日本にも当然方言はあるわけですが、英語にも当然方言はあります。しかし、具体的にどんな方言があるかと言われるとすぐに具体例が出てこないという人も多いのではないでしょうか。日本で生まれ育って、中学・高校と進学した人が習うのはアメリカ英語で、日本ではこれこそが「標準」であり、「正しい」英語としています。ですからイギリス英語は出てきませんし、スペルもすべてアメリカ流です。では、英語圏にはどんな方言が、そしてどんな標準英語があるのでしょうか。

「方言」は英語でdialect

先に語彙力を付けるために「方言」を英語でどう言うのかをしっておきましょう。答えはDialectです。これは例えば関西弁と言いたいのであれば、「Kansai dialect」というように、Dialectの前に地名を付けることでどこの方言かを伝えることができます。

ただ、ここで注意しなければならないのはあくまで「方言」がDialectであって、「訛り」はAccentということです。日本語でも方言と訛りの違いはなんだか意識しにくいものですが、方言は使っている言葉自体が変化するものであるのに対し、訛りは言葉のイントネーションが異なることを言います。

つまり、方言は言葉の違いが大きいと理解しにくいこともありますが、訛りであればそのイントネーションに慣れれば、同じ言葉を使っているので理解しやすい傾向にあるということですね。そして英語にも同じく方言と訛りの両方があります。

英語の標準語はどこの言葉?

英語の標準語はどこの言葉?

そもそも英語の標準語というと、英語圏の人はどこの英語だと思うのでしょうか。結論から言ってしまうと、英語圏に住む人が標準とする英語は、ありません。

イギリス人だったら自分たちの地から英語が生まれたのですから、アメリカ英語を標準英語と言われたら腹が立つことでしょう。しかし逆に、世界に力を見せつけるほどに急成長したアメリカからすれば、イギリスが世界の中心にいたのは昔の話と主張するかもしれません。

他にも、オーストラリア、ニュージーランド、インド、シンガポールなどなど、英語を公用語としている国は山ほどあります。となると、ひとつの国の中だけで話されている日本語ようにはまとまらず、標準語を定めることが難しいのです。

日本だとテレビのアナウンサーは言葉を扱うプロであり、標準語を話しますよね。けれど、英語圏では地域色が出てその国の英語を話しています。ですから英語学習者は、自分の好きな国の英語を聞くためにその国のラジオやテレビを見て学習することができるのです。

標準語は英語で「standard language」ですが、英語圏では明確にどこの英語がそう呼ばれているかという決まりはないようですね。日本だと、リスニングをする時に流れて来るとても聞き取りやすいあのアメリカ英語が標準と思ってしまいますね。中には、イギリスでは何語が話されているのかわからず、イギリス語なのかと言う日本人もたくさんいて、いかに日本がアメリカナイズドされているかがうかがえます。

イギリスの方言と訛り

イギリスの方言と訛り

日本で生まれ育って英語を学んだなら、それはすべてアメリカ英語なのでアメリカ英語の説明をする必要はないでしょう。他の国や地域の英語を聞いて、初めてアメリカ英語の特徴というのがわかるものなので、他の国の方言や訛りを解説してみます。

イギリス英語は、アメリカ英語に比べるとリエゾンがなく、カクカクしています。アメリカ英語はネチネチしています。この違いがわかれば、最低限の英語は勉強しているなという感じです。日本人的には、リエゾンが苦手な人が多いので、単語をひとつひとつ区切って言ってくれるイギリス英語の方が聞き取りやすいのではと思いますけどね。機会があればぜひ聞き比べてみてください。

クイーンズ・イングリッシュ

英語と言ったらまずイギリス英語とアメリカ英語の大きく2つに分かれますが、イギリス英語には上流階級、中産階級、労働者階級という昔からある階級制度にによって話し方が変わります。

そしてイギリスでは上流階級が話す英語が「標準」とされており、クイーンズ・イングリッシュと呼ばれています。イギリスのトップである「女王の英語」と言うなんてオシャレですね!

BBCで使われている英語もクイーンズ・イングリッシュで、これは「Received Pronunciation/RP」と言います。RP英語という単語を見たことがある人もいるかもしれませんね。ですから少なくともイギリスでは、英語の標準語というとRP英語と認識している人が多いのかもしれません。

ロンドン訛り

一方で、ロンドンの下町で話す言葉「Estuary English」もイギリスらしい発音です。ベッカムが話しているような英語ですかね。ロンドン英語がイギリス英語らしいと、こちらを学んで発音練習をしているイギリス好きもいます。

ただ、残念なことに日本の英語の教材はほとんどがアメリカ英語なので、勉強するならどうしても独学となってしまいますね。イギリス英語について書いてある本は基礎が多いため、今まで日本人が習ってきたアメリカ英語とは違う英語を使うことなどが記されていたりします。

スコットランド英語

イギリスは日本よりも小さな国で人口も少ないですが、しかしその英語の方言や訛りは国内にもあります。もっとも聞き取りにくいと言われているのがスコットランド英語です。イギリスの北に位置する地域ですが、カナダ人のネイティブが、スコットランド人に「How are you?」と言われても何と言っているのかわからなかったというほどのレベルです。

なぜこれほどまでに訛りがあるのかというと、昔からその地域で使われてきたゲール語が残っていることが関係しています。今でも北の地域へ旅行へ行くと、看板などが英語とゲール語、両方で書かれていたりします。一見しただけでは全く違う言語のようです。

海外へ行くなら方言と訛りに気を付けよう!

海外へ行くなら方言と訛りに気を付けよう!

よく、留学したものの現地の英語が全くわからなくて撃沈したなんてエピソードを聞きます。これは、英語力はあっても現地の方言や訛りを習得できなかったことにあります。日本でも、外国人が訛りがあることを知らずに津軽地方へ行ったら大変な生活になったことでしょう。

まだ旅行ならいいですが、留学となるとそこでの生活は地獄と化してしまします。英語だけでなく、留学先の情報をよく調べてそこの英語をたっぷり聞くようにしておくことをおすすめします。自分はそこの方言を喋れなくても、聞けるようになれば少なくとも相手との会話は成立します。相手はこちらの英語を理解してくれるでしょうから、とにかくリスニングをこれでもかと勉強しておかなくてはなりません。

まとめ

英語で「方言」はDialectでしたね。そして「訛り」はAccentと言うのでした。方言は言葉そのものが変わってしまいますが、訛りはイントネーションが異なるためまだ理解しやすいものです。英語の場合、日本語のように決まった標準語というのはなく、それは世界中で使われている言語だからこその性質だと言えます。同じ国でも地域によってその方言や訛りは強烈なものもありますから、もしその地域へ行くのであればそこの英語を聞きまくっておきましょう。英語がペラペラでも、それこそネイティブでも、理解不能な方言や訛りはありますから注意です!