過去のものが再流行することなどを「リバイバル」と言いますが、この言葉の意味ってわかりますか?
私たち日本人が使っているカタカナ語のほとんどは英語由来ですが、中には元の英語と全然違う意味になるものもあります。果たしてリバイバルは本来どんな意味なのか、日本語のリバイバルと同じ意味なのか違うのか、気になりますね。
ということで今回のテーマは「リバイバル」。英語での本来の意味について深掘りしていきます。
また、「リメイク」や「リマスター」などの紛らわしい類語との違いについても触れているので、これらの違いがわからずモヤモヤしていた人は、ぜひ参考にしてみてください。
それでは、早速始めていきましょう!
「リバイバル」とは?
リバイバルとは、もともと「復活、生き返ること」を表す言葉で、英語では “revival” と綴ります。発音記号は「rɪvάɪv(ə)l」、vの発音をしっかり意識することが大切です。
revival の語頭にある “re-“ は「再び」という意味。メールの返信欄にある “Re:” と同じ意味です。また、後半の “-vival” の部分は「生きること」という意味で、”survival(サバイバル)” でも同じ形が使われています。
以上のことから、revival の本来の意味は「再び生きること」であり、一度死んだもの、失われたものが復活することを表します。しかし、現実的に一度死んだものが復活することは無いので、多くの場合は比喩的に、停滞していたものが再度活発になる様子を指して使われます。
The French word “renaissance” means the revival of ancient literature, art, and culture.
訳)フランス語の「ルネサンス」は、古代の文学、芸術、そして文化の復活を意味します。
revival は宗教用語?
revival という言葉は、キリスト教関係の文脈でもよく使われます。その際の意味は「信仰復興」で、信仰者を増やすための啓蒙活動を指します。
このようにキリスト教で revival という用語が使われる背景には、信仰対象であるイエス・キリストが一度死んで復活(revive)したという事実が関係していると推察されます。そのため、キリスト教以外の宗教では、基本的に revival という表現は使われません。
「再流行」もリバイバル?
先述の通り、revival は停滞したものが再び動き出すことを比喩的に表すことができます。そのため、過去に流行ったものが再流行することを revival と表現することも可能です。
日本でも「リバイバル上映」などと言うので、この使い方が日本人にとっては一番馴染み深いかもしれませんね。
ちなみに、「再流行する」と動詞で表したい場合は “revive” とすればOKです。
Baggy white socks called “Loose socks” have revived in Japanese teen girls’ fashion.
訳)「ルーズソックス」と呼ばれるダボダボの白い靴下が、日本の10代の女の子の間で再流行しています。
「リバイバルブーム」「リバイバルヒット」は和製英語?
日本では懐かしのアイテムなどが再流行した際、「リバイバルブーム(revival boom)」や「リバイバルヒット(revival hit)」などと表現することがありますが、これらはちょっと不自然な英語です。
その最たる理由は、revival が名詞だから。revival boom、revival hit と言うと「名詞(revival)+名詞(boom、hit)」ということになるので、文法的な違和感が生まれてしまいます。
また、revival boom に関しては、boom という単語のイメージにも理由があります。英語でも boom という言葉はあるものの、主に景気や経済活動などの盛衰を表す際に使われるため、「流行」という意味で使うことは稀です。特に “〇〇 boom” と表現することは滅多にありません。
以上の理由から、revival boom、revival hit は英語だと違和感を覚える表現であり、一種の和製英語だと言えます。
In Japan, revival hit is a boom now.
訳)日本では今リバイバルヒットがブームなんです。
What do you mean?
訳)どういうこと?
それでも「リバイバルブーム」「リバイバルヒット」のニュアンスを英語で表現したい場合は、単純に revival と言うか、”make a comeback” と表現すると良いでしょう。
make a comeback は「復活する、返り咲く」という意味の決まり文句。スポーツシーンでの「逆転」などにも使える便利な表現です。
Babble tea has made a comeback.
訳)タピオカがリバイバルブームです。
「リメイク」や「リマスター」など、リバイバルの類語とその違い
日本語には「リバイバル」と同様、「リメイク」や「リマスター」など、いろいろな「リ〇〇」というカタカナ英語が存在します。特に映画を指して「リメイク作」「リマスター版」などと言いますが、それぞれリバイバルと何が違うのでしょうか。
最後に、これらの表す意味の違いについて、詳しく確認しておきましょう。
remake(リメイク)
“remake(リメイク)” は「再び(re-)作る(make)」が原義になっていて、古い作品に新しく作り直すことを表します。具体的には、白黒の名作映画を現在の役者を使ってカラーで撮り直すなどです。
remake と revival の違いは、元の作品に手を加えているか否か。リメイク映画は原作と違う監督によって撮り直されますが、リバイバル上映は当時のままを上映するといった違いです。
remaster(リマスター)
“remaster(リマスター)” とは、音楽や映像などのオリジナル版を、最新の技術を用いて高品質にするという意味です。ここで使われる master は、量産前の原盤を作ることを表します。最新技術=デジタルなので、“digital remaster” と言うこともあります。
remaster と revival の違いは、品質を現代的に変更しているかどうか。リバイバル上映という場合、古い作品のノイズなどもそのまま上映しますが、リマスター版の場合は、今の基準でも見やすい(聴きやすい)ように調整がされています。
手を加えるという意味では remake とも似ていますが、remaster は内容自体には手を加えていない点が異なります。revival と remaster は原作通り、remake は別作品というイメージです。
まとめ
今回は「リバイバル」という言葉の意味について詳しく確認してきました。
リバイバルは英語でも revival ですが、日本語のそれとは少し使い方が異なります。特に「リバイバルブーム(revival boom)」などは日本でしか通じない和製英語なので、英語圏の人相手には使わないように注意しましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!