”この「ことわざ」を「英語」に!”というシリーズの記事です。

今回は「子ども」「子」のつくことわざを英語に翻訳してみました。

そもそも「子ども」とは

改めて考えると、「子ども」ということばには、いろいろな意味合いがあります。

まずは”大人(成人)ではないひと”のこと、そして親に対して”子”であること、また、年相応の振る舞いができない大人に対して、”まるで子どものようだ”などと使われることもあります。

「子ども」は英語では”child”(複数形で”children”)、”kid”といいます。

成人年齢は国によって違う

未成年という意味の「子ども」については、国によって法律が違うため、一様ではありません。国際連合では、「18歳未満」を子どもとしています。定められた年齢以上を「成人」(大人)とみなす「成人年齢」は、英語圏では、イギリスが18歳、オーストラリアも18歳、カナダでは州ごとに異なり18~19歳、アメリカも州によって違って18歳~21歳という具合です。

日本では、明治時代からずっと「20歳」を成年としてきました。しかし、民法が改正されて、2022年4月から「18歳」が成年と、140年ぶりに変わったばかりです。

明治以前の日本では、男子については通過儀礼として「元服」(げんぷく)式を行い、この式典を終えると髪型や身なりを改め、大人として扱われていました。

記録で確認できるものとしては、奈良時代、714年に聖武天皇が14歳で元服式を行なったのが最初といわれています。身分や時代によってかなり幅がありますが、江戸時代ごろまでは12~16歳になると大人とされていたようです。

英語では「大人」を”adult”といい、これに対して「未成年」であることを “minor”, または “be under age” といいます。

大人にふさわしくない言動に対して使う場合

また、りっぱな大人であるのに、思慮や行動において未熟であることを表すときに「子ども」が使われることもあります。たとえば「子どもっぽい」「子どものようだ」などの慣用句ですね。

子どもが「子どもっぽい」のは当たり前で、「子どもらしい」のは「年相応」です。しかし、大人に対して「子どもっぽい」というときは、「年相応の発達がみられない」とか、「精神的に未熟」だとか、「世慣れていない」という意味合いで、どちらかというと、あまりよい意味でないこともあります。

今回は、そんな「子ども」「赤子」のつく「ことわざ」を4つ選んで英語に訳しました。

子は鎹(かすがい)

「子は鎹(かすがい)」は、たとえ夫婦仲が悪くなっても、子どもの存在によって、子どもに対する愛情で夫婦の縁が切れないことを意味することわざです。

「子は鎹(かすがい)」ということわざの意味

「かすがい」は両端が曲がった鉄の棒で、木材や石材などふたつの部材をつなぐために先をとがらせた、建築に用いる金具のことです。

長い人生、夫婦間にもさまざまな危機が生じることがあっても、子どもがいると、親としての愛情を注ぐ、あるいは責任を果たそうとする共通の対象があることで、夫婦の間柄でも多少の危機を乗り越えて続く場合があるのかもしれません。

「子は鎹(かすがい)」は英語でなんと言う?

「子は鎹(かすがい)」ということわざは、英語では
“Children connect their father with mother.”
と翻訳することができます。

”connect A with B”という表現は「AをBに結びつける」という意味で、ここでは「子どもは父と母(夫婦)を結びつける」という意味で使っています。

また、

“Children hold marriages together.”
と訳して、「子どもは(父と母の)結婚を保つ」、つまり「子どもが夫婦をつなぐ」ことを表現することもできます。

日本語にも「夫妻」「カップル」「夫と妻」など、「夫婦」を意味する、さまざまな単語や言い方があります。次の記事では、夫婦にまつわる、いろいろな英語の表現を紹介しています。表現の幅を広げる参考にしてください。

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赤子の手をひねる

大人にとって、力も体格も劣る赤子(赤ん坊)の手をひねるのは簡単なことです。

「赤子の手をひねる」ということわざの意味

「赤子の手をひねる」は、赤ん坊の手をひねるほど非常に簡単であることをたとえたことわざです。物理的な力のほか、実力の差が大きい場合、抵抗なく扱える場合に使われます。

「赤子の手をひねる」は英語でなんと言う?

「赤子の手をひねる」ということわざは、英語では

“Easy as twisting the baby’s hand.”

と翻訳することができます。

”twist”は動詞で「~をねじる、捻挫する」などの意味があります。「赤子の手をねじる」というだけでは、全体の意味がわかりにくいので、 “Easy as”で「~のようにたやすい」と補ってあります。

ところで、「簡単」という英語は “easy”以外にも、いろいろな言い方があります。次の記事では「簡単」を意味する基本の表現を紹介しています。

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産んだ子より抱いた子

「産んだ子より抱いた子」は、自分で育てていない実子よりも、血のつながりはなくとも自分で育てた子どものほうがかわいいという意味のことわざです。

「産んだ子より抱いた子」ということわざの意味

どちらかというと、母親と子どもとの関係で使われることわざでしょう。

子どもを「育てる」「世話をする」ことは大変労力の必要なことですが、他にない親密なかかわりをもつということでもあります。

たとえ他人の子であっても、小さいときから育てた子には情がわくものです。たとえていうならば、産んだけれども育てていない、自分の子よりもかわいい、という意味です。

子どもの側からみたことわざには、「産みの親より育ての親」があります。

「産んだ子より抱いた子」は英語でなんと言う?

「産んだ子より抱いた子」ということわざは、英語では
“The child whom I raised are closer than the child whom I had.”
と翻訳することができます。

”raise”は「(手などを)上げる、育てる、(ペットなどを)飼う」という意味があります。字義どおりには「育てた子は、産んだ子よりも近い」という一文です。

ところで、幼児や赤ちゃんを育てるときには、まだうまく発音できない子どもに合わせて、「赤ちゃん言葉」「幼児語」を使うことがあります。英語圏では、どのような表現を使うのでしょうか? 次の記事で詳しく紹介しています。

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老いては子に従え

親が手塩にかけて育てた子どもも、いずれ大人になります。そして、そのころには親は老いているはずで、月日は常に流れています。

「老いては子に従え」ということわざの意味

「老いては子に従え」は、いつまでも息子や娘を子ども扱いするのではなく、自分が年を取ったら、子どもに主導権を渡して任せているほうがいい、という意味のことわざです。

「老いては子に従え」は英語でなんと言う?

「老いては子に従え」ということわざは、英語では
“When you are old, be guided by your children.”
と翻訳することができます。

“be guided by~” は「(人に)導かれる」という意味です。

親と子は、世界中どこにでも存在する間柄ですが、民族や文化によって少し関係性も違うようです。日本は、中国から伝わってきた儒教などの影響を受けていますが、英語圏の場合はどうでしょう? 次の記事では親子についての英語表現を紹介しています。

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まとめ

今回は、「子」という言葉を使ったことわざ4つを英語に訳してみました。

「子ども」を大切に思う気持ちが表れたことわざや、親と子の関係性を表現したことわざがありました。幼い「子ども」をかわいらしく思う気持ち、小さい赤ちゃんを愛おしく思う気持ちは、洋の東西を問わず、変わらないようです。

今後もさまざまなことわざや名言を翻訳していきます。どうぞお楽しみに!