日本でも親しまれている「アップルパイ」は、アメリカのパイとして認知している方も多いと思います。さくっとした心地よい食感に甘く煮詰めた甘酸っぱいリンゴが口の中でコラボすると、何とも言えない幸せになります。
そんなアップルパイは、アメリカでも定番なパイメニューの一つとして認知されており、サンクスギビングやクリスマス、ホームパーティなどで手作りする人も多いです。ただ、「アップルパイ」は世界中で親しまれている定番スイーツのため、各国で作り方が異なるのも事実です。今回は、そんな奥深き「アップルパイ」の歴史やアメリカで定番のレシピなどを紹介していきます。
アップルパイの起源はアメリカではない!?
アップルパイの起源はアメリカにはなく、実際にはヨーロッパにあります。アップルパイの歴史はとても古く、最も初期のバージョンは中世のヨーロッパで作られていたと言われています。
ヨーロッパの起源
最初のアップルパイに似たものは、13世紀のイギリスやフランスで登場したと言われています。当時のアップルパイは、現代のものとは少し異なっていて、果物やスパイスを詰めたパイ生地で、上部を閉じるのではなく開放的な形で焼くことが多かったようです。パイ生地も、現代のようにバターをたっぷり使ったサクサクのものではなく、もっと硬いものでした。
アメリカとの関わり
アップルパイがアメリカに伝わったのは、17世紀の初めにイギリスやオランダの移民がアメリカ大陸に渡ったことがきっかけだと言われています。アメリカに持ち込まれたのち、アップルパイはその土地で栽培されているリンゴを使って作られ、アメリカ特有のバリエーションが生まれていきました。
現在のアメリカにおける人気
アメリカでは、19世紀にアップルパイが家庭料理の一部として広まり、特に「アメリカン・アップルパイ」として定着しました。アメリカの文化では「アップルパイ=アメリカ」を象徴する存在となり、「アメリカン・ドリーム」の象徴としても扱われることが多く、アメリカの代表的なお菓子として認識されています。
つまり、アップルパイの起源はアメリカではなく、ヨーロッパ、特にイギリスやオランダにあります。その後、時間をかけてアメリカで発展し、定着したことによって、アメリカの代表的なスイーツとして広まったというわけです。
アメリカではいつアップルパイを食べる?
アメリカのアップルパイは、特定の時期やイベントに食べられることが多いですが、実際には年間を通じて楽しむことができます。特に以下の時期やイベントで食べられることが多いです。
感謝祭(Thanksgiving)
感謝祭(Thanksgiving)は、アメリカで最も代表的な行事の一つで、毎年11月の第4木曜日に行われます。この日は家族や友人と一緒に食事を楽しむ日で、アップルパイはそのデザートとして定番なデザートの一つです。ターキー(七面鳥)やパンプキンパイと並んで、感謝祭の食卓に欠かせない存在です。
独立記念日(4th of July)
アメリカの独立記念日(7月4日)は「4th of July (フォースオブジュライ)」と呼ばれています。この日には、ホットドッグやバーベキュー、パイ、クッキーなどアメリカらしい食べ物やデザートがよく登場します。アップルパイもその一つで、特にピクニックやバーベキューの際に人気です。アメリカの象徴的なデザートとして、国を祝うイベントでよく食べられます。
秋(りんごの収穫時期)
アップルパイは、リンゴの収穫が行われる秋の季節にもよく食べられます。秋の味覚として、秋の暖かい日々に家族や友達と一緒に食べることが多いです。この季節にアップルパイを焼くことが、アメリカの家庭の伝統の一部ともなっています。また、同様にアップルサイダーやリンゴジャムも同時期によく販売されます。
クリスマスやその他の祝日
クリスマスなどの祝日でも、アップルパイは定番のデザートとして食べられます。特に家族が集まる時期には、温かいアップルパイをデザートとして楽しむことが多いです。
日常的に
アメリカでは、特別な日だけでなく、普段の食事後のおやつやデザートとしてアップルパイが楽しめます。もちろん、家で作るだけでなく、スーパーやベーカリーでも年中販売されています。
アメリカでのアップルパイの食べ方
アメリカのアップルパイは、食べ方にもいくつかのバリエーションがあります。最も一般的な食べ方から、日本ではあまりしない少し特別な食べ方までさまざまです。
そのまま食べる
最もシンプルでポピュラーな食べ方は、そのまま食べることです。できたての温かいアップルパイは、パイ生地がサクサクしていて、リンゴの甘さとシナモンの香りが楽しめます。冷めても美味しく、家庭でのおやつとして食べることが多いです。
アイスクリームを添えて
筆者がアメリカに来てびっくりしたことは、アメリカではアップルパイにバニラアイスクリームを添えるのが定番であることです。温かいアップルパイと冷たいアイスクリームの組み合わせは非常に人気で、口の中に入れるとアイスとパイの絶妙なハーモニーが楽しめます。このスタイルは「アラモード(à la mode)」と呼ばれ、特にレストランやダイナーでよく見かけます。
ホイップクリームをのせて
アイスクリームと同様に、アメリカではホイップクリームをアップルアップルパイに添えることも多いです。アイスクリームと違って、ホイップクリームは軽やかでふわっとした食感が加わるため、また違った楽しみ方ができます。シナモンやナツメグを軽く振りかけて、風味を増すこともあります。
チーズを添えて
アップルパイと一緒にチーズを食べるというのもアメリカでは一部の地域で見られるユニークな食べ方です。特にチェダーチーズを一緒に食べることがあり、チーズの塩気が甘いアップルパイの味と絶妙に調和し、しょっぱいと甘いの無限連鎖でいくらでもパイを堪能できます。
カスタードを添えて
アメリカでは、アップルパイにカスタードソースをかけて食べることもあります。特に濃厚なカスタードが、甘いアップルパイとよく合います。カスタードのまろやかさが、リンゴの酸味とシナモンの香りを引き立てます。
アメリカン・アップルパイのレシピ
アメリカのアップルパイの定番レシピをご紹介します!これは、アメリカの家庭でよく作られるシンプルで美味しいアップルパイのレシピです。パイ生地はスーパーで売っている冷凍パイ生地を使います。
【材料】(約9インチ(23cm)のパイ型1台分)
- パイ生地(2枚)
- フィリング(中身)
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- リンゴ:約6個(皮をむいてスライス)
- 砂糖:3/4カップ(約150g)
- ブラウンシュガー(白砂糖でも可):1/4カップ(約50g)
- シナモン: 小さじ1
- ナツメグ:小さじ1/4
- 塩:小さじ1/4
- コーンスターチ(小麦粉でも可):大さじ2(とろみをつけるため)
- レモン汁:大さじ1(リンゴの色が変わるのを防ぐため)
- バター:大さじ2
【作り方】
1. フィリングを準備する
- リンゴを皮をむき、芯を取り除き、薄くスライスします。
- 大きめのボウルにリンゴを入れ、砂糖、ブラウンシュガー、シナモン、ナツメグ、塩、コーンスターチ、レモン汁を加えてよく混ぜます。リンゴから水分が出るので、しっかりと混ぜてください。
2. パイを組み立てる
- オーブンを190℃(375°F)に予熱します。
- 冷蔵庫から生地を取り出し、打ち粉をした台に生地を1枚広げます。パイ型に合わせて伸ばし、型に敷きます。
- フィリングを生地に均等に広げ、上に小さく切ったバターを散らします。
- もう1枚の生地を伸ばし、パイの上にかぶせます。端をしっかり押さえて閉じ、余分な生地を切り取ります。
- 上部に小さな切れ目(蒸気抜きのため)を入れ、好みで卵黄を塗ると、焼き上がりがきれいに仕上がります。
3. 焼く
- 予熱したオーブンで約45〜50分、またはパイの上部が黄金色になり、リンゴのフィリングが泡立つまで焼きます。途中で焼き色がつきすぎる場合は、アルミホイルを軽くかぶせると良いです。
4. 冷ます
- 焼き上がったパイは少し冷ましてから切り分けます。熱々のまま食べるのも美味しいですが、冷ましてから食べるとフィリングが落ち着いて美味しくなります。
【お好みでお皿にサーブ】
アップルパイはそのまま食べても美味しいですが、アメリカで定番のスタイルとしてバニラアイスクリームを添えて食べることもおすすめします。もちろん、ホイップクリームやカスタードソースをかけても美味しいのでぜひ試してみて下さい。
「アップルパイ」はアメリカを代表する定番デザート
「アップルパイ」はアメリカでは定番のデザートの一つとして認知されていますが、世界でも広く親しまれています。日本人にとっても身近なアップルパイ。アイスクリームやホイップクリームなどをトッピングして食べるのはアメリカでは定番なので、ぜひアメリカンスタイルなアップルパイも楽しんでみてください。
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