エジプトを代表する伝統的なスイーツに「バスブーサ(Basbousa)」があります。
セモリナ粉を使ったしっとりとしたケーキに、甘いシロップがたっぷり染み込んだこのお菓子は、エジプトのみならず中東や北アフリカの広い地域で親しまれています。
シンプルな材料で作られながらも、豊かな甘さと独特の食感がクセになる一品です。
バスブーサとは?
What is Basbousa?
バスブーサは、セモリナ粉(デュラム小麦を粗挽きにしたもの)を使ったケーキに、甘いシロップを染み込ませた伝統菓子です。生地にはヨーグルトやバターが加えられ、焼き上がり直後に熱々のシロップをかけることで、外はほんのりサクッと、内側はしっとりジューシーな仕上がりになります。
仕上げには、アーモンドやピスタチオ、ココナッツフレークを飾ることが多く、ひと口食べると、芳醇な甘さとナッツの香ばしさが口いっぱいに広がります。バスブーサはお祝いの席や宗教行事の際に振る舞われる特別なお菓子ですが、日常のおやつとしても広く愛されています。
バスブーサの歴史
History of Basbousa
バスブーサのルーツは古代エジプトにまで遡ると言われています。当時からセモリナ粉は貴重な食材であり、特別な料理や菓子に使われてきました。
バスブーサという名前は、アラビア語の「بسّ(bas)」=「押し固める」という言葉に由来しています。セモリナ粉を押し固めて作る独特な製法が、このお菓子の名前の由来となったそうです。
その後、エジプトからオスマン帝国時代に広がり、現在ではトルコ、レバノン、ギリシャなどでも親しまれており、それぞれの地域で異なる名前やレシピが存在します。
バスブーサの味わいと食感
Taste and Texture of Basbousa
バスブーサの魅力は、何と言ってもしっとりとしたセモリナ生地に染み込んだ甘いシロップ。これにより、外側はほのかにカリッとしながら、内側は驚くほどジューシーに仕上がります。
- セモリナ粉の食感:粗挽き小麦粉ならではのプチプチとした歯ざわりが楽しめます。
- シロップの甘さ:オレンジフラワーウォーターやローズウォーターを加えたシロップは、エキゾチックな香りを添えます。
- ナッツのアクセント:アーモンドやピスタチオの香ばしさが甘さを引き立て、見た目にも華やかさを加えます。
紅茶やコーヒー、エジプトで親しまれるミントティーと一緒に楽しむのが定番です。
現地での楽しみ方と人気店
How to Enjoy Basbousa and Popular Local Restaurants
エジプトでは、バスブーサはお祝いの席や宗教行事、特にラマダン(断食月)の終わりに振る舞われる伝統的なデザートです。
おすすめの名店:
- El Abd Patisserie(エル・アブド・パティスリー): カイロにある人気のスイーツ店。伝統的なバスブーサの他、バクラヴァやクナーファも楽しめます。
- Mandarine Koueider(マンダリン・クエイダー): エジプト全土に展開する名店。濃厚な甘さが特徴で、ナッツの風味が際立ちます。
- Saber(サーベル): 観光客にも人気のスイーツ店で、バスブーサの他にも様々な中東菓子が揃っています。
旅行の際には、ぜひ地元のバスブーサを味わってみてください。
バスブーサ(Basbousa)のレシピ / Basbousa Recipe
バスブーサは、セモリナ粉を使ったエジプトの伝統的なスイーツで、甘いシロップがたっぷり染み込んだしっとりとしたケーキです。シンプルな材料で作れるため、家庭でも手軽に挑戦できます。
材料(8人分) / Ingredients (Serves 8)
生地 / Cake Batter:
- セモリナ粉(Semolina flour):200g / 200g
- グラニュー糖(Granulated sugar):100g / 100g
- ヨーグルト(Yogurt):150g / 150g
- 溶かしバター(Melted butter):100g / 100g
- ベーキングパウダー(Baking powder):小さじ1 / 1 tsp
- 塩(Salt):ひとつまみ / A pinch
- アーモンド(飾り用 / For garnish):適量 / As needed
シロップ / Sugar Syrup:
- グラニュー糖(Granulated sugar):150g / 150g
- 水(Water):100ml / 100ml
- レモン汁(Lemon juice):小さじ1 / 1 tsp
- オレンジフラワーウォーター(お好みで / Optional orange flower water):小さじ1 / 1 tsp
作り方 / Instructions
1. オーブンの準備 / Preheat the Oven:
- オーブンを180℃(350°F)に予熱する。
Preheat the oven to 180°C (350°F). - ケーキ型(約20cm四方の型)にバターを塗り、準備する。
Grease a 20cm square baking dish with butter.
2. 生地を作る / Prepare the Batter:
- ボウルにセモリナ粉、グラニュー糖、ベーキングパウダー、塩を入れてよく混ぜる。
In a bowl, mix the semolina flour, sugar, baking powder, and salt. - ヨーグルトと溶かしバターを加え、均一になるまで混ぜる。
Add the yogurt and melted butter, mixing until well combined. - 生地を型に流し入れ、表面を平らにする。アーモンドを均等に並べる。
Pour the batter into the prepared baking dish, smoothing the surface. Arrange almonds evenly on top.
3. 焼く / Bake:
- 180℃(350°F)のオーブンで約30分焼く。表面がきつね色になったら取り出す。
- Bake at 180°C (350°F) for about 30 minutes, until the surface turns golden brown.
4. シロップを作る / Prepare the Syrup:
- 鍋にグラニュー糖と水を入れ、中火で煮る。砂糖が溶けたらレモン汁を加え、少しとろみがつくまで煮詰める。お好みでオレンジフラワーウォーターを加える。
In a saucepan, combine sugar and water. Simmer over medium heat until the sugar dissolves. Add lemon juice and continue simmering until slightly thickened. Stir in orange flower water if using.
5. シロップを染み込ませる / Soak with Syrup:
- 焼き上がったバスブーサが熱いうちに、温かいシロップをまんべんなくかける。
Pour the warm syrup evenly over the hot basbousa. - シロップが完全に染み込むまで30分ほど置いてからカットする。
Let the cake absorb the syrup for about 30 minutes before slicing.
ポイント / Tips
- セモリナ粉の粒度によって食感が変わる。 粗めのセモリナを使うとプチプチした食感になり、細かいものを使うとよりしっとり仕上がる。
- シロップは冷たすぎず、温かい状態で染み込ませると、均一に吸収される。
- ナッツのトッピングは自由にアレンジ可能。 ピスタチオやココナッツフレークを加えるのもおすすめ。
まとめ
バスブーサは、エジプトの文化と歴史が詰まった伝統菓子です。
セモリナ粉の独特な食感と、甘いシロップが染み込んだジューシーさが絶妙なハーモニーを奏で、
シンプルながらのの味わいの深さから、エジプトではお祝いごとや家族の集まりに欠かせない一品です。
異国情緒溢れるバスブーサ、味わってみたいものですね!