飛行機に載せるスーツケースにfragileのステッカーを貼ることがあります。これは「割れ物注意」の意味で海外発送の荷物などにも使われます。
さて、fragileを使ったantifragileという言葉がありますが、これはどのような意味になるのでしょう?
この記事では、英語antifragileの意味と使い方を紹介します。人にもビジネスにも使われるワードを学びましょう。
fragileの意味
まず、antifragileからantiを取り除いた単語fragileの意味からみていきます。fragileを理解した上で、antifragileの紹介に進んでいきましょう。
fragileの意味
fragileは形容詞で「壊れやすい・もろい・弱い」と言った意味を持ちます。したがって、スーツケースや荷物に”fragile”と書かれたステッカーを貼ることによって「壊れやすいので取り扱いにご注意」というニュアンスを伝えることができます。
fragileはものが壊れやすいだけでなく、人に対して心が傷つきやすかったり不安定さをも表します。
fragileは、fragile items(壊れやすい品物)、fragile relationship(もろい人間関係)、fragile emotions(壊れやすい感情)などのように使います。
ちなみに、fragileの発音はfrǽdʒail、カタカナ語の読み方はフラジャイルが近くなります。
fragileの意味を理解したところで、次からはantifragileの紹介に進みましょう。
antifragileの意味と例文
「壊れやすい・もろい・弱い」の意味を持つfragileにantiをつけた言葉がantifragileです。ハイフンを使ってanti-fragileとすることもあります。antiは日本語でもアンチとして使われますが、何かに反対する際に使用される接頭辞です。壊れやすいことに反対?ですが、antifragileがどのような意味を持つのかさっそく紹介します。
antifragileの意味
antifragile(アンチフラジャイル)はズバリ「反脆弱性」を意味します。反脆弱性(はんぜいじゃくせい)とはある性質を指します。その性質とは、何かのリスクなど試練に直面するほど良い状態へ変化するというものです。「叩かれるほど強くなる」という言い方もできるでしょう。
そもそもantifragileは造語です。レバノン系アメリカ人の作家であり思想家のナシーム・ニコラス・タレブ氏によって作られました。タレブ氏はリスク・不確実性の研究者でもあり、書籍の一冊に「反脆弱性:不確実な世界を生き延びる唯一の考え方」というものがあります。
antiを加えてantifragileにすることで、壊れやすいの反対=壊れにくい・脆くないというニュアンスと考えがちですが、それよりも大きな衝撃などによって結果、大きな利益をあげるという意味合いが当たっています。そのため、予測不可能な未来に備えるのに役立つ概念の一つと言われています。
ナシーム・ニコラス・タレブ氏がTalks at Googleで話しているところを以下のリンクから見ることができます。一度、ご覧になってみてください。
antifragileの例文
それでは、antifragileをどう使えばいいのか?になりますね。ここで、例文を挙げてみましょう。
訳)反脆弱性とは、混沌と不確実性から利益を得るものがあることを意味します。
混沌(chaos)と不確実性(uncertainty)があるなかからでさえ、何かを得る方向に向かっていけること反脆弱性を表しています。
antifragileとresilientの違い
ここまでの例文で反脆弱性を説明する言葉として、困難な状態などでの強さや適応能力がありました。そこで、回復力があることを意味するresilientという単語とanti-fragileの比較をします。
antifragile vs resilient
antifragileな人とは、ストレスや困難に耐えられるだけでなく、混乱や不確実性さらには挫折をしても、より強くより回復力を得て状況を改善できます。ここで登場する「回復力がある」の英語がresilient(リズィリアント)です。輪ゴムも伸ばしても戻るということからresilientと言えます。
さて、resilientは逆境から回復する能力を指し、一方antifragileは逆境を有効に利用し、そこから伸びていけることを意味します。かなりの違いがあることが分かりますね。
訳)彼女は解雇されプレッシャーがあるなかでも、反脆弱性をつらぬいて最終的により良い地位を獲得しました。
訳)彼女には回復力があり、難しい状況から素早く、そして前向きに立ち直ることが多いです。
antifragile systemの例
antifragile systemという言葉があります。どのようなシステムであるか紹介しましょう。
antifragile systemというシステム
antifragile system(アンチフラジャイル・システム)とは、ミス・ストレス・不安定性などの課題に直面しても改善できるシステムを言います。例えば、エンジニアリング、医療、生態学やプロジェクト管理などで使われます。
訳)エンジニアリングでは課題に直面したときにシステムを改善できるよう、アンチフラジャイル・システムが使用されます。
アンチフラジャイルの持つ意味が活かされたシステムがソフトウェアにも使用されています。
antifragileの意味 – スラング
造語であるantifragileはスラングとして使われるのでしょうか?ここでは、antifragile conversationというフレーズを紹介します。
antifragile conversation
antifragileがスラングとして使われることは特にないようです。antifragile conversationとは「非暴力的な会話」を指します。人々が相手との関係を強化できるような会話で、自分の考えを共有しながら、相手の気持ちや人間性を認識することが含まれます。反脆弱性を持つ人はフィードバックや批判を受け入れて強くなることができます。
訳)アンチフラジャイルな会話には、自己認識と友情を刺激することが含まれます。
antifragileの使い方
では、最後に例文でantifragileの使い方を紹介します。ここまで学んだantifragileの意味を考えながらみていきましょう。
antifragileの使い方
訳)反脆弱性とは、ストレスや混乱から強さを得るシステムを指します。
「逆に強くなる」という意味がこの例文から分かります。これが反脆弱性です。
訳)反脆弱性であることは、混乱と不確実性に直面しても繁栄することだ。
訳)反脆弱性を持つ人は柔軟性があり、新しい状況や予期せぬ状況にも容易に適応できます。
これら2つの例文は反脆弱性を持つ人についてであり、日本語の「叩かれるほど強くなる」とも言える英文となっています。
まとめ
レバノン系アメリカ人の作家であり思想家のナシーム・ニコラス・タレブ氏によって作られた言葉antifragileが「反脆弱性」です。壊れにくい・脆くないというニュアンス以上に、大きな衝撃などによって結果、大きな利益をあげるという意味合いを持つ造語です。英語でも難しい状況に直面することがありますが、アンチフラジャイルの精神で継続していきましょう。
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