ゴールデンサークル理論という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ただ、ゴールデンサークル理論の概要や正確な意味はわからない方もいるでしょう。
そこで、今回はゴールデンサークル理論の概要について解説します。
さらに、ゴールデンサークル理論の講義を活用して英語学習の役立てるメリットについても併せて紹介します。
ゴールデンサークル理論とは
ゴールデンサークル理論とは、マーケティングコンサルタントのSimon Sinek氏が2009年にTEDでプレゼンした際に提唱した理論の一つです。
当時はTED史上最も多くダウンロードされたとして瞬く間に世界中に知れ渡りました。
では、具体的にゴールデンサークル理論とはどういった理論なのでしょうか。
ここではゴールデンサークル理論の概要と伝え方についてみていきましょう。
ゴールデンサークル理論の概要とは
ゴールデンサークル理論はWHY、HOW、WHATの3つの内容で構成された考え方です。
【構成要素】
- WHY なぜ
- HOW どのように
- WHAT なにを
人と話すときやプレゼンテーションを行うときにゴールデンサークル理論を活用することで、よりメッセージ性の高いプレゼンができるようになるといわれています。
概要だけだとあまりイメージしにくいかもしれません。そこで、次にゴールデンサークル理論の伝え方を具体的にみていきましょう。
ゴールデンサークル理論の伝え方とは
ゴールデンサークル理論の伝え方は一般的なプレゼン方法と大きく異なります。
一般的なプレゼンでは、WHAT(なにを)から説明をはじめて、HOW(どのように)に続きます。そして、最終的にWHY(なぜ)へと進んでいきます。
とはいえ、多くのプレゼンでは、最終的なWHY(なぜ)の部分の説明を飛ばしてしまい、WHAT(なにを)とHOW(どのようにして)だけで完結していることがほとんどです。
つまり、物事に対する理由を説明していないので、聞き手側の感情に訴えかけることができないのです。
一方、ゴールデンサークル理論では、一般的なプレゼン方法と伝える順番が異なり、WHY(なぜ)からスタートします。
イメージとしては、WHY(なぜ)⇒HOW(どのように)⇒WHAT(何を)という順番となり、最初に理由を持ってくるのです。
WHY(なぜ)、HOW(どのように)、WHAT(何を)という3つの円を描いて、真ん中の核心部分に来るのがWHY(なぜ)です。次に中心に近い部分に来るのがHOW(どのようにして)、そして一番外側に来るのがWHAT(何を)です。
WHYからプレゼンをはじめることで、聞き手側の感情に強いイメージを与えられ、よりメッセージ性の強いプレゼンを実現できます。
Let’s start our presentation with “Why”!
訳)プレゼンテーションを”Why”で始めよう!
Sounds like a brand-new way of making a presentation.
訳)プレゼンテーションの斬新なやり方みたいに聞こえるよ。
“Why”「なぜ」
ゴールデンサークル理論の概要と構成要素を解説したので、1つ1つの構成要素を詳しく見ていきます。
Simon Sinek氏のTEDでのプレゼンを実際に視聴してみると、冒頭で “Why is Apple so innovative?”「アップルはなぜそんなに革新的なのか?」という質問を投げかけています。その後も “Why”で始まる質問を聴衆に投げかけて、その答えについて説明しています。
Simon Sinek氏はそのプレゼンの中で、”People don’t buy what you do, they buy why you do it”「人々はあなたがやっている何かではなく、なぜそれをするのかを買う」と言っていて、人の購買意欲を刺激するには、プレゼンやマーケティングの中で”Why”から説明していくのが一番効果的だという理論を述べています。
おそらく人々のビジネスには、個人的なあるいは使命に基づいた “Why”「なぜ」があって、会社の ”Mission statement”(使命声明)を述べる上でも、その”Why”を明確にして説明した方が、消費者の心に響きます。
”Sustainable”「持続可能な」、”Eco-friendly”「地球環境にやさしい」、”Carbon Neutrality”「カーボンニュートラリティ」などといった”Mission statement”を掲げて、「その”Mission”「使命」を達成しなければならないから」このビジネスをやっているといった具合に、まず”Why”「なぜ」から消費者の心に訴えるべきだと説明しています。
“How”「どのように」
ゴールデンサークル理論の中では、”How”「どのように」その”Why”という目標を達成するかについても取り上げています。
その理論のプレゼンにはないですが、Amazonを例に挙げて、”Why”と”How”について解説します。Amazonの”Why”の目標は、その公式サイトに下記のように明記されています。
Our mission is to continually raise the bar of the customer experience by using the internet and technology to help consumers find, discover and buy anything, and empower businesses and content creators to maximize their success.
「私たちの使命は、インターネットとテクノロジーを駆使して、消費者があらゆるものを見つけ、発見し、購入できるようにすることで、顧客体験の水準を継続的に引き上げ、企業やコンテンツ制作者が最大限の成功を収められるようにすることです。」
Amazonはどのようにこの目標を達成し、eコマース業界の強豪となったのでしょうか。
Amazonは使いやすい頑強なプラットフォームを構築し、何千もの商店を単一のオンライン市場にまとめました。また、迅速な配送をより低コストで実現するために、配送システムも整えました。
目標を達成するために「方法」を考えて実行することがいかに重要かが分かりますね。
“What” 「何を」
ゴールデンサークル理論の最後の側面は、あなたの会社が提供する製品やサービスに関して、実際に 「何を」しているかということです。
“Why”「なぜ」の目標をかかげ、その目標をどうやって達成するかという方法を具体的にして、最後のこの部分によって、会社は市場においてユニークで革新的な業界のリーダーとして位置づけられるはずです。
提供するものやサービスが、自社ブランドを定義する「なぜ」と「どのように」に、どのように対応しているかを考えることが重要です。自社製品やサービスの何が、その会社の目標を強化するのかを考えます。
Aさん
Regardless of “what” you are selling, your product or service must be related to the company’s primary vision and motivation.
訳)何を売っているかに関わらず、製品やサービスは、その会社の主要なビジョンやモチベーションに関連していなければなりません。
ゴールデンサークル理論の講義を活用しよう
ゴールデンサークル理論はマーケティングやビジネスシーンなどで活用できますが、実はゴールデンサークル理論の講義自体を活用することで英語学習に役立てるのです。
もともと、ゴールデンサークル理論はSimon Sinek氏がTEDの講義の中で提唱した理論であり、Simon Sinek氏の講義を英語で聞くことで、英語学習に活かせます。
ゴールデンサークル理論の講義を活用するメリット
ここでは、Simon Sinek氏が提唱するゴールデンサークル理論の講義を活用するメリットについてみていきましょう。
プレゼンターの英語を聞ける
Simon Sinek氏が講義をしたのはTEDと呼ばれる世界中の著名人が講演をする組織です。
TEDでは、過去にマイクロソフトの創業者であるBill Gates氏、アップルのSteven Jobs氏やSan Berns氏のほか、日本からは堀江 貴文氏や植松 努氏などが講演しています。
TEDでは世界各国の著名人のプレゼンを英語で聞けるので、上手な英語の使い方やプレゼン方法を学べます。
また、動画配信サイトからいつでも自由に視聴できるので、時間を選ばずに自分のタイミングで見られるのが特徴です。
たとえば、移動中などの少しの時間だけでも視聴すれば、必然的に英語を聞けるので英語学習に役立てるでしょう。
最近は字幕付きの動画もあり、そういった動画を活用すれば、どういう表現がどういった意味で使われているのかを確認しながら視聴できます。
上手な英語を身につけられる
ゴールデンサークル理論が提唱されたTEDでは、各著名人が秀逸したプレゼンスキルで公園を行います。
そのため、生の英語を聞けるのはもちろん、聞き手側に訴えかけられるような上手な英語を身につけられるでしょう。
英語のプレゼンでは、完璧な英語であっても、普通に話をしているだけでは上手なプレゼンとはいえません。
抑揚をつけたり、適切な表現を選んだりなど、伝え方に工夫が必要なのです。
ここでポイントになるのが、ゴールデンサークル理論に則ったプレゼン方法です。
ゴールデンサークル理論の提唱者であるSimon Sinek氏の講演を視聴すると、わかりやすいだけでなく、キャッチーな印象を受けるでしょう。
これはゴールデンサークル理論に則ったプレゼンという理由だけでなく、適切な英語表現が選ばれているからなのです。
とはいえ、Simon Sinek氏の英語は少し早めなので、リスニングが得意でない方からすると、聞きにくいかもしれません。
ただ、TEDでは英語字幕を表示させられるので、英語字幕を表示させて視聴すれば、頭に入ってきやすいでしょう。
もしくは、スピードコントロール機能がついたプレイヤーがあれば、再生スピードを少し遅くして視聴するのもおすすめです。
そのほか、TEDにはスクリプト機能がついているので、講演者のプレゼンを文字起こししたものを閲覧できるようになっています。
しかも、英語だけでなく、日本語訳も見られるので、スクリプトを使いながら英語学習できるのもメリットといえるでしょう。
幅広い知識を身につけられる
ゴールデンサークル理論をはじめとして、TEDではさまざまな有益な情報を知ることができます。
つまり、英語学習に役立てられるだけでなく、幅広い知識を身につけられるのがメリットでしょう。
とくにゴールデンサークル理論のようなプレゼン手法については、ビジネスシーンだけでなく学校などでも活用できるので、大きなメリットがあるでしょう。
ゴールデンサークル理論の講演で使われる英語表現
ここでは、実際の講演で使われた実際に使える英語表現をみていきましょう。
ゴールデンサークル理論の中で実際に出てきた表現なので、そのまま覚えておくと便利ですよ。
- turn out:明らかになる
- regardless of~:~に関係なく
- from the inside out:内から外へ
- complete opposite to~:~とは完全に逆
- whether A or B:AやBであっても
- inspired leaders:素晴らしいリーダーたち
- The goal is not just~:目標は単に~というわけではなく、
- rationalize:合理化する
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はゴールデンサークル理論について紹介しました。さらに、ゴールデンサークル理論が提唱されたTED講演を英語学習に活用するメリットについても解説しました。
ゴールデンサークル理論は一般的なプレゼン方法とは異なる手法であり、聞き手側の感情に訴えかけられるプレゼン手法です。
また、TEDは世界各国の著名人による講演を英語で聞けるので、英語学習に役立つのはもちろん、幅広い知識を身につけられるのがメリットでしょう。
ぜひ、この機会にぜひTEDでゴールデンサークル理論を提唱するSimon Sinek氏の講演を視聴してみてはいかがでしょうか。