近年、世界中で地球環境を守る取り組みが行われていますが、その際「林」「森」「森林」といった言葉がよく使われます。

これらの言葉は日常会話で頻繁に使用するものではないこともあり、日本語でも違いを理解している方は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、日本語の意味の「林」「森」「森林」の意味と違いを解説したうえで、英語でどのように表現するのかを解説します。
「林」に関連する英語表現も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

「林」「森」「森林」の意味と違い

「林」「森」「森林」という3つの言葉は、なんとなく使い分けている方が多いのではないでしょうか。しかし、この3つの単語には違いがあります。

「林」という言葉の語源は、「生やす」という言葉を名詞化させて「生やし」としたものです。

「生やす」という言葉から想像できるように、人工的に作られた樹木の密生地であることが「林」の特徴です。同じ種類の木がきれいに立ち並んでおり、きちんと管理されている場所をイメージすると良いでしょう。

林は食料や林業用や燃料用などの木を調達するために育てられているので、人の出入りができる状況になっています。

意外に知られていませんが、「森」の語源は「盛り」であり、「盛り」という言葉からイメージできるように「木々がこんもりと生い茂っている場所」を森と言います。

人工的ではなく、自然にできた樹木の密生地を指し、さまざまな種類の木々が生い茂っている様子を表現できます。そのため、手つかずの自然が多く残るような、人里離れた山奥の樹木の密生地を表現するときは「森」を使うのです。

森林

「森林」は「森」よりもさらに広範囲に、さまざまな樹木が生い茂っている様子を指します。

森林には樹木などの植物のほか、動物や微生物も数多く生息しています。林と森林を総称して森林と表現されることもあります。

このように、普段なんとなく使っている「林」「森」「森林」には意味に違いがあり、正しい日本語を使い分けることが大切です。

「林」や「森」は英語で何て言う?

「林」や「森」は英語で何て言う?

「林」や「森」を表現する英語として、3つの単語を覚えておくようにしましょう。

単語ごとに違いがあるので、シーンに応じて単語を使い分けることでより詳細なニュアンスを伝えられます。

grove

groveは日本語に訳すと「(散策などに適した)小さな森」「木立」「果樹園」といった意味になります。

そのため、手つかずの自然が残っている壮大な森というよりかは、人工的に作られており、木々が密集していない自然公園や果樹園などを表現するときに用いられます。

Aさん
The students sat down near the grove and had a picnic.
生徒たちは小さな森の近くに座ってピクニックをしました。

woods

woodsはwoodの複数形で「林」「森」などの意味があります。

woodsは人工的に作られた樹木の密生地を表現できるのがポイントです。人里に近く、立ち入っても安全であり、散歩やハイキングを楽しめるでしょう。そのため、日本語で言う「林」
をイメージに近いといえます。

Aさん
I passed through the woods.
わたしは林を通り抜けました。
Aさん
I got lost in the middle of the woods.
わたしは林の中で道に迷いました。

forest

forestは「森林」「林」といった意味ですが、手つかずの自然が多く残るような、人里離れた山奥の森林地帯というニュアンスがあります。

野生動物や微生物も多く生息しており、人間が入ると危険な場所を表現できます。そのため、日本語で言う「森林」がforestと最も似ているでしょう。

Aさん
The bears parent and child came out of the forest.
クマの親子が森林から出てきました。
Aさん
The fire destroyed the almost forest.
その火災で森林のほとんどが壊滅しました。

つまり、「林」や「森」を表現する英語でも「grove → woods → forest」の順に規模が大きくなっていくのです。

「林」に関連する英語表現

「林」に関連する英語表現

最後に「林」に関連する英語表現を解説していきます。

風林火山

古代中国の文献「孫子」に書かれた文を略した言葉に「風林火山」がありますよね。一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

「風林火山」は「其の疾きこと風の如く、其の徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し」と言いますが、意味は以下のようになります。

【風林火山】
戦いにおける四つの心構え。風のようにすばやく動き、林のように静かに構え、火の如く激しく攻め奪い、山のようにどっしりと構えて動かない意。
出典:三省堂 新明解四字熟語辞典

これを英語で表現すると
「fast as the wind, silent as a forest, ferocious as fire and immovable as a mountain. 」
となります。

接続詞のasを使って「~のように」を表現しています。

竹林

京都の嵐山に有名な竹林があり、海外の人にも人気の観光スポットとなっていますよね。

そんな「竹林」は英語で「bamboo grove」と言います。さきほど解説した「(散策などに適した)小さな森」を意味するgroveが使われます。

Aさん
I want to take you to the bamboo grove at Arashiyama in Kyoto.
わたしはあなたを京都の嵐山にある竹林に連れていきたいです。

林業

樹木を経済的に利用するために伐採し、木材として生産することも林業と言いますが、英語ではforestryと言います。

「林」「森林」という意味のforestに接尾語の「-ry」を付け加えることで名詞を作る働きがあり、「forest(森林、林) + -ry」で「林業」となります。

Aさん
Is forestry major in this area?
この地域では林業が盛んですか?
Bさん
This area is famous for forestry.
この地域は林業で有名です。

植林

「植林」は英語でforestation またはafforestationと言います。

ほかにも「forest plantations」「tree planting」といった表現もあります。plantは動詞で「植える」という意味があります。

Aさん
As one of our efforts for the protection of the environment, we plant trees every year.
環境保護の取り組みの一環として、私たちは毎年植林しています。

まとめ

いかがでしょうか。

今回は「林」の英語表現を中心に解説しました。
日本語でも「林」「森」「森林」といった言葉の違いを説明するのはむずかしいですが、英語でこれらを表現するときはも「grove」「woods」「forest」の3つを覚えておくようにしましょう。

意味やニュアンスの違いがあり、「grove→ woods → forest」の順に規模が大きくなっていくのがポイントです。

シーンに応じて単語を使い分けることでより詳細なニュアンスを伝えられるので、ぜひ今回の記事を参考に英会話で役立ててくださいね。