”snap”という単語を聞いて、みなさんはどのような意味を思い浮かべますか?
”snap”は「パンッ」や「パチッ」など、瞬間的な短い音を意味する英語です。

日本語にはカタカナのスナップを用いた「スナップ写真」や「スナップショット」といった言葉がありますが、同じような使い方をしても問題ないのでしょうか。
カタカナでの使用が浸透していると、いざ英単語を前にした時に、意味を間違って解釈してしまいがちなので注意が必要です。

今回は、場面によってさまざまな意味を持つ英語の”snap”について、単語の意味と正しい使い方からスラング表現を解説していきます。

”snap”の意味

”snap”は、素早く行う動作やその動きによって音が鳴ることを意味する英語です。
辞書に載っている定義の中で、よく使われるおもな意味は以下のようなものが挙げられます。

  • to cause something that is thin to break suddenly and quickly with a cracking sound
    薄いものが突然、パキッと音を立てて壊れる
  • to suddenly become unable to control a strong feeling, especially anger
    突然、強い感情、特に怒りをコントロールできなくなる
  • to move into a position quickly, producing a short noise as if breaking
    まるで壊れるような短い音を立てながら、素早くある位置に移動する
  • to quickly return to a previous place or condition
    素早く以前の場所や状態に戻る

参考:Cambridge Dictionary

”snap”には、おもに動詞と名詞の2つの使い方があり、用法によって意味や訳が異なります。
日本語では「パチンと鳴らす」「パタッと閉める」「ポキッと折る」「パクリとかみつく」などと訳される場合が多いです。

”snap”が意味する「ポキッ」や「パチン」といった音は、瞬間的なニュアンスを含んでおり、急な感情の変化や状況の転換を指して使われることもあります。

”snap”と”break”の違い

”snap”と”break”の違い

”snap”と似た意味を持つ英語に”break”があります。
”snap”も”break”も「壊す」や「壊れる」という意味を表すので、どちらを使えばいいかわからないという方もいるのではないでしょうか。

同じような意味で間違いやすい”snap”と”break”の違いを解説します。

単語 意味
snap
  • 細いものや弾力のあるものが瞬間的に音を立てて壊れること
  • 迅速で鋭い素早い動作
  • 急な状況や環境の変化
  • 感情が爆発すること
break
  • ものが壊れること全般
  • 物理的な壊れ
  • ルールや約束を破ること

”snap”は、薄いものや細いものが急に壊れるときに使われる単語です。
壊れるときの音とその動き自体を表現します。
「ポキッ」や「パチン」などの擬音語なので、ややカジュアルな英語といえます。

一方の”break”は、何かが壊れること全般を指した単語です。
物理的な壊れから、規則や感情、状態などの壊れまで、幅広い意味を持っています。
さまざまなシーンで多用されている日常会話でも頻出の英語です。

”snap”を使った例文

”snap”を使った例文を動詞と名詞の意味ごとに分けて紹介します。

動詞の”snap”

  • 「折れる」
    Aさん
    Some vandals snapped off his car aerial again.
    訳)また車上荒らしが彼の車のアンテナを折りました。
  • 「切れる」
    Aさん
    The wind snapped branches and power lines.
    訳)風で枝や電線が切れてしまいました。
  • 「突然怒る」
    Aさん
    I just snapped when he asked me to postpone my trip to help him move to his new house.
    訳)彼が新居への引っ越しを手伝うために旅行を延期してほしいと言ったとき、私はついキレてしまいました。
  • 「かみつく」
    Aさん
    The poodle yapped and snapped behind the fence.
    訳)プードルが柵の後ろでギャンギャン鳴き、かみついていました。
  • 「写真を撮る」
    Aさん
    Dave snapped pictures of Sonia and me the whole time we were abroad.
    訳)デイブは、海外にいる間ずっと、わたしとソニアの写真を撮ってくれました。

名詞の”snap”

  • 突然何かが壊れたり、閉じたりするような「大きな音」
    Aさん
    She broke the wood stick over her knee with a loud snap.
    訳)彼女は、膝の上に置いた木の棒をポキッと大きな音を立てて折りました。
  • 大して技巧的でも芸術的でもないような「非公式な写真」
    Aさん
    Here are some tips for creating a photo book from your holiday snaps.
    訳)休暇中に撮った写真をフォトブックにするためのヒントをいくつかご紹介しましょう。
  • 「難なくできること」「簡単なこと」
    Aさん
    Thinking that the exam would be a snap, she didn’t bother to study for it.
    訳)試験は楽勝だろうと思って、彼女は試験勉強をしませんでした。

”snap”を含んだ熟語表現

”snap”を含んだ熟語表現

最後に、”snap”を含んだ熟語表現を紹介します。
単なる動詞、名詞の”snap”と違い、他の語と組み合わされることで、特定の意味を表します。

”snap back”

”snap back”は、「以前の状態や状況に素早く戻ること」を意味します。

Aさん
After incurring substantial losses last year, the company has quickly regained profitability and retained gains.
訳)昨年は大幅な損失を出したが、すぐに黒字を回復し、利益を維持しています。

”snap out of it”

”snap out of it” は、「悲しみや動揺を止め、気分を良くすること」や「悪い状況から抜け出すこと」を指します。

Aさん
Charlotte has been depressed for days. I wish she’d snap out of it.
訳)シャーロットは何日も落ち込んでいました。彼女が立ち直ればいいのですが。

”in a snap”

”in a snap”は、「あっという間に」という意味を表す表現です。

Aさん
They can lose their license in a snap.
訳)彼らはあっという間に免許を失う可能性があります。

”snap one’s fingers”

”snap one’s fingers”は、誰かに何かをするように指示する際に、中指を親指の上で音を鳴らすこと動作を表しています。

Aさん
She snapped her fingers at a passing waiter.
訳)彼女は通りすがりのウェイターに向かって指を鳴らした。

スラングの”Oh, snap”

最後に、スラングとしての”snap”も紹介しておきましょう。
”Oh, snap”は、最悪の事態が起こったときや、失敗したときなどに使われるスラング表現です。
ほかにも、何かにびっくりしたときにとっさに出る「わあ!」や「ギャッ!」のような言葉としても使えます。

Aさん
Oh, snap, we’re still saying the same thing.
訳)ああ、もう!まだ同じことを言っているよ。

まとめ

さまざまな状況やシーンによって異なる意味を持つ英語の”snap”について、意味と正しい使い方から熟語、スラング表現を解説しました。

”snap”は、動詞と名詞の2つの用法がありますが、どちらも素早く行う動作やその動きによって音が鳴るという意味が共通しています。
日本語では「パチンと鳴る」「パタッと閉める」「ポキッと折る」のように擬音語を交えて訳すとわかりやすいです。
物理的なものが壊れる以外に、状況の転換や復活、感情の爆発などにもよく使われるので覚えておきましょう。