「これは○○からの抜粋です」と言いたいのに、英語がわからず言葉に詰まってしまった経験はありませんか?

「抜粋」は、日本語でも日常会話ではあまり耳にしないかもしれませんが、ビジネスシーンでは比較的使用頻度の高い言葉です。
的確な英語を知っていると、プレゼンやスピーチなど、いざというときにも役立ちます。

今回は、英語で何て言えばいいの?と困っている人へ向けて、「抜粋」を意味する2つの英語と関連表現を紹介します。

「抜粋」を表す “excerpt” と “extract”

「抜粋」を表す excerpt と extract「抜粋」を意味する英語には、”excerpt” と “extract”の2つがあります。

  • excerpt
  • extract

日本語訳ではどちらも同じ「抜粋」ですが、英語では抜粋の対象によって使い方が異なります。
単語の持つ意味とニュアンスを理解し、正しい使い方を習得することが大切です。

では、それぞれを詳しく解説していきましょう。

 

本・映画・音楽の「抜粋」は “excerpt”

“excerpt”は「抜粋」を意味する最も一般的な英語です。
“excerpt”の発音は、動詞として使用する場合は[/ekˈsɜːrpt/] で、カタカナにすると「エクスァープトゥ」、名詞として使用する場合は[/ˈeksɜːrpt/] で、カタカナにすると「クスァープトゥ」となり、アクセントの位置が変わります。

英英辞書にも“from a speech, book, film, etc.”と書かれている通り、“excerpt”は、おもに本や映画、音楽などから一部を抜粋するときに使われます。

全体から一部を取り出す行為を指しており、抜粋した部分が全体を代表するような意味合いを持つことが多いでしょう。

a short part taken from a speech, book, film, etc.
スピーチ、本、映画などから抜粋した短い部分

参考:EXCERPT | 意味, Cambridge 英語辞書での定義

“excerpt”とともに使われることの多い単語には、以下のようなものが挙げられます。

  • book 本
  • movie 映画
  • music 音楽

例文を参考に”excerpt”の使い方を練習してみましょう。

【例文1】

Aさん
What did you excerpt this paragraph from?
訳)このパラグラフは何から抜粋したの?
Bさん
I excerpted from these references.
訳)これらの参考文献から一部抜粋させてもらったんだ。

 

【例文2】

Aさん
This is an excerpt from the famous book Kafka on the Shore by Haruki Murakami.
訳)これは村上春樹の名著、「海辺のカフカ」からの抜粋だよ。
Bさん
I’ve heard of that!I have read an excerpt from the book.
訳)聞いたことある!その本の一部抜粋を読んだことがあるよ。

 

【例文3】

Aさん
Have you already read the magazine that published an excerpt of their interview?
訳)インタビューの一部抜粋が掲載された雑誌はもう読んだ?
Bさん
Yes, it said they played excerpts from the famous symphony.
訳)彼らは有名な交響曲を抜粋して演奏したんだってね。

 

抜粋した部分に”abr”と表記されていることがありますが、これは”abridgment”(本の抜粋や要約)を略したものなので、類似表現として一緒に覚えておくと役立ちます。

なお、”excerpt”は「抜粋する」という動詞の意味も持っているので、例文で使い方を確認してみましょう。

【例文4】

Aさん
I will present it after editing the comment a little and excerpting only the necessary parts.
訳)コメントを少し編集して、必要な部分だけを抜粋して紹介するね。
Bさん
That would be great. Thanks.
訳)そうしてくれると助かるよ。ありがとう。

 

【例文5】

Aさん
I would like to know how to do this when excerpting text from an informal email.
訳)非公式な電子メールからテキストを抜粋するときのやり方を知りたいの。
Bさん
Could you please watch carefully as I do it now?
訳)今からやるのをよく見てて。

 

文書・データなど特定情報の「抜粋」は “extract”

“extract”も、「抜粋」を意味する代表的な英語です。
“extract”の発音は、動詞として使用する場合は[/ɪkˈstrækt/]で、カタカナにすると「イクストゥラァクト」、名詞として使用する場合は[/ˈekstrækt/]で、カタカナにすると「クストゥラァクト」となり、頭文字の発音とアクセントの位置が変わります。
スペルが似ている”excerpt”と読み間違えないように注意してくださいね。

英英辞書にも”a particular part”と書かれている通り、“extract”は、文書やデータなど、特定の情報を取り出すときに使われる英語です。

全体から一部を抜粋するという点では”excerpt”と同じですが、”extract”は、より特定の情報やデータを取り出すという意味合いが強くなります。

a particular part of a book, poem, etc. that is chosen so that it can be used in a discussion, article, etc.
本や詩などの特定部分を選び、議論や記事などで使えるようにしたもの

参考:EXTRACT | 意味, Cambridge 英語辞書での定義

“extract”とともに使われることの多い単語には、以下のようなものが挙げられます。

      • data データ
      • information 情報
      • text テキスト
      • document 文書

例文を参考に”extract”の使い方を練習してみましょう。

【例文1】

Aさん
Do you know that we published an extract from his autobiography?
訳)彼の自伝の抜粋を出版したことは知ってる?
Bさん
That’s news to me! He’s my favorite author and I can’t wait to read that.
訳)それは初耳だ。好きな作家だから早く読みたいなあ。

 

【例文2】

Aさん
Is this extract from the video diary made by the popular influencer?
訳)これは人気インフルエンサーが作ったビデオダイアリーから抜粋したもの?

Bさん
That’s it! He uploads interesting videos every time so I never get bored.
訳)そうそう。毎回面白い動画をアップしてくれるから飽きないんだ。

 

“extract”にも「抜粋する」という動詞の意味があるので、例文で正しい使い方をチェックしましょう。

【例文3】

Aさん
I obviously can’t extract everything, so I’m going to arbitrarily introduce the three parts that resonated with me the most.
訳)さすがに全て抜粋するわけにはいかないので、最も心に刺さった3つを独断で紹介するね。
Bさん
Okay. Go ahead.
訳)どうぞどうぞ。

 

【例文4】

Aさん
I was going to extract it, but there are too many parts I sympathize with, so let me stop around here.
訳)抜粋するつもりが、共感した部分があまりに多すぎたのでこの辺で。
Bさん
I see. Thank you for sharing with me.
訳)わかった。教えてくれてありがとう。

 

【例文5】

Aさん
Could you help me extract the important information from this document?
訳)この文書から大事な部分を抜粋するのを手伝ってもらえないかな?
Bさん
Okay. First, we need to divide this study into three phases and extract data for each.
訳)まかせて。まずはこの研究を3つに分けて、それぞれのデータを抜粋する必要があるね。

 

「抜粋」に関連した英語表現

「抜粋」に関連した英語表現本や詩、文書やデータから「抜粋」したときには、合わせて「引用」や「参照」と書くことも多いかと思います。

続いては、「抜粋」に関連した「引用」または「参照」に使える英語表現を3つ紹介します。

          • quote
          • cite
          • refer

では、それぞれの意味と使い方を詳しく解説していきましょう。

 

丸ごと引用するときの “quote”

一語一句すべて正確に引用するときに使うのが”quote”です。
“to quote B from A”で「AからBを引用する」と表現します。

【例文1】

Aさん
My dad often quotes from Shakespeare.
訳)父はよくシェイクスピアの言葉を引用するの。
Bさん
That’s because there are so many famous quotes.
訳)名言がたくさんあるもんね。

 

意訳して引用するときの “cite”

元の情報を意訳、編集して引用するときに使うのが”cite”です。
“cited from A”「Aからの引用」という表現は、レポートや論文などでも見かけるので知っている人もいるかもしれませんね。

【例文1】

Aさん
This time, I cited many studies in my report.
訳)今回、レポートに多くの研究を引用したんだ。
Bさん
It was good and very easy to read.
訳)読みやすくて良かったよ。

 

よりカジュアルな “refer”

同じ「引用」の意味でも、”quote”と”cite”よりもカジュアルな英語が”refer”です。
“to refer”で「参照する」や「言及する」という意味になり、日本語でもよく聞く「リファレンス」はこの意味で使われています。

【例文1】

Aさん
Dr. Smith said to me, ‘Please refer to at least seven authors in this paper.’
訳)スミス先生が、この論文では少なくとも7人の作家を引用してください、と言っていたの。
Bさん
Really? That’s a lot.
訳)え、7人も?多いね。

 

まとめ

「抜粋」を意味する2つの英語”excerpt”と”extract”、さらに「抜粋」に関連した表現を紹介しました。

“excerpt”と”extract”は、どちらも「抜粋」の英語としてとてもよく使われる単語です。
スペルは似ていますが、本や映画、音楽などの抜粋には”excerpt”を、文書やデータなど特定の情報の抜粋には”extract”を使います。

「引用」を表す”quote”、”cite”、”refer”も、非常に使用頻度の高い英語なので、合わせて覚えておくとよいでしょう。

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