足りない部分を補って、それを完全にすることを「補完」と言います。弱みを補完しあう、という言い方もできますが、これを英語ではどう表現するのでしょう?
この記事では、英語complementについてみていくとともに、1文字違いでまったく違う意味のcomplimentも紹介します。この機会に、2つの類似英語を理解しましょう。
complementの意味
まずは、complementの意味からみていきましょう。
皆さんが勉強している英語にも関連する表現です。
complementの意味
あまり馴染みのない単語ではありますが、complementには名詞と動詞の働きがあります。冒頭で述べた「足りない部分を補う」ことがcomplementの基本的な意味になります。
これを英語で言うと”something that complete or makes perfect”、完全・完璧なものにするためのものなんですね。
名詞:補完物・補充・補足・補体
名詞としては英文法の「補語」の意味も持っています。補語は、主語、動詞、目的語だけでは意味が通じないときに補完する役割を持っています。いわゆる”C”がcomplementです。ここで、complementが少し身近なものになりました。
動詞:~を完全にする・補完する・補足する
また、動詞complementはお料理のときによく合わせたり、ぴったり合わせるという使い方もします。
complementの使い方
では、名詞と動詞それぞれのcomplementの例文をみていきます。complementは数えられる可算名詞です。
まずは名詞のcomplementの例文になります。足りない部分を補うといえば栄養補助食品のサプリメント。サプリメントは栄養の補完として多くの人がを利用しています。
訳)冷えたビールは様々なバーベキュー料理によく合うね。
訳)私は計画的、夫は柔軟な人。私たちはお互いを補い合い良いきパートナーです。
物とモノ、人と人との関係でも補い合う場合にcomplementが使えます。
complementaryの意味
次は、complementの関連用語であるcomplementaryです。complementaryになると主に形容詞として使われます。
complementaryの意味と使い方
形容詞complementaryには、不足する部分を「補足・補充する」「お互いに補う」などの意味があります。例えば、不十分な部分を補って完全な状態にする補完ビジネスは英語でcomplementary businessになります。
訳)ビジネスにおける補完的なアプローチとは、中核となるサービスや製品に付加的なサービスを組み込むことである。
A complementary approach=補完的なアプローチ
訳)赤と緑、オレンジと青、黄色と紫は補色の組み合わせです。
補色とは、正反対に位置する関係の色の組み合わせです。こんなときもcomplementary colourで表現します。
complimentの意味
さて、ここからはcomplementと間違いやすいcomplimentをみていきましょう。complementをググるとcomplimentが出てくるくらい、混同されやすい単語です。
ここまで紹介してきたcomplementの文節はcom・ple・mentですが、ここで紹介するcomplimentはcom・pli・mentであり、第二節に違いがあります。その違いとはたったの1文字、意味も似ているのでしょうか?
complimentの意味
英語complimentの意味は、やはり名詞と動詞があり、その意味は基本的に他人への賞賛や感謝の気持ちになります。
名詞:褒め言葉・称賛・賛辞、敬意や尊敬を表す行動、感謝の気持ち
最後の「感謝の気持ち」として使う場合は、必ずcomplimentsと複数形で使用します。
動詞:お世辞を言う・褒める・好意を示す・称賛する
これらを見ると、発音もほぼ同じ、そして”i”と”e”という1文字違いのcomplimentとcomplementにはまったく異なる意味があることが分かります。
complimentの使い方
褒め言葉?お世辞?ここでは、complimentの使い方を紹介しましょう。
訳)彼の褒め言葉で恥ずかしくなっちゃったけど、もちろんそれを聞いてとっても嬉しかった。
訳)この仕事のオファーをいただくことは大きな賛辞だよ。
褒め言葉、賛辞、人のモチベーションを上げる効果絶大ですね。次は、動詞complimentの例文です。
訳)コンペティションで優勝という大きな成功を収めたことを心から称賛します。おめでとう!
訳)季節のご挨拶を申し上げます!
「感謝の気持ち」や挨拶には、complimentsの形にするのがルールです。
関連用語complimentaryで「無料」
complimentが形容詞のcomplimentaryになると、意外な意味に変わります。それが「無料」で、定番freeよりもフォーマルな言葉として無償でサービスを受ける「優待の・優遇の」の意味として使われます。
訳)ホテルで無料の朝食をいただきました。
この機会に、無料の英語を一つ増やしてくださいね。
complementはお世辞?
ここで、問題です。complementはお世辞の意味だったでしょうか?答えは、ノー。complementではなく、complimentが「お世辞を言う」という意味を持っていました。Respect is the strongest compliment.なんて言うこともあります。
ここでは、もう一つのお世辞英語flatterを紹介します。
flatterで「お世辞を言う」
complimentは社交上のお世辞などある程度丁寧な表現です。一方、flatterは親しい間柄で使われる言葉で、人を嬉しがらせるといった意味も持ちます。
訳)お世辞言わないで!
訳)私のこと、嬉しがらせようとしてる?
褒め言葉の英語 – compliment以外
ここでは、褒め言葉の別表現を紹介します。それがpraiseです。
praise
praiseは名詞で「褒めること・称賛」、そして動詞で「褒める・たたえる・おだてる」という意味を持ちます。状況によって、ポジティブにもネガティブにも使えます。
訳)息子は学校でケーキセールを企画し、チャリティ団体のために募金を集めたので校長から褒められました。
子どもに対してたくさん褒めることがあると思いますが、そんなときのためにぜひpraiseを覚えましょう。
補集合の英語
補集合とは数学で使われ、グループAに属さない要素からなる集合のことです。この補集合もcomplementを使った表現になります。最後に、complementに戻って数学関連のフレーズを紹介します。
complement of set
数学における補集合の英語表現はcomplement、またはcomplement of setになります。
訳)集合Aの補集合は、全体集合には存在するが集合Aには存在しない要素を含む集合として定義される。
英語学習で数学を詳しく学ぶことはあまりないかもしれませんが、complementの「補完」を考えれば、このように数学にも使われるということを頭に置く機会にしてください。
まとめ
本記事では、1文字違いの2つの単語を取り上げ紹介しました。
complementは足りない部分を補って完全・完璧なものにする「補完」、一方でcomplimentは「褒め言葉・お世辞を言う」などの意味があります。
使い分けができるようになるには口に出して何度も使ってみることです。英語学習をがんばりましょう!