテミスは現代でも多産をもたらす出産の神、森の神とされています。弓矢を構え、矢を放つ姿は山に恵をもたらすと考えられています。アルテミスが生まれてすぐに、母の助産師をつとめたという神話から、生殖や出産を司るとも言われており、現代においても子孫繁栄をもたらす象徴と考えられています。

英語では「Artemis」と表記され、NASAの月探査計画「アルテミス計画」にもその名が使われています。これは、アルテミスが月の女神であることに由来しています。

英語での説明:

Artemis is seen as a goddess of childbirth and nature. She is often shown holding a bow and arrow. She is also thought of as a symbol of having many children.
The name “Artemis” is also used for a NASA moon mission. This is because Artemis is the goddess of the moon.

参考記事:Artemis

まとめ

アルテミスはギリシャ神話において重要な女神であり、狩猟、純潔、自然の守護者として多くの神話に登場します。アクタイオン、オリオン、ニオベの伝説は彼女の強さと厳格さを示し、アルテミス信仰は古代ギリシャ社会に深く根付いていました。

現代でもその名は主に宇宙科学に受け継がれ、月を象徴する存在として語り継がれています。アルテミスの神話は、今なお多くの人々を魅了し続けています。