今回のテーマは「腐る」です。英語で「腐る」を表現する場合、主に3種類の言葉が使われますが、この記事ではそれらのニュアンスの違いを詳しく解説していきます。
また、記事の後半では「腐るほどたくさん」や「腐っても鯛」など、「腐る」に関連した表現を英語でどう言うかもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
それでは、早速始めていきましょう!
「腐る」は英語で何て言う?
英語で「腐る」は “go bad”、“rot”、“spoil” などで表されます。
一括りに「腐る」といっても、それぞれにニュアンスが異なるので、以下で詳しく確認していきましょう。
食べ物が腐る:go bad
「腐る」という意味で最も日常的に使われるのが “go bad” です。冷蔵庫を開けて、食べ物が腐っていたり、賞味期限が切れていたりした際によく使われます。
go bad を直訳すると「悪い方に行く」となります。英語において、come は近づくから良い意味に、go は遠ざかるから悪い意味に使われることが多いですが、こちらもその好例だといえるでしょう。本来の状態(新鮮な状態)から遠ざかっていくイメージです。
また、イギリス英語の場合は “go off” という言い方がされます。こちらの場合は bad(悪い)と言い切らず、off(離れる)を使っていて、イギリスらしい少し婉曲的な言い回しです。
If you leave the fruit in the sun for too long, it will go bad(go off)quickly.
訳)果物を日光に長時間晒しておくと、すぐに腐ってしまいます。
植物などが腐敗する:rot
物理現象として腐る様子を表すのが “rot” です。食べ物だとすると、グチャグチャに腐敗していて、できれば見たくないレベルの状態がイメージされます。
そのため、rot は家庭にある食べ物というより、自然界の植物などの腐敗状況を表す際に使われることが多いです。
The apple that fell from the tree begins to rot gradually.
訳)木から落ちたリンゴは、徐々に腐り始めます。
腐って台無しになる:spoil
腐って台無しになることを意味するのが “spoil” です。
極端な例で言えば、賞味期限が切れていても何とかなりそうなら go bad、さすがにもう食べられなさそうなら spoil というイメージになります。理想の状態と腐った状態が、ビフォーアフター像として頭に浮かんでいるような感覚でしょう。
Due to excessive rain, most of the crops in the field have spoiled.
訳)大雨のせいで、畑の作物の大半が腐ってしまいました。
spoil は、腐る以外の意味でも「ステーキを焼き過ぎて台無しにした」など、やり過ぎによる台無しを意味することもあります。
また、スラング的に使うと「(人を)甘やかす」という意味になります。過保護に接して、その人をダメにしてしまうイメージです。
「腐ってる」「腐った○○」などは英語で何て言う?
ここでは、「腐ってる」や「腐った○○」を英語で何と言うか、深掘りして確認していきましょう。
「腐ってる」in English
「腐ってる」という状態を表したい場合は、”be bad” や ”be rotten” などと表現します。
be bad は、「腐る」でご紹介した go bad の go が be動詞に変わっただけです。go を使うと「腐る」という現象を、be を使うと「腐ってる」という状態を表します。
また、be rotten で使われている rotten は、rot の形容詞形です。形容詞になることで、完全に腐敗し切った状態を意味します。
In the back of the refrigerator, there was salmon that I bought some time ago, but it was completely rotten.
訳)冷蔵庫の奥にいつぞや買った鮭がありましたが、完全に腐っていました。
「腐った○○」in English
「腐った牛乳」などと「腐った○○」を英語で表現する場合は、“bad ○○” や “rotten ○○”、“spoiled ○○” が使われます。
カジュアルな場面では bad が使われやすいですが、どれもほぼ同じ意味だと考えてよいでしょう。
There’s a smell like spoiled milk or something.
訳)なんか、腐った牛乳みたいな匂いがする。
ちなみに、日本語では比喩的に、集団内で周囲に悪影響を及ぼす人を「腐ったリンゴ」と呼ぶことがありますが、英語でも同様に “bad apple” と呼んでいます。日英で同じ比喩が使われているのは面白いですね。
しかし、日本語では同様の意味で「腐ったミカン」と言いますが、英語の “bad orange” は比喩的には使われないのでご注意ください。
One bad apple spoils the whole basket.
訳)1つの腐ったリンゴが籠全体を腐らせる(1人の悪い人材が組織全体をダメにする)。
「腐るほどたくさん」「腐っても鯛」など、腐るに関する言い回しを英語で言ってみよう!
日本語では、数えきれないほどたくさんあることを「腐るほどたくさん」、性格が悪いことを「根性が腐っている」などと、色々な意味で「腐る」が使われます。
最後に、これらの「腐る」に関連する言い回しを英語で何と言うのか、詳しく確認していきましょう。
「腐るほどたくさん」in English
「腐るほどたくさん」という意味を英語で表すなら、”countless” や “too many(too much)” を使うとよいでしょう。countless は「数えきれない」、too many は「多過ぎる」という意味になります。
また、「腐るほどたくさんお金を持っている」という意味の場合は、“have money to burn” と表現することもあります。日本語では「腐るほど」なところを、英語では「燃やすほど(to burn)」となっているのが面白いですね。
「がっかりして腐る」in English
日本語では、何かで失敗したりがっかりしたりした際に「(気持ちが)腐る」と言いますが、これは英語だと “feel depressed” や “feel down” と表現します。
英語の場合、気分はあくまで落ちる(depressed、down)ものであり、腐るわけではありません。そのため、日本語と同じ感覚で go bad や rot を使っても、落ち込む意味では通じないので注意しましょう。
「根性が腐っている」in English
「人の根性が腐っている」「政治が腐っている」といった意味の場合、英語では “corrupt” が使われます。
corrupt は分解すると「co-(完全に)-rupt(壊れた)」となっていて、修復不可能なほどに堕落した様子を表します。
人や組織を批判する際には効果的な表現ですが、きついニュアンスになるので、使いどころにはくれぐれも注意しましょう。
「腐っても鯛」in English
日本語には「腐っても鯛」という格言がありますが、これは「優れたものは、悪条件下でもそれなりの価値を維持する」という意味です。腐った鯛でも、安い魚よりは価値があるということでしょう。
これと同等の内容を表すものとして、英語には “A good horse becomes never a jade.” という言い回しがあります。
直訳すると「名馬は決して駄馬にはならない」ということ。魚か馬かという違いはありますが、根本的な発想は日英で同じイメージですね。
まとめ
今回は「腐る」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
「腐る」は英語で “go bad”、“rot”、“spoil” を使って表します。このうち、日常会話で最も多く使われるのは go bad なので、迷ったら go bad を使っておくとよいでしょう。
今回ご紹介したことを参考に、英語でも色々な「腐る」を表現していきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!