日本ではお値打ち品を指して「ディスカウント」というカタカナ英語を使いますが、これは英語でも同じ意味なのでしょうか。
ということで、今回のテーマは「ディスカウント」です。ディスカウントの表す意味について、そして「ディスカウント〇〇」という関連表現について、日本語と英語の違いを詳しく確認していきます。
これを読めば、ディスカウントという言葉に対する理解がアップデートされること間違いなしです。
それでは、早速始めていきましょう!
「ディスカウント」ってどういう意味?
日本で使われる「ディスカウント」というカタカナ英語は、主に「値下げ、割引」と「格安」という2つの意味で使われます。
「どっちも同じ意味じゃないの?」と思う人がいるかもしれませんが、これらの表現には決定的な違いがあります。それは「もともとは高い」なのか「もともと安い」なのかという違いです。
「値下げ、割引」というのは、もともとは高い商品の値段を下げて売ることです。「〇〇%オフ」などの表現が代表的ですね。
その一方、「格安」というのは、もともと安い値段で売ることを前提に作られたものです。最近の言葉だと「プチプラ(プチプライス)」などが代表的です。
「ディスカウント」は英語でも同じ?
ディスカウントは英語でも “discount” と言います。発音記号は「dískɑʊnt」、発音自体はカタカナ英語のディスカウントと同じで大丈夫ですが、アクセントが「ディ」の部分にある点には注意してください。
さて、カタカナ英語のディスカウントには、先述の通り「値下げ、割引」と「格安」という2つの意味がありましたが、英語の discount に「格安」という意味はありません。そのため、格安という意味で使われるディスカウントは一種の和製英語ということになります。
This store sells discount goods.
訳)この店は値下げ品を売ってるんだ。(※「格安品」と言ってるつもり)
Really? The prices seems regular.
訳)本当に?定価っぽいけどね。
discount の本来の意味は?
discount という単語は、否定を意味する “dis-“ と、「数える」を意味する “count” の2つの部分で構成されていて、敢えて直訳すると「数えない」という意味になります。
たとえば100円の商品があった場合、そのうちの20円を数えなければ80円になり、結果的に20%割引されたことになりますよね。これが discount が「値引き、割引」という意味になる理由です。
「格安」の場合は、本来の金額を数えないのではなく、もともとが少ない(安い)金額ということなので、discount では表すことができないんです。
ちなみに、「数えない⇒数に入れない⇒重視しない」という連想から、discount には「無視する」というネガティブな意味もあります。「話を割り引く」と考えてもいいですね。カタカナ英語のディスカウントには無いイメージなので、ぜひ覚えておきましょう。
He always exaggerates his story.
訳)彼っていつも話盛ってるよね。
I think so, too. We should discount the half of what he says.
訳)僕もそう思う。彼の言うことの半分は無視した方がいいね。
「ディスカウント〇〇」は英語でも同じ?
日本ではディスカウントの関連表現として「ディスカウントショップ」や「ディスカウントスーパー」などの表現が使われていますが、これらは英語でも通じるのでしょうか。ディスカウントの意味の一部が日本独自のものだったことを踏まえると、英語でも通じるか怪しそうですね。
ここでは、「ディスカウント〇〇」というディスカウントの関連表現の意味と、英語でも通じるかどうかについて確認していきます。
「ディスカウントショップ」
「ディスカウントショップ」とは、定価から割り引いた商品を売るお店のことです。大量に仕入れて1商品あたりのコストを下げたり、陳列場所を工夫したりすることで薄利多売による利益を実現しており、日本だと「業務スーパー」などが代表的です。
そんなディスカウントショップは、英語でも “discount shop” と言います。定価から割引するという discount 本来の意味なので、カタカナ英語とまったく同じイメージで使って大丈夫です。
「ディスカウントストア」
「ディスカウントストア」も「ディスカウントストア」と同様、薄利多売で値下げ品を売るお店のことを意味します。英語でも “discount store” で通じます。
shop と store はどちらも「お店」という意味ですが、強いて違いを挙げると、shop は「売ることを中心とした比較的小さなお店」、store は「大量に商品を陳列する比較的大きなお店」というイメージの違いがあります。そのため、ペンギンで有名な某大手ディスカウント店などは、discount store の方がしっくり来ますね。
「ディスカウントスーパー」
「ディスカウントスーパー」とは、定価から割り引いた商品を扱うスーパーマーケットのこと。ほとんどディスカウントショップ(ストア)と同じ意味ですが、特に食品や日用品を重点的に扱っているお店を指して使われます。
そんなディスカウントスーパーは、discount shop と supermarket を無理やり合わせた和製英語です。そもそも supermarket の多くが定価から値引きして販売しているので、わざわざ discount を付ける必要もありません。
ちなみに、supermarket という単語は「市場(market)を超える(super)」が語源。花屋さん、魚屋さん、八百屋さんなどが並ぶ市場を一箇所に凝縮したような存在を表します。
「ディスカウントクーポン」
「ディスカウントクーポン」とは、使用することで値下げや割引の特典を得られるクーポンのこと。クーポンはもともと切符の意味で、1枚ずつ切り取る形式のものを指しましたが、最近では電子版クーポンも増えています。
そんなディスカウントクーポンは、英語でも “discount coupon” と言います。値下げ、割引という効果があることから、discount 本来の正しい使い方だと言えます。
ただ、似た表現の「ディスカウントチケット(discount ticket)」は、日本で生まれた和製英語です。ただ、「割引されたチケット」という正しい discount の用法ではあるので、今後海外でも使われるようになるかもしれません。
「ディスカウントセール」
「ディスカウントセール」とは、本来の価格(定価)から値下げした商品を販売すること。商品を通常よりお得に買えることもあり、この文字を見ると心が躍りますよね。
そんなディスカウントセールは、英語でも “discount sale” と言います。値下げ、割引という正しい discount の用法なので、英語圏でも日本と同じように使われます。
ただし、最初から安い金額のものを売っている場合は discount sale とは言わないので注意しましょう。
まとめ
今回は「ディスカウント」について詳しく確認してきました。
カタカナ英語の「ディスカウント」と英語の “discount” は「値下げ、割引」という意味を表す点では共通ですが、「格安」という意味は日本独自のものなので注意が必要です。
今回ご紹介したことを参考に、英語でも正しく discount を使いこなせるようにしていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!