英語をスムーズにコツに「パラグラフリーディング」という技術があります。
パラグラフリーディングとは、文章を段落ごとに読んで、長文全体の大枠をとらえる技術を指します。
パラグラフリーディングは、学校の英語のテストや受験英語でのテクニックだと思われがちですが、実は英語が得意な人が無意識に行っている「クセ」のようなものです。
この記事では、そんな「パラグラフリーディング」について、その詳細や具体的なやり方やコツまでお伝えします。
パラグラフリーディングとは?
パラグラフリーディングとは、ひと言でいえば「英語の長文を、段落ごとに大まかに読む」ことを指します。
Weblio辞書によると、パラグラフとは以下の意味を持っています。
パラグラフ【paragraph】
読み方:ぱらぐらふ1 文章の節または段落。
2 新聞・雑誌などの短い記事。
3 欧文で、段落の冒頭や注記・解説などに用いる「¶」の記号。段落記号。ピルクロウ。
引用:Weblio辞書
特に「段落」や「短い文章のまとまり」という意味合いが強いようですね。
段落や短い文章のまとまりを表す「パラグラフ」、それを「読む」ことを表す「リーディング」が組み合わさって「パラグラフリーディング」と呼ばれているわけですね。
パラグラフリーディングの効果
パラグラフリーディングを英文読解で実践することで、以下の効果を得られます。
- スムーズに英文を読み解くことができる
- 論理的思考力が身に着く
順番に見ていきましょう。
1.スムーズに英文を読み解くことができる
パラグラフリーディングが身に着くと、英文をスムーズに読み解くことができます。
なぜなら、英語の長文ではパラグラフ(段落)ごとに一つの話題、主張、事実の提示をしているからです。
英語だけではなく日本語でも長文で書かれたものは、何かを伝える、主張する、事実を提示するために論理を立てて話を展開しますよね。
これによって、段落ごとに大枠をとらえて読むことで、長文全体の大まかな流れを理解できるわけです。
会話のコミュニケーション術などでも「結論から先に話すと、相手に伝わりやすい」とよく耳にしますが、文章の読解も同じで、まず大枠を知ってからの方が詳細の情報を理解しやすいです。
以上のように「長文の大枠をつかみやすい」という観点から、パラグラフリーディングが身に着くことでスムーズに英文を読み解くことができるといえます。
2.論理的思考能力が身に着く
パラグラフリーディングが身に着くことで、論理的思考能力を養うことができます。
なぜなら、パラグラフごとの論理の組み立てを意識できるからです。
先述のとおり、長文ではパラグラフごとに一つの話題、主張、事実の提示をします。
話題、主張、事実の提示を順序立てて書くことで、論理的に話を進めるわけです。
パラグラフごとに大枠をとらえるパラグラフリーディングが身に着くと、筆者がどんな論理で話を進めるのかをハッキリと意識することができます。
したがって、文章を最初から最後まで通して読む人よりも、段落(パラグラフ)ごとに大枠をとらえられる人の方が筆者の論理思考に触れやすいので、論理的な思考能力が養われるのを期待できるわけです。
パラグラフリーディングのやり方
さて、「パラグラフリーディングで段落ごとの話題や主張を大まかにとらえる」とは言いましたが、さすがに段落をまるっと写真のように眺めても意味を理解することはできません。どうしても「文章を細かく読むプロセス」が必要になります。
パラグラフリーディングを実践するために効果的なやり方は以下の通りです。
- パラグラフの最初の行を注意して読む
- 長文の全体像をつかむ
- 最後のパラグラフまで順番に読む
- 最後にもう一度全体を見返す
順番に見ていきましょう。
1.パラグラフの最初の行を注意して読む
まずはパラグラフの最初の行をしっかりと読んでから読解に移りましょう。
パラグラフ全体で最も伝えたいことの結論が、一番最初に書いてあるからです。
「最初の行をちゃんと読んでから読み始める」と聞くと「何を当たり前のことを…」と思うかもしれませんが、最初の行を読むときに「このパラグラフで言いたいことがここに書いてあるんだな」と意識するだけでも大きな効果があります。
最初の一行を読んでそのパラグラフの結論を掴んでおけば、パラグラフ全体に書いてある内容を予測できるのでスムーズに読み進めることができます。
「パラグラフリーディングは最初の一行が肝心」を意識して、最初の行をしっかりと理解してから読解に移りましょう。
2.長文の全体像をつかむ
先述の「最初の行をしっかり読む」をパラグラフ全体で行いましょう。
読解に移る前に、各パラグラフの最初の一行”だけ”を一度読んでみます。
すると、長文全体がどんな流れで構成されているのか、大枠を把握できます。
「なるほど、こんな流れで文章が展開されていくんだな」といったイメージがつけばOKです。
3.最後のパラグラフまで順番に読む
長文全体の大枠がわかったら、いよいよ順番に読んでいきましょう。
最初の一行をしっかり丁寧に読んで理解してから、順に本文を読んでいきます。
最初の一行で結論を提示してから、その話題や主張を後押しする例え話や根拠が提示されていくでしょう。
なにも意識しないで読むよりも、「このパラグラフでは結局これを言いたいんだな」というのがわかっているのでグンと読みやすくなっているでしょう。
4.最後にもう一度全体を見返す
長文を最後まで読み終えたら、もう一度全体を見返してみましょう。
そうすることで、改めて読んだ内容の理解を深めることができます。
イメージとしては「本棚」です。
お気に入りの本やマンガ、DVDでも良いですが、大好きで何回も読んだり観たりした本やDVDは、背表紙が目に入っただけでもその内容を鮮明に思い出すことができますよね。
それと同じことを、長文の終わりに行うことで、「そうそう、このパラグラフでは、こんなことを主張するために、こんな根拠を立てていたな」と思い出すことで、より書いてあったことをより鮮明に頭に刻むことができます。
パラグラフリーディングのコツ
パラグラフリーディングを身に着ける上で約に立つコツがあります。
文章同士の繋ぎ目に注目する
文章が次に続く時や、文章同士がくっつく時、「しかし~」や「したがって~」といった言葉でそれまでの文章との関係性が現れます。
For example, ~ であれば、それまでの文章で書かれていたことの具体例が出てきますし、However, ~ であれば、それまでの文章とは逆のことが書かれるでしょう。
そうした「文章同士の繋ぎ目」に注目することで、次にどんな文章がくるのかをある程度予測できます。
予測が立った状態で読めれば、グッとスムーズに英文を読み進めることができますよ。
最初から完璧を目指さない
ここまでパラグラフリーディングのやり方やコツをお伝えしてきましたが、最初は思うように実践できないのが普通です。
↑のような事態に陥ると、強い挫折感に襲われます。
しかし、初めから上手にできる人の方が圧倒的に少ないです。
パラグラフリーディングは、英語を簡単に読むための”テクニック”ではなく、英語を論理的に、スムーズに読み進めるための”実力”だと意識してみてください。
その意識で、地道にパラグラフリーディングを意識していれば、ふとした時に意識しなくてもパラグラフリーディングをしている瞬間がやってきます。そうなればもう胸を張って「身に着いた」と言って良いです。
ぜひ長期的な視野でパラグラフリーディングを身に着けて、スムーズに英文を読めるようになってください。
パラグラフリーディングに役立つ参考書2選
最後に、パラグラフリーディングを身に着けるのに役立つ参考書を2選で紹介します。
河合塾シリーズ パラグラフリーディングのストラテジー
河合塾シリーズの「パラグラフリーディングのストラテジー」は、その名の通りパラグラフリーディングを駆使して論理的に英文を読み解く方法を解説した参考書です。
英語の読解だけでなく、論理的に文章を紐解いていく方法を解説していることから、英語の読解だけでなく、論理的思考能力を養うことも期待できます。
ディスコースマーカー英文読解
ディスコースマーカー英文読解では、「パラグラフリーディングのコツ」で紹介した「文章の繋ぎ目」を効果的に学ぶことができます。
文章の繋ぎ目がわかると、次の文章の予測が立ってグッと先を読むのが楽になるので、おすすめの一冊です。
まとめ
この記事では、英語をスムーズに読むのにとても役に立つパラグラフリーディングについてお伝えしました。
ここまでお読みのあなたなら、パラグラフリーディングがただのテクニックではなく、スムーズに英語を読むための地力だと理解し、具体的にパラグラフリーディングを身に着ける手段もしっかり理解していることでしょう。
この記事でお伝えしたことが、あなたの英語学習をより豊かにできれば幸いです。