英語の文章は「能動態」と「受動態」の2種類に分類されます。能動態は一番最初に学ぶ最も簡単な文章の形です。英語の知識をある程度身につけた人であれば、受動態の使い方や作り方も理解できていると思いますが、初心者にとっては難しく感じられるかもしれません。
今回は、英語の基礎である「受動態」に関して解説していきます。最後まで読んで「受動態」の理解を深めましょう!
受動態の作り方
受動態の日本語訳は「〜される」です。あまり意識していませんが、日本語でも受動態が多く使われています。それでは早速、英語での受動態の作り方を確認していきましょう。
基本はbe動詞+過去分詞
受動態の基本的な形は「be動詞+過去分詞」です。まずはこの形だけ覚えておいてください。また受動態では、能動態の文章の目的語を主語に置くことができます。
Everyone likes this song.
訳)みんなこの曲が好きです。
この文章の目的語である”this song”を主語に置くと次のような文章になります。
This song is liked by everyone.
訳)この曲はみんなに好かれています。
「〜される」と訳されるので、その動作主が存在することもありますよね。その場合は例文のように”by”を使うことで動作主を表現することができます。
過去分詞とは?
受動態の文章を見てみると、be動詞と一般動詞が一度に出てきているように見えます。しかし、英語の基本は1つの文章に動詞は1つのみです。そのため過去分詞は動詞としては扱われず、動詞を形容詞化したもの(準動詞)として認識されます。
動詞には「規則動詞」と「不規則動詞」が存在し、規則動詞の場合、過去形と過去分詞は同じ形を取りますが、不規則動詞では過去形と過去分詞で形が異なるので注意しましょう。
受動態はあらゆる場面で作れる
受動態はbe動詞が必ず含まれるため、過去のことでも、現在のことでもはたまた未来のことでも表現することができます。またbe動詞が使われるということは助動詞にも続けることができますね。さらに言うとto不定詞も受動態の形をとることができます。しかし前述の通り、受動態は目的語を主語に置くことになるので、自動詞では原則受動態を作ることはできません。
なぜ受動態が使われる?
それでは、能動態でも伝えることができるにも関わらず、なぜ受動態を使う必要があるのでしょうか?ここでは、文法的な理由と意味的な理由に分けて考えてみます。
文法的理由
文法的な理由から受動態を使わざるを得ない、受動態の方が好ましい場合があります。
動作主が分からない
能動態の文章を作る場合、常に主語と述語が必要です。しかし場合によっては、主語(動作主)が分からないこともありますよね。次の例文を見てみましょう。
My wallet was stolen.
訳)財布が盗まれました。
財布を盗んだ犯人が分からないため、能動態では主語が曖昧な文章になってしまいます。このような場合には、受動態を用いた方がより伝わりやすい文章になるので、受動態を使いましょう。
感情を表す形容詞
実は受動態の意味を理解していなくても、自然と受動態の文章を作っていたかもしれません。「興奮する」「驚く」など感情を表現する際どのように表現しますか?”I’m excited.”、”I’m surprised.”ですよね。実はこれも受動態の1つです。
”excite”は「〜を興奮させる」、”surprise”は「〜を驚かせる」という意味の動詞なので、受動態の形にすることで「興奮させられる=興奮する」、「驚かされる=驚く」の意味になります。それぞれ原形での使い方と受動態(形容詞)での使い方は以下のとおりです。
I was excited about the game.
訳)私はその試合に興奮しました。
The game excited me.
訳)その試合は私を興奮させました。
意味は同じですが、上の例文のように使われることがほとんどです。
主語が長過ぎる
英語の文章は原則として主語を文頭に置きます。しかし主語が長すぎる場合、文章のバランスが悪くなってしまい、うまく相手に伝わらない文章になりかねません。このような時には受動態を使うことで文章を簡潔に分かりやすく言い換えることができます。
The book about management which won the business book award motivated me.
訳)ビジネス本大賞を受賞したこのマネジメントに関する本は私をやる気にさせました。
I was motivated by the book about management which won the business book award.
訳)ビジネス本大賞を受賞したこのマネジメントに関する本は私をやる気にさせました。
どちらも同じ意味で文法的にも誤りではありませんが、上の文章は主語がどこからどこまでなのか分かりにくいですよね。このように文章を読みやすくするために受動態が使われることもあります。
意味的理由
使う必要はないけれどあえて受動態を使うこともあります。受動態の特徴は目的語を主語に置くことでしたよね。このことを念頭にどのような使い方をするのかみてみましょう。
目的語や動作を強調したい
英語の文章では、文頭の単語が一番目立ちます。能動態であれば主語が目立ち、動詞や目的語は脇役となりあまり目立ちません。
He gave her a gift.
訳)彼は彼女にプレゼントを渡しました。
She was given a gift by him.
訳)彼女は彼からプレゼントをもらいました。
話している内容は同じですが、下の文章の方はプレゼントをもらったということが強調されています。受動態にすることで、目的語や動詞を強調することができるので書き換える練習をしてみましょう。
一般論を伝えたい
一般的にこう言われている、という一般論を表現をしたい場合、”It is said that〜”や”It is known that〜”という表現を使います。もちろん、これらの表現を使わずに言うこともできますが、断言したような言い方となり、誤解を招きかねません。”It is said/know that〜”を使うことで例外もあるけれど、一般的に…と少し濁した表現に変えることができます。
客観性を持たせたい
一般論の話に似ていますが、客観性を持たせたい時にも受動態を使うことができます。能動態では主語が含まれていることから、主観的な文章に感じられてしまうこともあるかもしれません。あくまでも客観的な意見であることを伝えたい場合は、受動態を使いましょう。
My mother always says vegetables are good for your health.
訳)母は野菜は体にいいとよく言います。
この文章では母の主観が含まれたような文章になっているので、次のように言い換えてみましょう。
Vegetables are said to be good for your health.
訳)野菜は体にいいと言われています。
もしくは、”It is said that〜”を使って表現してもいいですね。
まとめ
今回は「受動態」がもつ働きや作り方を解説してきました。能動態ばかり使っているとスマートな印象はありませんが、逆に能動態ばかり使っていてもいい印象はありません。バランスが大切なのです。
これまでなんとなく受動態を使ってきていた、という人は、なぜ受動態が使われているのかを理解して能動態と受動態を使い分けてみましょう。しっかり使い分けができるようになると、ネイティブスピーカーからも一目置かれる存在になれる…かもしれませんね!