日本語の「育てる」は漠然とした広義な意味を持つ動詞です。
主に、「手間をかけて養う」や「教え導く」の意味で使われますよね。人・動物・植物など幅広く対象になります。
また、組織や団体を対象として、それらを発展させるという意味で使うこともあります。
さらに、考え方や感情を対象とすることも。
一方、「育てる」を英語で言う場合には、対象や目的によって表現が変わってきます。
この記事では一般的な英単語を抑えつつ、応用表現も確認していきましょう。ニュアンスを掴む参考にしてみて下さいね。
「子供を育てる」は英語でどういう?
日本語の「子供を育てる」に一番近いのは、“raise a child”や“bring up a child”だと考えられます。
その他関連のある英単語も含めて、それぞれ確認していきましょう。
raise
“raise a child” と言えば、「子供を養育している」という意味で、ある程度の時間や手間をかけていることが連想されます。
単に世話を焼くだけでなく、「成長させる」というニュアンスが含まれています。
【例文】
- She is raising two children on her own.
(訳)彼女は片親だけで2人の子供を育てている。 - Raising a child is such a hard work.
(訳)子育ては重労働だ。
“raise a child”の代わりに、“raise a family”と言っても似た様な意味で、子供が居る家庭がイメージされます。
- This city is an ideal place to raise a family.
(訳)この町は家庭を築くのに理想的な場所だ。
下記は有名な表現で、子育ては一人でやるものではなく、色々な人の協力が必要だという意味合いです。
やはりどこの文化でもそういう認識があるのでしょうね。
- It takes a village to raise a child.
(訳)子供は地域ぐるみで育てるものです。
“raise”は、受動態でも良く使われます。
- Born and raised in Tokyo, now I work in New York.
(訳)生まれも育ちも東京で、今はニューヨークで働いている。 - I was raised a Christian but don’t consider myself as one anymore.
(訳)カトリック教徒として育てられたが、今はもうそういう認識は無い。
bring up
“bring up a child”は、”raise a child”とほぼ同じ意味とするネイティブが多い様です。句動詞なので、“raise”より多少ですが砕けた印象です。
あえて言うならば、広義な「育てる」に対して、どちらかというと「成人になるまで育て上げる」というニュアンスが含まれます。
- My grandparents brought me up instead of my parents.
(訳)両親に代わって祖父母が私を育ててくれた。
ちなみに、「生い立ち」は“upbringing”といいます。
- He had a very strict upbringing.
(訳)彼は厳格な家庭に育った。
take care of
“take care of a child”といえば、「子供の面倒を見る」という意味で、「世話をする」ことに視点が置かれています。また、短期間の出来事にしっくりきます。
- She quit her job to take care of the kids.
(訳)彼女は子育てのために仕事を辞めた。 - I am juggling between my study and taking care of the kids.
(訳)学業と子育てを同時に何とかやりくりしている。
foster
“foster a child”というと、「一時的に事情のある子どもを育てる」という特殊な場合に限られます。アニマルシェルターなどの場所から預かった動物に対しても使います。
- All children should be fostered in a caring environment.
(訳)全ての子供達は温かい環境で育てられるべきだ。
rear
“rear a child”は、「子供を大人になるまで育て上げる」というバッチリな意味があるものの、口語ではあまり使われず、主に文語で用いられます。
- Child-rearing allowance
(訳)児童扶養手当
「野菜/植物を育てる」は英語でどういう?
小規模なレベルで野菜を育てているのであれば、“grow”を使うので十分です。その他の単語も含めて、それぞれ確認しましょう。
grow
“grow vegetable / plants”が一番一般的な言い方です。
- I am growing tomatoes and cucumbers in my garden.
(訳)トマトとキュウリを庭で育てている。 - It is not difficult to sow seeds and grow your own plants.
(訳)種を植えて植物を一から育てるのは難しいことではない。
cultivate
“cultivate vegetable / plants”というと、より専門的なニュアンスで「栽培する」という意味になります。
- Rice is cultivated in several parts of the world.
(訳)米は世界のいくつかの場所で栽培されています。
breed
“breed vegetable / plants”は、特定の種を生み出すため「品種改良する」という意味になります。
「動物を育てる」は英語でどういう?
単に「ペットを飼っている」という時は“have a cat / dog”というが自然です。その他、家畜目的や、繁殖目的などの特定の場合の言い方も確認しましょう。
raise
“raise”を動物に使うと、食用として売るなどの目的が感じられる表現になります。もしくは、「成長させた」、「飼育した」というニュアンスが必要なときに使うことも可能でしょう。
- Many farmers also raise livestock.
(訳)多くの農家は家畜も育てている。 - It is hard work to raise a rescue dog.
(訳)レスキュー犬を育てるのは大変だ。
breed
“breed”を動物に使うと、植物の時と同じ様に、繁殖させるために飼っているという意味合いなります。
「人(部下など)を育てる」や「事業を育てる」は英語でどういう?
人材育成や、事業育成に使う場合は、「育てている」では漠然とし過ぎているので 、より具体的な意味をとったほうが自然です。以下にいくつか例を上げています。
grow / develop / expand(開発、改良していく)
- We are developing a business from a small town.
(訳)小さな町からビジネスを育てている。 - How can we expand and grow a start-up business?
(訳)小規模事業を拡大し育てていくにはどうしたらいいだろうか。
nurture(養成する、育てる)
- It is important to nurture potential in your employees.
(訳)従業員のポテンシャルを育てることが重要だ。
train(教育する)
- We need to focus more on staff training.
(訳)従業員教育にもっと力を入れるべきだ。
まとめ
日本語の「育てる」は、さまざまなもの・事を対象にとることができます。
一方で英語の場合は、日本語に比べて具体的な言葉選びをすることが多いです。
ただし、日常会話の中では固い単語を使う必要はありません。
まずは”raise”や”grow”などの基本単語を使いこなせれば十分だと思いますよ。