「奪う」という言葉を聞くと、強盗や無理やりモノを取り上げるといった乱暴なシーンを思い浮かべるのではないでしょうか。
ただ、そのような意味で用いられるだけでなく、
- 未来を奪う
- 時間を奪う
- 彼女を奪う
- お金を奪う
- 権利を奪う
などさまざまな意味合いで用いられます。
つまり、「奪う」はたった一言でさまざまなシチュエーションを表現できる言葉なのです。
ただ、「奪う」を英語で表現する場合、何をどのように奪うのかによって表現を使い分ける必要があります。
そこで今回は、シーン別に「奪う」の英語表現を解説します。ぜひ最後までご覧ください。
「奪う」は英語で?シーン別にぴったりの英語表現を解説
「奪う」はさまざまなシーンで使える便利な単語ですよね。
ここでは「奪う」という単語が使われる7つのシーンを挙げ、それぞれどのような英語表現になるのか解説します。
力ずくで奪う
人からお金を奪ったり、モノを奪ったりと物理的に「力ずくで奪う様子」を表現するときに用いられるのがrobです。
robは動詞で「強奪する」「略奪する」という意味があります。人からモノやお金、幸福、能力などを奪う様子を表現できます。
彼はわたしのカバンとお金を奪いました。
また、「奪われた」という形にする場合は「be動詞 + robbed of~」で受け身の形にしましょう。robは「奪う」よりも「奪われた」の方がよく使う表現かもしれませんね。
彼のカバンが奪われました。
わたしは大切なお金を奪われました。
権利を奪う
特許や免許、自由、希望など何らかの「権利を奪う」にはdepriveを使います。
depriveは日本語の場合「取り上げる」「はく奪する」といった意味になります。
つまらない教育は学ぶことの楽しさを奪うのでやめるべきだと思います。
誰にも人の自由を奪うことはできません。
あなたは子どもたちの希望を奪ってはいけない。
命を奪う
事故や事件、病気などが原因で、本人の意思に反して命を落としてしまったときは「命を奪われた」「〇〇が命を奪った」などと表現しますよね。
「命を奪う」の意味を英語で表現すると「take somebody’s life」となります。
この自動車事故で彼女の命が奪われ、彼女の娘は重傷を負いました。
心を奪う
ほかのことに興味がなくなってしまうほど、特定の物事や人に夢中になる様子を「心を奪われる」「心を奪う」と言いますよね。
このような状態は「引き付ける」「魅了する」といった意味の動詞のattractを使って表現できます。
彼女の美しい容姿は多くの人の視線を引き付けます。
彼女は彼に心を奪われました。
未来を奪う
stealは「盗む」「こっそりとる」という意味があり、「未来を奪う」という意味も表現できます。
これまで紹介した「奪う」の表現とは異なり、stealは“ひそかに、こっそり“盗むというニュアンスがあります。
地球温暖化の問題によって、子どもたちの未来が奪われています。
恋人を奪う
恋人を奪うシチュエーションでは、相手のパートナーに気が付けれないように“こっそりと”奪いますよね。
そのため、先ほど解説したstealを使って表現できます。
あいつが彼女を盗んだ。あいつの顔を殴りたい!
時間を奪う
「時間を奪う」もstealを使って表現でき、「to steal time」というフレーズを覚えておくと便利です。
わたしの時間を奪わないでください。
「rob」「deprive」「steal」の違い
さまざまなシチュエーションの「奪う」の英語表現を解説しました。
ただ、「奪う」は今回紹介したシーン以外でも使われる表現のため、シーンに応じて自分で適切な英単語を選ぶ必要があります。そのため、今回紹介した「rob」「deprive」「steal」の違いをきちんと理解しておくことが大切です。
英単語は日本語訳を丸暗記するだけではなかなか使いこなせるようにならないので、コアイメージを掴むことを意識しましょう。
「rob」「deprive」「steal」それぞれの意味をまとめてみよう
「奪う」「盗む」の意味がある3つの単語をまとめてみます。
- rob:強奪する、略奪する
- deprive:奪う、拒む、はく奪する
- steal:盗む
そもそも日本語の「強奪・奪う」と「盗む」の意味の違いですが、「強奪・奪う」は無理やり取り上げる、取り去るという意味であるのに対し、「盗む」はこっそりと自分のものにする、無断で真似をするという意味です。
そのため、二つの言葉は似ているようで、ニュアンスが全く異なるのです。
つまり、「rob」「deprive」「steal」の中で「盗む」という意味になるのは、stealだけなので他の単語との使い分けがはっきりわかるでしょう。stealは人のものを無断でこっそりと取るときに使ってくださいね。
「rob」「deprive」の違い
「rob」「deprive」はともに「奪う」という意味ですよね。
ただ、「rob」は奪うの中でも強引に奪う様子がイメージされます。物理的に力を加えている様子を想像するとわかりやすいのではないでしょうか。シーンとしては銀行強盗やモノを略奪するときに使われます。
「deprive」は「取り上げる」「はく奪する」という意味の奪うなので、権利や地位がなくなるまたは奪うときに使う表現です。
つまり、同じ「奪う」でも使い分けが必要なので、どのようなシーンで使うのか、どのようなニュアンスなのかを正しく理解しておくことが大切です。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は「奪う」の英語表現について解説しました。
「奪う」は一言でさまざまなシチュエーションを表現できる言葉ですが、英語の場合は何をどのように奪うのかによって使い分けが必要です。
まずは以下の3つの単語の意味とニュアンスの違いを覚えてくださいね。
・rob:強奪する、略奪する
・deprive:奪う、拒む、はく奪する
・steal:盗む
ぜひ今回の記事を参考に、「奪う」の英語表現を会話で活用してみてください。