皆さんは、住宅をリフォームした経験がありますか?
私の場合、実家が祖父母の家と隣接しているのですが、祖父母の死後、両親が祖父母の家の内装をリフォームしました。一見すると昔ながらの日本家屋なのに、ドアを開けると現代的な空間が広がっていて、なんとも不思議な気持ちになります。
さて、そんなわけで今回のテーマは「リフォーム」です。日本語では家を改装することをリフォームと言いますが、英語でもそのままでよいのか、他の表現があるのか、詳しく確認していきます。
それでは、早速始めていきましょう!
「リフォーム(reform)」は英語でどういう意味?
日本語では、住宅の改装を指して「リフォーム」と言いますが、このような用法は完全な和製英語です。本来の英語にも “reform” という単語はありますが、まったく違う意味で使われます。ちなみに、発音記号は【rifɔ́ːrm】で、日本語と同様「リフォーム」と発音すれば問題ありません。
住宅の改装を英語で何と言うかについては後述するとして、まずは英語の reform の本来の意味について、詳しく確認していきましょう。
英語のリフォーム(reform)の意味①:改革する
英語の reform は、たいてい法律や制度などを「改革する、改善する」という意味で使われます。reform はもともと「形(form)を変える(re)」という構成になっていますが、この形は抽象的な形も表せます。そのため、内閣や法律などの、実際には形のないものの構造を変える際にも使えるのです。
本来の意味を考えると、住宅の改装に reform も使えなくはないですが、改革の意味が頭にチラつくため、少し大げさに聞こえる可能性があります。少なくとも、英語圏で住宅の改装を reform と呼ぶのは一般的ではないので、後に挙げる他の言い方をぜひマスターしておきましょう。
There are issues with the laws of this country, so it is essential to reform their content urgently.
訳)この国の法律には問題があるので、早急に内容を改革する必要があります。
英語のリフォーム(reform)の意味②:改心させる
英語の reform は、人を目的語に取る際は「改心させる」という意味になります。説得などによって、比喩的に心の形を変えるというイメージでしょう。先述の改革に比べると使用ケースは少ないですが、ぜひ覚えておきましょう。
また、reformed と過去分詞形にすると、「(昔は悪かったけれど)改心した、更生した」という意味の形容詞として使えます。
I’m a reformed delinquent.
訳)私、元ヤンなんだ。
Oh, I see.
訳)あ、そう。
住宅のリフォーム(改装)は英語で何て言う?
英語で住宅をリフォームする、つまり改装することを意味する際は、”renovate”、”remodel”、”redecorate”、”refurbish”、”update” が使われます。それぞれで改装の規模や目的などのニュアンスが異なるので、この機会に違いを確認していきましょう。
改装する①:renovate
日本語のリフォームとほぼ同じニュアンスで使えるのが “renovate(リノベート)” です。
renovate の原義は「再び(re)新しくする(novate)」であり、古くなった住宅などを住みやすく改装することを意味します。なお、「改装」と名詞で言いたい場合は “renovation(リノベーション)” になります。日本でもリフォームの代わりにリノベーションを使う企業が増えてきたので、聞き馴染みのある人も多いでしょう。
My parents’ house was renovated recently.
訳)私の実家は先日リフォームしました。
改装する②:remodel
建物の構造に手を加える大がかりなリフォームは “remodel(リモデル)” で表します。
remodel の原義は「再び(re)模型を作る(model)」であり、建物の設計図そのものを新しくすることを意味します。そのため、たとえば壁を取り払って2部屋を繋げたり、床面積を増やす増築をしたりする場合は、remodel が適切です。
なお、remodel と同等の大がかりなリフォームを、日本語では「スケルトンリフォーム」と呼ぶこともありますが、これも和製英語なので注意しましょう。
Since each room in this house is small, we’re planning a remodel involving changes to the layout.
訳)この家は各部屋が狭いので、間取り変更を伴うリフォームを計画しています。
改装する③:redecorate
壁紙や床を張り替えるなど、小規模なリフォームの場合は “redecorate(リデコレート)” と言うこともあります。
redecorate の原義は「再び(re)飾り付ける(decorate)」であり、建物そのものではなく、その表層の飾り付けだけに手を加えることを意味します。リフォームというほどでない「模様替え」も redecorate に含まれます。
日本語のリフォームは、壁の張り替えから建物全体の改装に至るまで、幅広く表せてしまう便利な言葉です。英語の場合、規模によって表現が変わるので、ぜひ覚えておきましょう。
Since the wallpaper was visibly dirty, we did a simple redecoration of the living room.
訳)壁紙の汚れが目立つので、リビングを簡単にリフォームしました。
改装する④:refurbish
“refurbish(リファービッシュ)” は、住宅の設備に不具合などがあった際、それを改善するようなリフォームを表します。
refurbish に含まれる furbish は、furniture(家具)と語源を同じくしています。つまり、原義的には「家具を新しくする」となり、住宅自体には手を加えないイメージになります。
とはいえ、ネイティブがそこまで厳密に使い分けているわけではないので、前述の redecorate とほぼ同じ意味だと考えてよいでしょう。
The furniture is quite worn out, so I’m thinking of refurbishing it.
訳)家具もだいぶくたびれてきたので、リフォームしようかと思います。
改装する⑤:update
“update(アップデート)” は、旧式になった設備を新型に変更するリフォームを表します。
update の原義は「日付(date)を上げる(up)」で、物の製造日を直近のものにすることです。そのため、たとえば2013年製の古い家電を2023年製の最新の物に変える場合、update が適切でしょう。
As the appliances are getting old and experiencing more malfunctions, we’re planning an overall update.
訳)家電が古くて故障が増えてきたから、全体的にリフォームする予定です。
まとめ
今回は「リフォーム」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
英語の reform は主に「改革」を表し、住宅の改装に使われることはほとんどありません。つまり、一種の和製英語だということです。
日本語のリフォームと一番意味が近いのは renovate です。大規模なものは remodel、簡単に終わる小規模なものは redecorate などとニュアンスによって使い分けもありますが、迷ったら renovate を使っておけば間違いないでしょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!