会話表現で使われることが多い否定疑問文、文法的には否定文を疑問形にしたものなのですが、その否定疑問文を使うことで反語的な意味を含ませたり、丁寧な言い回しができるようになります。今回は、否定疑問文とはどういったものなのか、否定疑問文独特のニュアンスについて、混乱しやすい否定疑問文に対する答え方など、例文を用いて詳しくご紹介します。

英語の「否定疑問文」とは?

英語には「否定疑問」と呼ばれる表現方法があります。「negative questions」といいます。疑問文に否定語として使われている「not」を組み合わせることで、否定疑問文を作ることができます。否定疑問文はbe動詞、一般動詞、過去形、助動詞を使った場合でも作ることができます。

否定疑問文を使う場面はどんな時?

否定疑問文の使い方は事前に約束されていたわけではないのだけれども「こうじゃなかったかな?」という出来事に確認をとる時、否定疑問文を使います。他にも否定疑問文を使う事で「○○するといいと思いませんか?」というように、より丁寧に自分の意見を伝えることができます。他にも丁寧な言い回しで相手にお願いをしたり、提案したり、苦情をいう時に否定疑問文を使います。

否定疑問文独特のニュアンスとは?

否定疑問文を使うことで、相手に自分と同じ意見であることを求めたり、自分が考えていた予想と違った驚きを表現したり、反語の含みを持たせたニュアンスが表現できます。

Aさん
Isn’t it cheep?
訳)それ少し安くない?
(それもう少し高くてもいいよね)

Aさん
Didn’t you see Ann yesterday? How is she doing?
訳)昨日アンを見なかった?彼女どうしたのかしら?
(あなたは昨日、アンと会っている思うんだけど。)

疑問文に「not」を加え否定疑問文を作る

否定疑問文はbe動詞でもdo/doesといった一般動詞でも、be動詞、一般動詞の過去形であっても、willやcanといった助動詞を使った場合でも作ることができます。否定疑問文の作り方は、疑問文にnotをプラスし、短縮の否定形で表します。例えば「Are you ~?」であれば「Aren’t you ~?」「Is he ~?」であれば「Isn’t he ~?」、一般動詞の場合は「Don’t you ~?」や「Doesn’t she ~?」というようになります。過去形では「Didn’t you ~?」「Wasn’t she ~?」、助動詞を使う場合は「Couldn’t you ~?」「Won’t you ~?」といった具合です。

否定疑問文を作るためのルールは、それほど難しいものではないので、いろいろなパターンを覚え、使って見るとよいでしょう。

英語の「否定疑問文」を使った例

まずは疑問文と否定疑問文の違いを見てみましょう。

Aさん
Are you sleep?
訳)あなたは眠いですか?
Aさん
Aren’t you sleep?
訳)あなたは眠くないのですか?

疑問文は単純に今相手が眠いかどうかを問うているのに対し、否定疑問文では、あんなに遅くまで起きていたのに本当に眠くないの?といった驚きや全く眠くないの?といった確認の気持ちが含まれています。

他にも

Aさん
Do you like Japanese tea?
訳)緑茶は好きですか?
Aさん
Don’t you like Japanese tea?
訳)緑茶は好きではないですか?

この場合も否定疑問を使うことで、確か緑茶は好きではなかったよね?という確認と、緑茶を好きではなかったんだね?という驚きを表現しています。

否定疑問文を使うことで丁寧な言い方で自分の意見を表現することもできます。

Aさん
Wouldn’t it be nice to paint that wall green?
訳)壁を緑に塗るといいと思いませんか?

壁を緑にぬった方がいいと思うということを否定疑問文を使うことでやんわりとした言い方に変えています。

相手に同意して欲しい時にも否定疑問文を使うことがあります。

Aさん
Don’t you think so?
訳)あなたはそう思わないの?

これには「あなたもそう思うよね」「そうだと言ってほしい」という同意を求める気持ちが込められています。

相手を否定したり非難するような意味を含んだ使われ方をする事もあります。

Aさん
Aren’t you coming?
訳)あなたはこないのですか?

話し手は、来ると思っていたのに、なんで来ないの?という否定的な意味合いが含まれています。話し手が、想定していた出来事が起こると思っていたのに起こらなかったなど、予想に反した時に驚きや否定的な気持ちを込めて使われます。

否定疑問文は、丁寧な言い方で相手に提案をする時にも使われます。

Aさん
Wouldn’t you like something to drink?
訳)なにか飲まれますか?
Aさん
Would you like something to drink?
訳)なにか飲まれますか?

どちらも意味合いは変わらないのですが、Would you likeよりもWouldn’t you likeの方がより控えめで丁寧な言い回しとなります。丁寧な言い回しは日本語の敬語にあたり、ビジネスシーンで多く使われます。

Whyに否定疑問文を組み合わせた丁寧な言いまわしで、相手に提案したり、誘う表現方法もあります。

Aさん
Why don’t you come and spend the evening with us?
訳)私たちと夜、ご一緒しませんか?
Aさん
Why don’t we go for a drink?
訳)飲みに行きませんか?

Why don’t we go for a drink?とLet’s go for a drinkは一緒に飲みに行こうと誘う行為は同じなのですが、「Why don’t ~」は話し手が「どうですか?」と相手の様子を伺う姿勢があるのに対し、「Let’s ~」は行動することが前提で誘う時に使われます。

他にも、助動詞を組み合わせて未来について問う時は、「wil」の否定形「won’t」を使います。

Aさん
Won’t you finish your important work by tomorrow?
訳)明日までに大事な仕事は終わらないのですか?
Aさん
Won’t it be rainy tomorrow?
訳)明日雨は降らないのですか?

「can」を組み合わせて

Aさん
Can’t she eat fresh fish?
訳)彼女は生魚が食べられないですか?
Aさん
Haven’t you lived here for a long time?
訳)あなたはここに長く住んでいるわけではないのですか?

否定疑問文は現在完了の形でも使うことができます。

英語の「否定疑問文」の答え方

否定疑問文の答え方にはコツが必要です。例文を使って見ていきましょう。

Aさん
Don’t you come with me?
訳)一緒に来ませんか?
Bさん
Yes, I do.
訳)いいえ、一緒に行きます。

 

Bさん
No, I don’t.
訳)はい、一緒に行きません。

 

 

「Don’t you come with me?」という質問者からの問いに対して相手は、どのように答えればよいのでしょうか。行かない場合日本語では、「はい、一緒に行きません。」と答えるので、それをこのまま英語にしたくなってしまうのですが、それをしてしまうと「Yes, I don’t」となってしまい、Yesとdon’tの整合性がとれなくなってしまいます。

 

一緒に行く場合も同じように「いいえ、一緒に行きます。」と日本語では答えたくなり、これをそのまま英語にしてしまうと「No, I do.」となってしまうのです。こちらもNoとdoの整合性がとれずおかしな英語となってしまいます。

 

Don’t you come with me?に対する返答は、一緒に行くのならば答えは「Yes」、行かないのならば「No」を選びましょう。相手の質問に対して「Yes」か「No」を決めるのではなく、「一緒に行く」のならば「Yes」を「一緒に行かない」のならば「No」と自分がとる行動や状態に合わせて「Yes」か「No」を選びます。

 

つまり「Don’t you come with me?」の質問に対しての返答は、一緒に行く場合は「Yes, I do.」(いいえ、一緒に行きます。)となり、「No, I don’t.」が「はい、一緒に行きません。」ということになります。

 

セオリーはわかったけれども考えながら答えると、こんがらがってよくわからなくなってしまうという場合は、否定疑問文を疑問文に置き換え、答えを考えるという方法もあります。否定疑問文の答えは、結局は疑問文の答えと同じになるからです。

 

例えば否定疑問文「Don’t you come with me?」を疑問文の形で表すと「Do you come with me?」となります。質問者が「一緒にきますか?」と質問したとしたら、行く場合は「Yes,I do.」を選び、行かない場合は「No, I don’t.」と答えることになるのですが、これは否定疑問文の返答と同じになるのです。テストで「Yes」か「No」を必ず答えなければならない場合は、こういった考え方がお勧めです。

 

Aさん
Don’t you come with me?
訳)一緒に来ませんか?
Bさん
I go with you.
訳)一緒に行きます。

 

 

 

Bさん
I don’t go with you.
訳)一緒に行きません。

 

 

 

会話表現の中で否定疑問文に答えなくてはならず、「Yes」か「No」でつまづいてしまうのならば、「Yes」や「No」を答えずに、一緒に行くならば「I go with you. 」行かない場合は「I don’t go with you.」だけ答えれば返事としては十分です。

まとめ

やんわりと自分の意見を伝えたり、提案できる否定疑問文は、日本人にとっては受け入れやすい表現方法です。否定疑問文の作り方も文法のルールとしてはそれほど難しいものではないので、使えるようになると表現の幅がグンと広がります。否定疑問文で質問された時の返答をややこしく感じてしまう事もあると思うので、返事をする時は疑問文の回答と同じでいいとシンプルに考え、どんどん実践に使っていきましょう。