英語には、スペルが似ていて意味が異なる単語やフレーズがたくさんあります。
単語に”to”のような品詞が付くだけで、全然違う意味になってしまうものは多いですよね。
なかでも間違いやすいのが、”used to”と”be used to”ではないでしょうか。
「2つとも同じ意味じゃないの?」と思った方もいるかもしれません。
”used to”と”be used to”は、似ているようで、じつは全く異なる意味を示します。
今回は、一見すると同じ意味であるように感じる2つの英語、”used to”と”be used to”について、意味の違いと正しい使い方を紹介していきます。
”used to”の意味
”used to”は、過去に繰り返し行っていた、あるいは習慣となっていた活動や状態が、現在はそうではない、という状況を意味する英語表現です。
”use”は「ユーズ」と読みますが、”used to”の発音記号は /ju:zd tu:/ で、濁点のない「ユーストゥ」と読むので注意しましょう。
”used to”は、辞書で以下のように定義されています。
shows that a particular thing always happened or was true in the past, especially if it no longer happens or is no longer true
特定の事柄が過去に常に起こったか真実であったことを示し、特にそれがもはや起こらなかったり真実ではなくなった場合
”no longer”とあることからわかるように、現在はもう行っていない、もう存在しないことを表します。
主語が過去に親しんでいた行動や状況を述べる際に使われるので、「昔」や「過去」のことを「現在はやっていない」「今はもうしていない」という意味が含まれるところがポイントです。
”used to”と”be used to”の違い
見た目が似ているゆえに、非常に間違いやすい”used to”と”be used to”の違いを解説していきます。
構成 | 意味 |
1. used to + 動詞の原形 | 現在はやっていないが、過去に繰り返し行っていた習慣や状態のことを指す |
2. be used to + 名詞または動名詞 | ある状態や活動に精通している、慣れていることを指す |
<used to +動詞の原型>で構成される1. は、「以前は…したものだ」と、過去にしていたことを表します。
一方、<be used to +名詞または動名詞>で構成される2. は、「…に慣れている」という意味になります。
以下の例文で比べてみましょう。
- I used to live in Paris.
訳)以前パリに住んでいました。 - I am used to living in Paris.
訳)パリでの生活に慣れています。
- I used to eat raw eggs.
訳)以前はよく生卵を食べていました。 - I am used to eating raw eggs.
訳)生卵を食べることには慣れています。
1. と 2. は、パッと見た感じでは同じように見えても、わずかな違いで意味はだいぶ違ってしまうのがよくわかりますね。
似ているようで、まったく違う意味を持つ”used to”と”be used to”。
<used to +動詞の原型>は、過去に行っていた習慣を、<be used to +名詞/動名詞>は、慣れているという意味で使われます。
後ろに動詞の原型がくるのか、あるいは名詞/動名詞がくるのか、というのが、”used to”を含む英語表現を見分ける最も有効な方法でしょう。
”used to”と似ている英語
”used to”と似た意味を持つ英語には以下のようなものが挙げられます。
いずれも、「よく…したものだ」「以前は…していた」など、過去の習慣や状態を意味する表現です。
was/were accustomed to
”was/were accustomed to”は、「…に慣れている」「…が習慣になっている」「常習的に…している」という意味を表す英語です。
「習慣になるようにする」といった”be used to”よりも堅めのニュアンスを持ちます。
訳)ミアは、大人たちの中で自分だけが子どもであることに慣れていました。
was/were in the habit of
”was/were in the habit of”は、「…する習慣がある」「…の癖がある」という意味を持つフレーズです。
定期的または頻繁に、何かをすることが習慣になっていることを表します。
訳)彼らは、月に2、3回、昼食会を開く習慣がありました。
familiar with
”familiar with”は、「…に詳しい」「…をよく知っている」などを意味する英語です。
「なじみがある」「熟知している」「精通している」とも訳されます。
訳)リーはセントラル・テレビに25年間勤めていたので、かなり詳しいです。
”used to”を使った例文
”used to”を使った例文を紹介します。
通常の肯定文に加えて、否定文と疑問文の表現も確認してみましょう。
肯定文「以前はよく…したものだ」
訳)エラはダンスが好きだったけれど、今はもうやっていません。
訳)アップルパイは、祖母がよく作ってくれたものと同じくらい美味しかったです。
”as”を使って「以前より…するようになった」「以前ほど…しなくなった」という言い方も表現できます。
訳)以前よりよく外食するようになりました。
訳)以前ほど頻繁に映画を観に行かなくなりました。
否定文「昔は…だったのに」
どうしてそんなに不機嫌なのですか?昔はこんな風じゃなかったのに。
以前は、全然気にならなかったのですが。
疑問文「昔は…していたの?」
訳)ロンドンに来る前は、どこに住んでいましたか?
訳)この建物ができる前は、ホテルだったのですか?
まとめ
一見すると同じ意味のように思われがちな英語、”used to”と”be used to”について、意味の違いと正しい使い方を解説しました。
”used to”は、過去に繰り返し行っていた、あるいは習慣となっていた活動や状態について、現在はもうやっていないという意味を含んで表現します。
過去にやっていたが「今はもうしていない」というのがポイントです。
”used to”と似ている”be used to”は、後ろに動詞の原型がきているのか、あるいは名詞/動名詞がきているのか、という点に注意して見分けましょう。
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