丁寧で心のこもった「おもてなし」は、日本を訪れる外国人観光客がとても楽しみにしていることのひとつです。

チップを払って対価を得るのが当たり前の欧米に対し、日本ではコンビニやスーパー、ファストフードなど、どこにいても親切な対応をしてもらえます。

そんな日本文化の象徴ともいえる「おもてなし」を英語では何と言うか知っていますか?

今回は「おもてなし」を意味する英語とビジネスシーンに役立つ便利なフレーズを紹介します。

日本と海外のおもてなしの違い

「お客様は神様」という言葉があるように、日本ではどんな場所でも親切で丁寧なサービスが受けられます。

いつでも笑顔で迅速な対応ができる日本人の素晴らしさを、帰国して改めて実感したという人も多いのではないでしょうか。

相手を思いやる細やかな気遣いは、日本特有の「おもてなし文化」といえます。

海外でもお金を払えば相応のサービスが受けられますが、チップやサービス料を取らないお店では、日本のような丁寧な対応は期待できません。

アメリカのスーパーで、店員同士がおしゃべりに夢中になっている光景は日常茶飯事です。店員だけでなくお客様とも楽しく会話することは、海外ではフレンドリーで親しみやすく良い接客と思われています。

対して、素早く正確に会計を終えることが重要視されている日本では、店員の私語など言語道断です。見つかり次第すぐにクレームが来てしまい、繰り返す場合は最悪クビになることもあるでしょう。

ときに過剰とも思える接客が日本では良しとされており、海外の人からは非常に驚かれてしまうのも事実です。

おもてなしを表す4つの英語

おもてなしを表す4つの英語

日本文化を象徴する「おもてなし」を表す英語はいくつもあります。
なかでも日本で使われる「おもてなし」の意味に近い表現を4つ紹介します。

hospitality

”hospitality”は、「おもてなし」に最も近い意味の英語です。

「親切」や「手厚いもてなし」といったニュアンスがあり、数年前にオリンピック招致のプレゼンテーションで話題になった「Omotenashi」は、”selfless hospitality”と表現されていました。

“generous”(寛大な)や“thoughtful”(手厚い)を付けると、より日本らしい「温かいおもてなし」を表現できます。

Aさん
Thank you for your generous hospitality.
訳)寛大におもてなしをいただき、ありがとうございました。
Aさん
Thank you so much for your thoughtful hospitality.
訳)心のこもったおもてなしをしてくださり、本当にありがとうございました。

「家庭的なおもてなし」に感動したときは、下記のような言い方で伝えられます。

Aさん
Their hospitality has been great and made us feel at home.
訳)おもてなしは素晴らしく、自分の家にいるようでした。

「贅沢なおもてなし」や「最高のおもてなし」という意味で、「至れり尽くせり」と表現するときは、下記のような言い方もあります。

Aさん
They did more than what I had expected.
訳)期待していた以上のおもてなしでした。
Aさん
I couldn’t have asked for more.
訳)これ以上望むことはありません。

welcome

”welcome”は、誰もが知っている歓迎の意味を表す英語です。

「ようこそ!」「いらっしゃい!」と訳す以外に、「喜んでおもてなしをする」「温かくもてなす」といった意味があります。

Aさん
We always welcome foreign customers regardless of language.
訳)私たちはいつでも、言語を問わず海外のお客様をおもてなしします。
Aさん
I welcomed my new employee to the department with warmth.
訳)同じ部署に新しく入った社員をもてなしました。

entertain

”entertain”にも、「楽しませる」や「もてなす」「ごちそうする」という意味があります。日本語訳では「(食事やお酒をごちそうして)接待する」とするのがぴったりです。

Aさん
I entertained some of our foreign customers on the weekend.
訳)週末、海外から来たお客様を接待しました。

仕事上の食事という意味で”client dinner”という言い方もよく使われるので覚えておきましょう。

Aさん
I have a client dinner tomorrow.
訳)明日は、クライアントと食事(接待)があります。

roll out the red carpet

”roll out the red carpet”も、「おもてなし」を意味する英語として覚えておいて欲しい表現です。

アカデミー賞やグラミー賞の授賞式で海外セレブがレッドカーペットを歩く姿を見たことがある人は多いかと思います。

そんなレッドカーペットに由来した表現が”roll out the red carpet”です。直訳は「赤い絨毯を転がす」で、「盛大に歓迎する」「丁重にもてなす」を意味する1つの慣用句として丸暗記しておくと役立ちます。

Aさん
They rolled out the red carpet for us in Los Angeles.
訳)ロサンゼルスでは、丁寧なおもてなしを受けました。
Aさん
I will roll out the red carpet when you come to New York.
訳)ニューヨークに来られた際には、盛大にお祝いいたします。

ビジネスでも通用するおもてなしの英語フレーズ

ビジネスでも通用するおもてなしの英語フレーズ

「おもてなし」や「接待」は、日本に限ったことではありません。海外でも、取引先の重役を厚くもてなしたり、食事をごちそうして親交を深めたりする機会はたくさんみられます。

ビジネスシーンでも通用するおもてなしの英語フレーズを場面に分けて紹介します。

食事に誘うとき

食事に誘うときに使えるフレーズを紹介します。”would like to”を使って丁寧な表現をしているのが特徴です。

Aさん
We would like to invite you to dinner sometime next week.
訳)来週のご都合の良い日に、ディナーにご招待したいのですが。
Aさん
Would you like to have dinner together after this meeting?
訳)このミーティングが終わったら、夕食をご一緒にいかがですか?

お店で注文するとき

お店で注文するときに役立つフレーズを紹介します。
さり気なく相手の好みを聞くことで、その後の会話が弾み、好印象を持ってもらえるでしょう。

Aさん
Is there anything you’d like to eat?
訳)何か食べてみたいものはございますか?
Aさん
Would you like something more?
訳)追加で何か頼みたいものはございますか?
Aさん
Would you like another drink?
訳)もう一杯いかがですか?

話題を振るとき

接待で最も気を遣うのが話題選びです。当たり障りのない天候の話は、初対面のアイスブレイクとして定番の話題といえます。家庭を持っている既婚者には、家族の話も好まれるのでおすすめです。

Aさん
How did you find the weather in Hong Kong?
訳)香港の天気はどうでしたか?
Aさん
So, do you enjoy working in Tokyo?
訳)東京勤務はいかがですか?
Aさん
How long will you be staying here this time?
訳)今回はどのくらい滞在されるのですか?
Aさん
May I ask if you have kids?
訳)お子さんはいらっしゃいますか?

別れ際にお礼を言うとき

別れ際に挨拶するときも、おもてなしの心を忘れずに。
荷物にならない程度の軽い手土産を渡すと、より日本らしい心遣いが伝わり喜ばれることでしょう。

Aさん
I really appreciate everything you’ve done for me.
訳)本当に感謝しています。
Aさん
We had a wonderful time.
訳)素晴らしい時間をありがとうございました。
Aさん
This is a small gift for you. I hope you like it.
訳)つまらないものですが、気に入っていただけると嬉しいです。

まとめ

「おもてなし」を意味する英語とビジネスシーンに役立つ便利なフレーズを紹介しました。

海外の人にとっては驚いてしまうことも多い「おもてなし」は、相手のことを思いやる心から生まれた日本特有の文化です。

日本のおもてなしに「素晴らしい!」と感動する人もいれば、「丁寧すぎて居心地が悪い」と感じる人もいます。

世界のさまざまな文化を理解したうえで、相手に合った言葉選びや行動を通して、本当の意味での「おもてなし」ができるといいですね。