工事が行われている場所は「工事現場」、事件があった場所は「事件現場」などと、日本語の「現場」は色々な意味で使われる言葉です。しかし、同じ現場という単語が使われているものの、それぞれのニュアンスは少し違っていますよね。これらを英語で表現する場合、同じ言葉で済むのか、違う言葉を使い分ける必要があるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
ということで、今回のテーマは「現場」です。英語で現場を表す単語を4つ取り上げ、それぞれの意味やニュアンスの違いを詳しく解説していきます。これを読めば、英語でも色々な「現場」のニュアンスを言い分けられるようになりますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
「現場」は英語で何て言う?
「現場」を英語で言いたい場合は、”site”、”scene”、”spot”、”branch” などが使われます。
ただ、一括りに「現場」といっても、それぞれに表す意味やニュアンスが異なるので、適切に使い分ける必要があります。
各表現の違いについて、以下で詳しく確認していきましょう。
工事現場などを表す “site”
“site” は、何か作業や活動が行われている場所としての「現場」を表します。発音記号は【saɪt】で、カタカナだと「サイト」です。
site の語源を遡ると、ラテン語で「置かれた場所」を表す “situs” に行き着きます。そのイメージから、site は主に何かが置かれている本拠地のような場所を表します。
たとえば “construction site” と言った場合は「工事現場、建設現場」の意味です。工事用の資材などがその場に置かれているイメージになります。
When there’s a construction site nearby, you have to tolerate some level of noise.
訳)工事現場が近くにあると、ある程度の騒音には我慢しなければなりません。
Construction sites often seem like secret bases to children, and they tend to sneak in, causing concerns.
訳)建設現場は子どもにとって秘密基地のように見えるのか、しばしば忍び込まれて困ります。
事件現場などを表す “scene”
“scene” は、何かしらのイベント、特にネガティブな出来事が発生する「現場」を表します。発音記号は【siːn】で、カタカナだと「シーン」です。
scene の語源はラテン語で「舞台」を表していた “scena” であり、そこから舞台上で起こり得る劇的な出来事というニュアンスが残っています。日本でも劇的というと、しばしばネガティブなニュアンスになるのと同様、英語の scene も、「事故現場(accident scene)」や「事件現場(crime scene)」などといった、ネガティブな現場を表す際によく使われます。
When I’m driving on the highway and encounter an accident scene, I realize the need to be cautious while driving.
訳)高速道路を走っていて事故現場に遭遇すると、運転に気を付けなければいけないと実感します。
The incident isn’t happening in the conference room; it’s happening at the scene!
訳)事件は会議室で起こっているんじゃない、現場で起こってるんだ!
広い領域の現場を表す “field”
“field” は、野外などで広大に広がる「現場」を表します。発音記号は【fiːld】で、カタカナだと「フィールド」と読みます。
filed は、古代ゲルマン語で「野原」を意味していた feld を語源にしていて、そのコアイメージは草が青々と茂っている広大な草原です。そのため、「現場」と言った際に広い場所がイメージされる場合は field が適しています。
たとえば、営業職の方々にとっての現場、農業に従事する方々にとっての現場などは、field を使うとイメージがぴったりでしょう。
The job of sales requires you to learn by being on the field using your own feet.
訳)営業の仕事は、自分の足を使って現場で覚える必要があります。
会社における現場は “branch”
日本語で「現場」と言う場合、顧客と直接やり取りしたり、実務にあたったりする部署や人材のことを指すこともあります。このような現場感を英語で表す際は “branch” が適しているでしょう。発音記号は【brˈæntʃ】、カタカナだと「ブランチ」と読みます。
branch はもともと樹木の枝を意味する言葉ですが、会社という組織全体を木に見立て、その末端にある部分という意味で「支店」や「支社」を意味するようになりました。
そのため、「本社と現場(Headquarters and the branches)」や「現場にこだわって仕事する(work exclusively at the branches)」などの使い方では、branch を使うと通じやすいでしょう。
There is often a temperature difference between the headquarters and the branches.
訳)本社と現場には、往々にして温度差があるものです。
「現場監督」など、現場の関連表現を英語で言ってみよう!
最後に、現場の関連表現として「現場監督」と「教育現場」を英語で何と言うか、詳しく確認していきます。
ここまでに挙げた「現場」の英語表現をそのまま使うのか、それとも違う表現を使うのか、ぜひ考えながらチェックしてみてください。
「現場監督」in English
「現場監督」は英語で “site supervisor” や “site foreman” と言うのが一般的です。現場監督と言った場合、現場の表す意味は十中八九「工事現場(建設現場)」なので、site が使われます。
ここで使われている supervisor(スーパーヴァイザー)は「監督する人」、foreman(フォアマン)は「現場の長」というニュアンスがあります。そのため、たとえば本社から来ている現場監督なら site supervisor が、親方として皆をまとめているなら site foreman を使うとよいでしょう。
My father works as the site supervisor for a planned tower apartment construction project near the station.
訳)私の父は、駅前に建設予定のタワーマンションの現場監督をしています。
「教育現場」in English
日本で「教育現場」と言う場合は、主に生徒を直接指導する学校、およびそこで行われている教育の実態を表します。この場合、実際の場所というよりも、概念として語ることが多いので、先述の「現場」を表す単語だと上手く伝わらない可能性があります。
英語で「教育現場」を伝えたい場合は “environment for education” や “educational front” などを使うとよいでしょう。environment(エンヴァイロメント)は「環境」という意味で、教育を取り巻く状勢というニュアンスが伝わります。また、front(フロント)は「(最)前線」という意味で、今まさに教育が行われている場所というニュアンスが表現できます。
In the environment of education, there is a severe shortage of teachers, and some measures are urgently needed.
訳)教育現場では、教師が全然足りていないので、何か対策が必要とされています。
まとめ
今回は「現場」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
工事現場などの作業が行われる現場は “site”、事故などのネガティブな出来事が起こる現場は “scene”、そして広大な現場は “field” で表します。また、会社で本社と分けて言う現場(支店)の場合は “branch” が適切でしょう。
一言で現場と言っても、ニュアンスがさまざまです。今回ご紹介したことを参考に、それぞれの現場を英語でもしっかり使い分けていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!