地中海の光と風が心地よく吹き抜けるポルトガル。その北部に位置する美しい町「ポルト」は、ポルトガルという国名の由来となった都市でもあります。
「ドウロ(Douro)川」の河口に広がる丘陵地帯に築かれたこの町は、「ポルト歴史地区(Historic Centre of Oporto)」として、ユネスコ世界遺産に登録されています。
のちに、その歴史的価値をさらに深めるかのように、「ルイス1世橋」と「セラ・ド・ピラール修道院」も含めた名称に変更されています。
今回はこの魅力的な世界遺産を、英語フレーズも交えながらご紹介します。
ポルトはどんな都市?

ポルトは、ポルトガルの首都リスボンに次ぐ第2の都市です。
ポルトの歴史
ローマ時代には「カレの港(Portus Cale)」と呼ばれ、活発な貿易都市として栄えていました。5世紀頃には交易の中心地となり、12世紀にはキリスト教勢力によってイスラム勢力から奪還されるなど、ポルトガル建国の歴史と深く関わる町です。
中世には「市壁(City Walls)」に囲まれた城郭都市としての姿を持ち、やがて14世紀以降は港町として商人たちが権力を持ちます。「大航海時代(The Age of Discovery)」に突入すると、エンリケ航海王子がこの地から新たな航路を目指して出航したという伝説もあります。
18世紀になると、この地域で生産される甘口のポートワイン(Port Wine)が世界的に有名になり、輸出港としてさらに繁栄。今でも街の至るところに、その歴史の名残が息づいています。
ジブリ映画『魔女の宅急便(Kiki’s Delivery Service)』の舞台のモデルの一つとされるのも、このポルトです。
ポルト歴史地区とは?
ポルト歴史地区(Historic Centre of Oporto)は、ポルトガルでも最も古く、魅力的なエリアのひとつです。
このエリアは、古代ローマ時代にまでさかのぼる歴史をもち、中世から近代にかけての街の発展をそのまま感じ取ることができます。
ロマネスク様式からバロック様式まで、さまざまな時代の建築が並びます。石畳の小道、色とりどりのタイルで飾られた家々、壮麗な教会など。
ポルト歴史地区の最大の魅力は、その町の構造。中世のころから変わらない道筋や、庶民が暮らした住居と商人たちの店が入り交じる街並みは、ヨーロッパでも貴重な例とされています。
ポルトの建物のファサード(正面部分)はカラフルで、青や黄色、赤などの色合いが絶妙に調和しています。駅や教会、家々の壁に描かれた青と白のタイル画は、宗教的な物語や歴史的な出来事を描いた「タイルのアート」として観光客の目を惹きつけます。
アクセス情報
日本からポルトガルへの直行便はありませんが、ヨーロッパの主要都市(フランクフルトやパリなど)を経由して、リスボンまたはポルト空港へ向かいます。
リスボンからポルトへは飛行機で約1時間、鉄道なら約3時間半。日本からの所要時間は約20時間です。
世界遺産としての価値とは?

町全体が世界遺産に登録されている「ポルト歴史地区」。
ユネスコの世界遺産の中には観光地化が進み、現地の人々の暮らしが見えにくくなる場所もありますが、ポルト歴史地区は、人々の暮らしが垣間見えます。
登録年は?
訳)ポルト歴史地区は、1996年にユネスコの世界遺産に登録されました。2016年、「ポルト歴史地区、ルイス1世橋およびセラ・ド・ピラール修道院」と改称されました。
1996年に「ポルト歴史地区」として世界遺産に登録されました。そして2016年、世界遺産の価値をさらに明確にするため、「ポルト歴史地区、ルイス1世橋およびセラ・ド・ピラール修道院」と改称されました。
英語では下記のように言います。
Historic Centre of Oporto, Luiz I Bridge and Monastery of Serra do Pilar
登録理由は?
世界遺産に登録された理由は、以下のような点です。
- ポルトの歴史地区は、中世以来の街並みや都市構造が今なお生き続けていること
- ロマネスク様式、ゴシック様式、ルネサンス様式、バロック様式、ネオクラシック様式などがひとつの都市空間に共存していること
- ポートワインを中心とした貿易都市としての歴史的重要性
覚えておきたい英語フレーズ
旅先で使える便利な英語表現も覚えておきましょう!
訳)ルイス1世橋へはどう行けばいいですか?
訳)この修道院について教えていただけますか?
訳)ポルトの町を歩いていると、まるで映画の中にいるみたいです。
訳)ポルトは、『魔女の宅急便(Kiki’s Delivery Service)』の舞台のモデルの一つなんだってね。
世界遺産をめぐる旅

ポルトの世界遺産の魅力的なスポットを紹介します。
クレリゴス教会(Clérigos Church)
ポルトの街でひときわ高くそびえるのが、このクレリゴス教会の塔。18世紀に建てられたバロック様式の建物で、塔の高さは約76メートル。上まで登ると、ポルト歴史地区の絶景が広がります。
ポルト大聖堂(Porto Cathedral)
12世紀に建てられた、ポルト最古の建造物のひとつ。
ロマネスク様式の重厚な外観に、ゴシック様式の礼拝堂、そしてバロック様式の回廊が融合した建築様式の融合が見どころです。回廊には青と白の美しいタイル装飾「アズレージョ」があります。
ボルサ宮(Palácio da Bolsa)
かつての証券取引所であり、現在は観光名所として人気。内部の「アラブの間(Arab Room)」はまるでスペインのアルハンブラ宮殿のよう。見学ツアーがおすすめです。
ルイス1世橋(Luiz I Bridge)
ドウロ川を渡る2階建ての大きな橋。1886年に完成し、上層は地下鉄、下層は歩行者・自転車用。設計したのはエッフェルの弟子、Théophile Seyrig(テオフィロ・セイリグ)。
橋からの眺めは“breathtaking”(息をのむよう)です!
セラ・ド・ピラール修道院(Monastery of Serra do Pilar)
ルイス1世橋を渡ってすぐ、ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア側の丘に立つ修道院。16世紀に建てられ、後に要塞・兵舎として使われた歴史を持ちます。現在はポルト商工会議所のオフィスでありながら、内部見学ツアーも実施中。
まとめ:英語で広がる世界遺産の旅
ポルトは、過去と現在が美しく融合する町。ポルト歴史地区の魅力は、古い建物が再利用され、ホテルやカフェ、レストランとして現代のライフスタイルに溶け込んでいる点が魅力のひとつです。古さと新しさが共存するエリアです。
ぜひ、英語で会話をしながらポルトガルのポルト歴史地区を歩いてみてはいかがですか。
