南太平洋に浮かぶ島国バヌアツ(Vanuatu)は、83の島々からなる美しい国。その中で、エファテ島(Efate Island)と、その周辺に浮かぶレレパ島(Lelepa Island)、エレトカ島(Artok Island)にまたがって残るのが、ロイ・マタ首長の領地(Chief Roi Mata’s Domain)です。
ロイ・マタ首長の領地とは?

17世紀初頭に実在したといわれる伝説的な首長ロイ・マタ(Roi Mata)の生涯にまつわる3つの場所。彼の住居(residence)、死の地(place of death)、そして埋葬地(burial site)を対象として、2008年にユネスコ世界遺産に登録されました。
ロイ・マタは争いの絶えなかった時代に平和をもたらした英雄として、現在でも人々から深く敬愛されています。今回は、この神秘と歴史が詰まった「ロイ・マタ首長の領地」を、英語フレーズを交えながら紹介していきましょう。
バヌアツってどんな国?
バヌアツは、オセアニアに属する火山島国家で、正式名称は「バヌアツ共和国(Republic of Vanuatu)」。名前の由来はメラネシア語の”vanua”(土地)と”tu”(立つ)で、「私たちの土地」「独立した土地」を意味します。
数千年前、オーストロネシア語族が島に到来し、定住。最古の遺跡は約4000年前とされています。また、1452年~1453年のクワエ火山(Kuwae volcano)の大噴火は、気候変動や歴史的混乱を引き起こしたと考えられています。
近代史では、1980年にイギリスとフランスの共同統治から独立。さらに2006年には、「地球で最も幸せな国」に選ばれたことでも話題になりました。
また、バヌアツはバンジージャンプ発祥の地とも言われ、成人の通過儀礼として木の塔から飛び降りる「ナゴール」と呼ばれる儀式が有名です。
ロイ・マタとは?
ロイ・マタは、17世紀ごろに実在したとされる伝説的な首長で、「部族間の争いを終わらせた平和の使者」と語られています。
伝承によれば、ロイ・マタは見晴らしの良い海辺に住まいを構え、周囲の島々に平和をもたらしました。しかし、最期は自身の弟によって毒矢で命を奪われたといわれています。
この伝説の真偽は長らく不明でしたが、1967年にフランス人考古学者ジョズ・ガランジェが埋葬地を発掘し、口承伝承の正確さが証明されました。
アクセス方法
ロイ・マタ首長の領地は、以下の3つの島に点在しています。
- エファテ島(Efate):住居跡
- レレパ島(Lelepa):フェルズ洞窟
- エレトカ島(Artok):埋葬地
日本からはオーストラリアやフィジー経由で、約10時間でエファテ島の首都ポートビラへ到着。ツアーに参加すれば、ロイ・マタの邸宅や洞窟へアクセスできます。しかし、埋葬地は神聖な場所のため立ち入りは禁止されています。
世界遺産としての価値
ロイ・マタ首長の領地(Chief Roi Mata’s Domain)は、「口承伝統と文化的景観の融合」という観点で評価され、2008年にユネスコ世界遺産に登録されました。
登録理由は?
次のような点が評価されて世界遺産に登録されました。
- 400年に渡って守られてきたという継続的な文化的景観であり、社会風習にも反映されている
- ロイ・マタに関連する3つの重要な遺跡は時間の経過とともに太平洋の人々と自然環境のつながりが見られる
- 現在のバヌアツの人々の中で伝統が生き続けていて、文化的景観は彼らの力の源であり、人生観にも影響している
この場所は、伝説・信仰・考古学の融合点としてユニークな文化遺産とされています。
覚えておきたい英会話フレーズ
訳)こんなに静かで美しい場所だとは思いませんでした。
訳)はい、ロイ・マタ首長はこの海の見える静けさを気に入って、この場所を選んだと言われています。
訳)ロイ・マタ首長は、部族同士の争いを終わらせて島々をまとめた偉大なリーダーだったのよ。彼の話は今でも地元の人たちに語り継がれているよ。
訳)バヌアツどうだった?
訳)忘れられない旅だったよ。ロイ・マタ首長の領地を訪れて、メラネシア文化への尊敬の念が深まったよ。
ロイ・マタ首長の領地の主な構成資産

ロイ・マタ首長の領地は、エファテ島の邸宅跡、レレパ島にあるフェルズ洞窟、そしてロイ・マタの墓など、3つの象徴的な歴史的資産で構成されています。
ロイ・マタの邸宅(エファテ島)
現在、邸宅の跡地には石の壁などがわずかに残るのみ。しかし、木々に囲まれた広場では、地元の人々が伝統衣装で踊るパフォーマンスも楽しめます。ここで感じる歴史の重みは格別です。
エファテ島には観光スポットも豊富。ブルーラグーンで泳いだり、バンヤンツリーの大木を眺めたりと自然の魅力も満喫できます。
フェルズ洞窟(レレパ島)
ロイ・マタが息絶えたとされる神聖な場所。洞窟内には、鯨、鳥、タロイモなどの絵が描かれており、当時の生活が垣間見えます。
特に注目なのが、ロイ・マタが横たわっていたとされる石のベッドの周囲に描かれた、月・太陽・雨のカレンダー。これらは16世紀~17世紀の自然信仰の証ともいえる貴重な資料です。
ロイ・マタの墓(エレトカ島)
埋葬地は聖域として今も立ち入り禁止ですが、そこには数十人もの側近たちと共に埋葬されたとされ、ロイ・マタの神格化を示す象徴となっています。
緩衝地域(Buffer Zones)
緩衝地域は、遺産そのものを守るための重要な役割を担っています。この地域では自然環境を保護しつつ、伝統文化の維持にも配慮されています。観光客も限られた範囲での行動が求められ、地域住民との共存を目指す取り組みが進められているのが特徴です。こうした配慮が、ロイ・マタ首長の領地を未来へとつなげる鍵となっています。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
バヌアツの「ロイ・マタ首長の領地」は、言葉では言い表せない歴史の重み、先祖の知恵、自然との共生の精神が息づいています。
そんな旅をより豊かにしてくれるのが「英語」です。たとえば、地元の人から直接ロイ・マタの伝説を聞いたり、世界中の旅行者と感動を分かち合ったり。英語ができるだけで、旅先での体験はぐっと深まり、思い出も色濃く残るのです。
次に旅する世界遺産は、どこでしょうか? 英語のフレーズをいくつか覚えて、ぜひ新しい旅に出かけてみてください。
