「ジェネレーションギャップ」「市場のギャップが大きい」といった表現を聞いたことはありますか?
「ギャップ」は、考え方や意見に差異が生じていることを示すカタカナ言葉です。
もともとは英語の”gap”に由来しているのですが、日本語と英語で、使い方に違いはあるのでしょうか?
今回は、日常会話だけでなくビジネスシーンでも多用されているカタカナ言葉「ギャップ」について、英語”gap”が持つ意味と正しい使い方、類義語を解説していきます!
「ギャップ」の意味
「ギャップ」は、英語の”gap”をそのままカタカナ表記した言葉です。
日本語では、大きな相違や隔たり、ずれなど、意見や考え方の違いを表現する際に使われています。
しかし、本来の英語では、名詞として、物理的に生じた「すき間」「開口部」「欠落」「空白」だけでなく、概念としての「相違」「格差」「不均衡」「ずれ」などを意味します。
- an empty space or opening in the middle of something or between two things
何かの真ん中または二つの物の間にある空きスペースまたは開口部- a lack that means something is not complete
何かが完全ではないことを意味する欠如- a period of time spent doing something different
何か別のことをしている期間- an opportunity for a product or service that does not already exist
まだ存在していない製品やサービスの機会
”gap”とは、2つの事象や状態の間に存在するすき間、差異、隔たりなどを指し、幅広い分野で用いられており、文脈によって異なる意味を表します。
”gap”の発音記号は、/gǽp/ で、最後の「プ」は、日本語のようにはっきりと発音しません。
特にイギリス英語では、[p]の音は省略されるので、「ギャッ(プ)」と表記した方が読みやすいかもしれません。
アクセントがつく[ǽ]の音は、日本語の母音「ア」と「エ」の中間のような発音になるので注意しましょう。
ビジネス用語としての「ギャップ」
カタカナの「ギャップ」は、おもに望まれる状況(理想)と実際の状況(現実)との間に生じた差を示すときに使われる言葉です。
特にビジネスにおいては、顧客ニーズと、企業が提供するサービスの間に生じる相違を「ギャップ」と表現します。
顧客と企業の間の「ギャップ」を埋めるための考え方として、「ギャップ分析」という手法があります。
「ギャップ分析」は、「ニーズ分析」とも呼ばれ、理想とするビジネスの形と現状との間に生じている差異を明確にし、根本原因を特定することです。
ギャップ分析を行うことで、目標達成のための資金・人材・時間といった「経営資源」の活用に役立ちます。
ビジネスをはじめ、普段の生活でも聞くことが多い「ギャップ」の使用例を紹介しておきましょう。
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”gap”の類義語
”gap”は他にもいろいろな英語に言い換えられます。
「すき間」や「違い」など、”gap”と似たような意味を持つ類義語を紹介します。
何かの「割れ目」や「開口部」を表現するとき
- opening(開くこと、開放、開始、開場)
- space(空間、宇宙、空所、空き場所、間隔)
- hole(穴、破れ穴、くぼみ、欠点、欠陥)
- break(割れ目、裂け目、切れ目、ひび、休み時間、中断)
「中断」や「間隔」という意味を表現するとき
- interval(間隔、合間、距離、幕あい、休憩時間)
- pause(一時的な中止、休止、絶え間、とぎれ、句読)
- recess(休み時間、休憩、休会、休暇、休廷、奥底)
- interruption(中断、中止、妨害、一息、不通)
「考え方や視点の違い」という意味を表現するとき
- difference(違い、相違、差異、相違点、不和)
- gulf(湾、入り海、地表の深い割れ目、意見の大きな隔たり)
- contrast(対照、対比、差異、明暗、正反対のもの)
- disagreement(不一致、意見の相違、食い違い、不適合)
マーケティング分野における「需要」を表現するとき
- need(必要、入用、要求)
- demand(要求、請求、強要、需要、売れ口)
- requirement(必要品、必要条件、要求物、要件)
- necessity(必要、必要性、必需品、不可欠のもの、必然)
”gap”を使った例文
”gap”は、「割れ目」「すき間」「空白」以外にも、カタカナの「ギャップ」と同じく、「相違」「格差」「ずれ」などの意味を持っています。
文脈によってさまざまな解釈ができる”gap”の使い方を例文で紹介します。
すき間・割れ目・裂け目
物理的な「すき間」「割れ目」「裂け目」を意味する例文として以下のような表現があります。
訳)雲のすき間から一筋の陽光が射し込んできました。
訳)子どもたちは身をくねらせながら、なんとかすき間を這うように通り抜けました。
訳)ゲートは施錠されていたが、犬はフェンスのすき間を突き破って入っていきました。
空白・間隔・とぎれ
「空白」「間隔」「とぎれ」など、特に時間の切れ目を表現する際には以下のような言い方ができます。
訳)彼は、上司の引退によって空いた穴を埋めてくれました。
訳)5年間のブランクを経て、彼女はフルタイムで仕事に戻ることを決意しました。
訳)彼が訪ねてくる間隔はどんどん長くなりました。
相違・隔たり・格差
「相違」「隔たり」「格差」など、2つの間に生じた違いやずれなどを述べるときには、以下のように表現します。
訳)市場の隔たりは、ずっと続くものではありませんでした。
訳)2人の年齢差は、子どもを持つことになるまでは問題ではなかったようです。
訳)富裕層と貧困層の格差は、国の他の地域よりも南部で大きくなっています。
まとめ
日常会話だけでなく、ビジネスシーンでも多く使用されているカタカナ言葉「ギャップ」について、本来の英語”gap”が持つ意味と正しい使い方、類義語を解説しました。
「ギャップ」は、英語の”gap”に由来したカタカナ言葉です。
日本語では、「ギャップがある」「ギャップが大きい」のように、2つの事象や状況間に生じた差異や違いを述べるときに用いられることが多いのが特徴です。
しかし、英語の”gap”には、物理的な「割れ目」や「すき間」、時間の「空白」や「間隔」といった意味もあります。
カタカナ言葉は、日本語としてなじみのあるものほど、本来の意味と「ギャップ」が生じやすいので、正しく理解しておくことが大切です。
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