「another」と「other」、あなたは違いや意味をはっきり答えられますか?

「学生時代は受験の為に暗記していた!」と言う方も、いざ説明しようとすると上手く説明できる自信がない…なんて言う人も多いと思います。

今まで通り暗記するのではなく、違いや使い方をしっかりと理解してから例文を把握することで、自信を持って使い分けましょう。

「another」の意味と使い方

「another」という単語を分解して、意味と使い方について解説します。

「another」は、「an」(1つの)と「other」(他の)という2つの単語で構成されている英単語で、「もう1つの(1人の)」や「別のもの(人)」といった意味を持っています。

特に、単数扱いの「もう1つの」という意味の形容詞として使われることが多いです。「an」+「other」が1語になった単語ですので、以下の例のように「an」や「the」などの冠詞や「my」や「their」などの所有代名詞はつきません。

  • ○ another cup
  • × an another cup
  • × the another cup
  • × my another cup

このように、通常、「another」は数えられる名詞の単数形につきますが、例外もありますので、それは次章で解説します。

「another」を使った基本的な英語表現

この章では、具体的に例文を紹介しながら、anotherの使い方を解説します。

日常会話で使える表現ばかりですので、ぜひ覚えて使ってみましょう。「もう1つの」や「別の」という意味の形容詞的用法と、「別のもの」や「もう1つのもの」という意味の代名詞的用法に分けて紹介します。

「もう1つの」を意味する形容詞的用法

カフェなどでお茶をしている時、店員さんから「Would you like another cup of tea?」(お茶のおかわりはいかがですか)と聞かれることがあります。「Would you like〜?」は「〜はいかがですか?」という丁寧な質問文で、日常会話で多用されますので覚えておくと便利です。

このように店員さんから聞かれた際、おかわりをお願いする時は「Sure.」、断る時は「No, thanks.」と答えるのが一般的です。逆に、自分から「お茶をもう1杯いただけますか」とお願いする時は、「May I have another cup of tea?」と言います。

「私はもう1週間ここにいます」は、「I will be here for another week.」と言います。「another」は、可算名詞の単数形の前につくことがほとんどですが、「数詞 + 複数名詞」をセットで考える場合は、複数形の前につくこともあります。「It will take another two weeks to finish it.」(それを終わらせるまでにさらに2週間かかるだろう)では、「two + weeks」(2週間)を1つのまとまりとして捉え、「another」をつけることで、さらにどれくらいかかるかを説明しています。

「別の」を意味する形容詞的用法

2つ目の形容詞的用法である「別の」を使った例文を2つ紹介します。

「Please show me another cap.」は、「別の帽子を見せてください」という意味で、買い物などの場面で使える表現です。

ほかに、

Aさん
That’s another story.
訳)それは別の話だよ。

は、今話していることとは別問題だということを伝える時の決まり文句です。どちらの「another」も、意味的に「different」(異なる)に置き換えられます。

「別のもの」「もう1つのもの」を意味する代名詞的用法

「I don’t like this hat. Can you show me another, please?」は、「この帽子は好きではない。別のを見せてくれませんか」という意味ですが、「another」の後ろに名詞がついていないことに注目しましょう。

前の文章を受けて、「another」1語で、「別のもの(帽子)」を意味していることが分かります。同様に、「Saying is one thing and doing (is) another.」(言うことと行うことは別のことだ)も「another」1語で、「別のこと」を意味している例です。

一方、「残りの1人(1つ)」と言う時は、「another」ではなく、「the other」を使って表現します。

例えば、「2人の娘がいて、1人は東京、もう1人は名古屋に住んでいる」ことを伝える時は、「We have two daughters. One lives in Tokyo. The other lives in Nagoya.」となります。つまり、2つのものや人を対象にする場合は、「One is 〜, the other is …」と表現するのが正解です。

「another」を使った応用表現

前章では、「another」を使った基本表現を解説しました。この章では、「another」を使った応用表現をマスターしましょう。応用と言っても、決まり文句ばかりですので、繰り返し練習することで、自然と使えるようになりますよ。

「one after another」(次々に)

1つ目は、「one after another」(次々に)です。

Aさん
Three typhoons hit Japan one after another.
訳)3つの台風が次々と日本に上陸した。

Aさん
She’s had one problem after another this year.
訳)彼女は今年次から次へと問題を抱えている。

上記のように、次々と起こる様子を表現できます。

「one another」(お互いに)

2つ目は、「one another」(お互いに)です。

Aさん
They gave presents to one another.
訳)彼らはプレゼントを交換した。

Aさん
We must help one another.
訳)私たちは助け合わなければならない。

など、複数名詞が主語になっている文章で使います。「one another」は主語には用いないので注意しましょう。

「one way or another」(いずれにせよ)

最後に、「one way or another」(いずれにせよ)です。以下のような会話で使えます。

Aさん
I think we are lost.

Bさん
Don’t worry. We’ll get there one way or another.

道に迷ったのではないかと心配するAに対して、Bが「いずれにしても着くから、心配しないで」と答えているやりとりです。「何らかの形で」や「どうにかして」とも訳すことができます。

「other」の意味と使い方

それでは次に、「other」について意味と使い方を確認して行きましょう。

「another」と「other」、日本語ではどちらも「他の」や「別の」と表現され、使い分けがされにくいため曖昧な理解となってしまい、その結果苦手な人も多いと思います。これを機会に、違いをしっかりと把握しましょう!

「other」は、(他の、別の)を意味します。基本的に「other」の後には、複数名詞がつきます。

「other」を使った基本的な英語表現

Aさん
Are any other shirts on sale?
訳)他にセールのシャツはありますか?

Aさん
Do you have any other questions?
訳)その他に、質問はありますか?

「other」に「than」を付け加えることで「以外の」と言う意味ななります。

Aさん
He has no other t-shirts than what he is wearing now.
訳)彼は、今着ているもの以外にTシャツは持っていない。

Aさん
I like other colors better than that.
訳)その他の色がよい。

別の・他の

「別の」や「他の」という日本語の表現において使い分けはあまりありませんが、「another」と「other」では異なります。
「another」は、名詞が単数形の際に使用されます。

Aさん
Let’s meet another day.
訳)また別の日に会いましょう。

これに対し、「other」は、名詞が複数形の時に使用されます。

Aさん
Do you teach at other schools?
訳)他の学校でも教えているんですか?

もう一方の、残り全ての

「2つのうちもう1つ」、または「残りの全て」と表現したい場合には、「other」の前に「the」を付け加えます。

Aさん
I like the other design better.
訳)私はもう一方のデザインのほうが好きです。

名詞が単数形の場合は、「2つのうちの1つ」を表します

Aさん
Where are the other books?
訳)残りの本はどこにあるんですか?

名詞が複数形の場合は、「残り全て」を表します。

単数名詞と複数名詞を使い分けて表現することもできます。

机の上にビール瓶が2本あったとします。ビールがまだ残っているか聞かれた際に、「1本は空だけど、もう片一方は満タンです。」と答える場合は「This bottle is empty but the other bottle is full.」と答えます。もし瓶ビールが5本あり、「この瓶は満タンですが、残りは全て空っぽです。」と答える場合は「This bottle is full but the other bottles are empty」となります。

「other」を使った応用表現

「other」についても応用表現を頭に入れておきましょう!

使いやすい表現なので、日常会話で積極的に使っていきましょう。

the other day 『先日』

Aさん
We watched a very funny movie the other day.
訳)私たちは先日とても面白い映画を見た。

文末に付け加えることが多いです。また「先日」とは過去のことになるため、文章は過去形で表現するように注意しましょう。

on the other hand 『他方では、もう一方では』

Aさん
On the other hand, the rent is high.
訳)一方で、家賃は高いです。

Aさん
I could stay at college to study my degree; on the other hand, I could transfer to another school.
訳)大学で学位取得ために勉強することもできた一方で、他の大学に転校することもできた。

二者を比べる際や、二つの事柄をつなげる際に使われます。

「もう1つ」と「他の」、微妙な違いを日常生活に落とし込んでみよう!

日本語では使い分けにくい言葉のため、今まで振り回されてきた人も多いのではないでしょうか?

まだフワッとしか理解していない方は、自分の普段の生活や会話の中で、この場面だったら「another」と「other」、どちらを使うか置き換えて考えながら過ごしてみると自然と身につけることができますのでぜひ試してみてください!

参照:アンカー 大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行(株式会社学研プラス)