この「ことわざ」、「英語」で何と言う?シリーズ、今回は、「左右」のつく「ことわざ」を英語に翻訳してみました。

「左右」は、横・幅を差す方位の総称です。日本の食卓では「お茶碗がある方が左 汁物がある方が右」というマナーを小さい頃から習いますよね。

左右が差す方位は絶対的なものではなく、観測者によって上・下・前・後ろが定まったときにはじめてその方位が決まります。

人間にとって、上下は重力の方向を、前後は自己の進行方向を示す役割があります。しかし、左右には明確な定義がないため、左右という概念・単語を持たない民族・言語も存在しているそうですよ。

そんな「左右」のつく「ことわざ」を今回は5つ選んで英語に訳しました。

1.右の耳から左の耳

1.右の耳から左の耳

「右の耳から左の耳」は、聞いたことが右耳から左耳に抜けていくように、すぐ忘れてしまうという意味の「ことわざ」です。聞いているふりをしながらまったく別のことを考えている状態を指すこともあります。

子供の頃、お母さんに「宿題をやりなさい!」と怒られても、適当な返事をして忘れたままにしてしまった経験はありませんか? そんな状況はまさに「右の耳から左の耳」です。

英語では
“The words heard with the right ear escape from the left ear.”
と翻訳することができます。

”heard with the right ear” が”The words” を修飾することで、「右耳で聞いた言葉」という主語になり、”escape”が動詞となることで、全体で「右耳で聞いたことが左耳から逃げていく」という意味です。

どういうシチュエーションでこのことわざが使われるのか、チェックしてみましょう。

Aさん
My son got a terrible score on a test the other day, so I told him to study hard.
訳)私の息子は先日テストでひどい点数を取ったので、熱心に勉強するように彼に言いました。
Bさん
And then did he start to study hard?
訳)それで彼は熱心に勉強し始めましたか?
Aさん
No. Nothing has improved.
訳)いいえ。何も改善されていません。
Bさん
That’s just like the words heard with the right ear escape from the left ear.
訳)まさに、右の耳から左の耳」みたいですね。

2.左団扇(ひだりうちわ)で暮らす

「左団扇で暮らす」は、仕事をせずとも苦労せずのんびり暮らせることを意味する「ことわざ」です。扇子を仰いでいるだけで、なんとも優雅な雰囲気がありますよね。いつかはこんな暮らしを送っみたいものです。

文字通り「扇子を使ってのんびりと暮らす」と訳すこともできるでしょうが、扇子を使うことと、経済的に苦労せずにのんびり暮らことが、文化や社会によっては結びつかないでしょう。

英語では、シンプルに
“live comfortably” または
”live in clover”
と翻訳することができます。

英語を直訳すると、「快適に暮らす」や「裕福に暮らす」という意味になります。

例文をチェックしてみましょう。

Aさん
He made an amazing invention and patented it.
訳)彼はすごい発明をして、その発明で特許を取りました。
Bさん
He must be living comfortably now.
訳)彼はいま左団扇で暮らしているに違いない。

3.その右に出ずる者なし(そのみぎにいずるものなし)

3.その右に出ずる者なし(そのみぎにいずるものなし)

中国・漢の時代には「右」は「上席」という意味を持っていたそうです。「その右に出ずる者なし」は、その人よりも優れた人はいないことを表す「ことわざ」です。

英語では
“S is second to none”
と翻訳することができます。

“second to none”は、誰に対しても「二番手にならない」という意味です。受験の際に、イディオムで習った人もおられるかもしれません。例文を見てみましょう。

Aさん
Dodgers star Chris Taylor praised Shohei Otani like this: “His work ethics is second to none.”
訳)ドジャーズのスター選手 クリス・テイラーは、「彼の労働倫理は、その右に出ずる者なし」と言って、大谷翔平をほめました。

“second to none”は、日常会話でもよく使われる表現ですので、機会があれば、ぜひ使ってみましょう。

4.右の手で放して 左の手で握る

「右の手で放して 左の手で握る」は、一方で関係を断ち、また一方では関係をつなぐことを意味する「ことわざ」です。

両方とひっそりと関係を結んでいることから、ズルいやり方と見られることもありますが、国同士の外交ではよくみられる現象です。個人的な人間関係においては、会社などでこういったやり方を使って出世していく人もいるのかもしれません。

英語では
“Break the relationship with the right hand and cooperate with others with the left hand.”
と翻訳することができます。

直訳すると「右の手で協力関係を壊し、左の手では他と協力する」という意味です。

どういうシチュエーションでこのことわざが使われるのか、チェックしてみましょう。

Aさん
The tech company decided to end a joint venture with a hardware manufacturer due to conflicts of interest but start a new partnership with a software company.
訳)そのハイテク企業は、利益相反のためにハードウェアメーカーとの合弁を解消し、ソフトウェア企業と新たな提携を始めることを決めました。
Bさん
I see. The company broke the relationship with the right hand and cooperated with others with the left hand.”
訳)なるほど。その会社は、右手で放して、左手で握ったのですね。

「握る」は「協力する」という意味で使われていますね。

5. 右と言えば左

5. 右と言えば左

「右と言えば左」というのは、「人の言うことにすべて反対すること」を意味します。

その意味を表すように翻訳すると
“Whatever I say, you say the opposite.”
と翻訳することができます。

主語の部分は、文脈に合わせて変更することができます。

どんなシチュエーションで、この文が使われるかを見ていきましょう。

Aさん
According to this research, climate change is worsening year by year.
訳)この調査によれば、気候変動は年々 悪化しています。
Bさん
But climate change has always been cyclical.
訳)しかし、気候変動は常に周期的なものです。
Aさん
Whatever I say, you say the opposite, even when the evidence is clear.
訳)あなたはいつも私が右と言えば左と言いますね。証拠が明確な時でさえ。

”cyclical”は「周期的な」という意味で、cycle「周期」の形容詞形です。

毎年、特に夏場に気温上昇がひどくなってきていて、地球温暖化や気候変動がますます悪化していることを痛感せずにはいられないですね。

Aさん
Burning fossil fuels produces carbon dioxide, causing global warming, which leads to the climate change.
訳)化石燃料を燃やすことが二酸化炭素を発生させて、地球温暖化を引き起こし、それが気候変動につながっています。
Bさん
The temperature rise is getting worse, especially in summer, year by year, and I can’t help but feel keenly aware that global warming and climate change are getting worse.
訳)毎年、特に夏場に気温上昇がひどくなってきていて、地球温暖化や気候変動が悪化していることを痛感せずにはいられないですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、「左右」のつく言葉にまつわる「ことわざ」をまとめてみました。「左右」は方位を示していることから、方角や向きを現す「ことわざ」ばかりでした。

「左右」のつく言葉にまつわる「ことわざ」は意外とたくさんあるものですね。そのことわざの英語への翻訳も提示して、シチュエーションに応じて、そのことわざがどのように使えるかも紹介しました。

英語の学習では「右の耳から左の耳」にならないように、しっかりと耳で聞いて復習するように心がけましょう!

今後も様々な「ことわざ」や「名言」を翻訳していきますので、お楽しみに!