「海外移住の計画を諦めた」
「もうここではやってられない、最後の手段は家族を捨てるしかない」

どちらも、かなり深刻な印象です。
このような会話をするとき、または誰かが言ったことを聞いたとき、どんな英語が使われているのでしょう?

記事では、英語abandonの意味と使い方を取り上げます。「捨てる」がキーワードになりますが、それだけに「自由奔放」の意味もある面白い単語を学ぶ機会にしましょう。

abandonの意味

abandonの意味

冒頭の日本文はabandonを使うと表現することができます。さっそく、abandonの意味を紹介しましょう。

abandonの意味

abandonを辞書で調べると以下の意味があります。
動詞と名詞に分けて紹介します。

【動詞のabandon】
諦める・中止する・断念する(計画・希望・勝負など)
捨てる・見捨てる・置き去りにする・遺棄する(家族・友人・地位など)
捨て去る(慣習・風習など)
明け渡す(土地・国など)
去る・離れる(家・国など)

動詞の意味を並べてみると、いろいろなものを捨てるイメージがあることが分かります。それは個人にとっても国家にとっても大きな決断が必要とされる行為です。

【名詞のabandon】
気まま・自由奔放
自暴自棄

ここで、気ままという明るい意味が登場しました。これも、ある意味気兼ねや常識など、何かを捨てて自由になるというニュアンスが含まれているでしょう。

abandonを分解してみると、さらに単語のイメージを捉えることができます。abandonに含まれるbanには「禁じる・禁止する・追放」といった意味があり、ここから捨てることにつながります。

abandonとgive upの違い

諦める・断念するという意味を考えるとき、皆さんにお馴染みのフレーズgive upが頭に浮かびます。
abandonとgive upの違いにはどのようなものがあるのでしょう。

abandonとgive upの違いは、以下です。
abandonは感情を持つ相手との繋がりや責任を完全に放棄することで、類語には辞任・降伏・放棄などがあります。
一方give upは、努力や挑戦という日常生活における諦めを意味します。

abandonの発音

さらに、abandonをどう発音するかも押さえておきましょう。
カタカナ語では、abandonをアバンダンのように読みます。アバンドンというよりアバンダンです。単語の最後にnがくるときには、ヌに近い発音にします。また、アクセントはbanに置くようにしてください。

abandonの使い方

ここでは、abandonの使い方を具体的に例文で紹介します。abandonは、プライベートにもビジネスにも使われる表現です。先に紹介したgive upとの違いも確認してくださいね。

abandonの例文

典型的な使い方として、abandon one’s hope(希望を捨てる)や、abandon one’s child(子どもを見捨てる)のようなパターンがあります。
abandonの動詞活用は、abandon-abandoned-abandonedです。

まずは、冒頭の日本文を英文に訳してみます。

Aさん
I had to abandon my plans to move and live abroad due to my health issues.

訳)健康上の問題で、私は海外に移住して暮らす計画を断念しなければならなかった。

Aさん
I can’t be here any longer, so the only way is to abandon my family.

訳)もうこれ以上ここにいることはできない、家族を捨てるしか方法はない。

人間関係のリセットというとなんだか軽々しいですが、事情によっては悲しいことに家族でも縁を切る場合があります。

Aさん
People simply abandon their pets too easily.

訳)人はあまりにも簡単にペットを捨ててしまう。

Aさん
Unfortunately, we have to abandon the upcoming events due to financial problems.

訳)残念ながら、財政上の問題により、今後のイベントを断念しなければならない。

ここまでの例文でdue toが2ケ所で使われています。諦める、断念する理由をdue toの後に追加して英語にしてください。

abandonedの意味

abandonedの意味

次に、形容詞としてのabandonedの意味と使い方をみていきましょう。

形容詞abandonedの意味

abandonの過去形・過去分詞と同じスペリングでabandonedにすると形容詞になります。その意味は、人やものが「見捨てられた・放棄された」です。
例えば、abandoned amusement parkなら廃園になった遊園地ですし、abandoned babyで見捨てられたベイビーです。

abandonedの使い方

Aさん
An abandoned baby has been found by the toilet in a park.

訳)公園のトレイのそばで捨てられた赤ちゃんが発見された。

Aさん
Every year, thousands of cars have accidents and are left abandoned.

訳)毎年、事故に遭った何千台もの車が放棄されている。

「捨てる」の類語2選

次に「捨てる」の似た表現を2つ紹介します。

破棄する

破棄とは、書類などを処分したり、法律や約束事を取り消すといった意味です。英語breachで規則や約束を「破る」になり、約束などを捨てると捉えることができます。

Aさん
He sued the company for breach of copyright.

訳)彼は、著作権侵害でその会社を訴えた。

廃棄する

要らなくなったものを処分することを廃棄と言います。不要物の廃棄は英語でscrap/discardで表現できます。

Aさん
Have you scrapped my paintings?

訳)私の絵を捨てた?

このように日常会話で「捨てた」も「廃棄した」もscrapで表現できます。

「捨てる」の言い換え2選

最後に「捨てる」の言い換えとして2つの表現を紹介します。

forsake

もうダメだと諦め、見切りをつけることを見放すと言い、英語ではforsakeになります。人を見放したり、大切なものを断念するという意味を持ちます。

Aさん
He decided to forsake his career in order to take an opportunity to study engineering.

訳)彼は工学を学ぶ機会を得るため、キャリアを捨てることを決意した。

この例文のように、forsakeはポジティブなニュアンスでも使われます。

throw away

throw awayは英語学習者にわりと親しみのあるフレーズですね。throwは物を投げるという意味があることから「投げ捨てる」というフレーズであり、タバコのポイ捨てはまさにthrow awayですね。

Aさん
You’ll get a fine by throwing away tobacco on the street.

訳)路上にタバコを捨てると罰金が科せられます。

fineは晴れや良いなどで親しみのある単語ですが、この例文のように、名詞で罰金の意味を持ちます。
タバコを吸ったら捨てるまで責任を持つべきでしょう。なお、タバコ事情は世界で色々変わり、イギリスでももちろんポイ捨てをすれば罰金を取られます。また、レストランやパブなど含め、現在は屋内は完全禁煙ですのでご注意ください。

まとめ

abandonは動詞で計画などを「断念する」、家族や地位を「捨てる」、また名詞では「気まま・自由奔放・自暴自棄」の意味を持ちます。
感情を抱く相手との繋がりや、責任を完全に放棄する場合に使う表現という点も押さえていきましょう。