訪日外国人観光客の数は過去最高水準で推移しており、現時点で2025年3月までの累計は約1,000万人を突破しています。また、観光庁によると2025年1〜3月期のインバウンド消費額は前年同期比28.4%増の2兆2,720億円と大幅に伸びています。この背景により、観光現場では「英語によるおもてなし力」がこれまで以上に重要視されています。

「笑顔は出せても英語が出てこない…」「文化の違いをどう伝えたらいいかわからない…」そんな接客現場の悩みに応えるべく、本記事では外国人観光客に喜ばれる“おもてなし英語”と文化マナー説明の実用的フレーズを、5つのテーマに分けてご紹介します。

おもてなしの英語をマスター!第一印象をよくする丁寧な声掛けフレーズ

訪日観光客との最初のやり取りは、まさに“第一印象”の勝負です。おもてなしの心を英語で伝えるには、短くて分かりやすい丁寧なフレーズを使うのがポイントです。語彙力に自信がなくても、笑顔と気遣いがあれば相手にしっかり伝わります。
このセクションでは、ホテル・観光案内所・ショップなどで使える「おもてなし英語」の定番フレーズをご紹介します。

すぐ使えるおもてなし英語フレーズ

  • Welcome! May I help you?
    ようこそ!何かお手伝いできますか?
  • Is this your first time in Japan?
    日本は初めてですか?
  • We’re happy to have you here.
    お越しいただき嬉しいです。
  • Please enjoy your stay.
    ご滞在を楽しんでください。
  • Let me know if you need anything.
    何か必要なことがあれば教えてください。

接客のポイント

おもてなし英語では、難しい単語や文法よりも「安心感と親しみ」が大切です。英語が完璧でなくても、丁寧な口調とアイコンタクト、身振りを交えることで自然なコミュニケーションが取れます。

英会話例

Aさん
Welcome! May I help you?
(ようこそ!何かお手伝いできますか?)

Bさん
Yes, I’m looking for the information desk.
(はい、案内所を探しています。)

Aさん
It’s just over there, on your right.
(すぐそこ、右手にありますよ。)

このように、日常的に使うフレーズを覚えておくだけで、接客英語の第一歩がスムーズになります。

マナー説明の英語が鍵!文化の違いを上手に伝えるコツ

日本には、靴を脱ぐ習慣やお風呂で体を洗ってから湯船に入る文化など、外国人観光客にとっては新鮮なマナーがたくさんあります。しかし、そうした文化の違いを知らずに戸惑うお客様も少なくありません。
そんな時こそ、やさしい英語でマナーを説明する力が現場の信頼につながります。特に公共マナーや施設内でのルールについては、事前に伝えておくことでトラブル防止にもなります。

すぐ使えるマナー説明 英語フレーズ

  • Please take off your shoes here.
    ここでは靴を脱いでください。
  • Before entering the bath, please wash your body.
    お風呂に入る前に体を洗ってください。
  • No photography is allowed inside.
    館内は撮影禁止です。
  • Please be quiet in this area.
    このエリアでは静かにお願いします。
  • Do not touch the exhibits, please.
    展示物には触れないでください。

接客のポイント

マナー説明では、注意や禁止をやわらかく伝える表現が重要です。「Please」や「Would you mind〜?」といった丁寧な言い回しを使い、相手の立場を尊重する姿勢を示しましょう。さらに、ジェスチャーや案内表示を活用することで、言葉以上に伝わることもあります。

英会話例

Bさん
Can I enter with my shoes on?
(靴のまま入っても大丈夫ですか?)

Aさん
Actually, please take off your shoes here. It’s a Japanese custom.
(実は、ここでは靴を脱いでいただいています。日本の習慣なんです。)

Bさん
Oh, I see! Thank you for telling me.
(なるほど!教えてくれてありがとう。)

このように、日本のマナーを英語で伝えられると、文化交流のきっかけにもなります。注意喚起+簡単な理由の説明というセットを意識すると、よりスムーズな対応が可能です。

プレゼント案内も英語で!お土産・記念品のおすすめフレーズ集

観光の楽しみのひとつが「お土産選び」です。日本の伝統工芸品や和菓子、季節限定商品などを紹介できると、お客様にとって特別な思い出になります。そんな時に役立つのが、プレゼント案内に使える英語フレーズです。
「この商品は人気です」「海外のお客様に喜ばれています」といった説明ができれば、自然におすすめできる接客が可能になります。言葉選びひとつで、売上にも好印象にもつながる重要なスキルです。

すぐ使えるプレゼント案内 英語フレーズ

  • This is a popular souvenir among foreign visitors.
    こちらは外国人観光客に人気のお土産です。
  • Would you like to get something for your family or friends?
    ご家族やご友人へのプレゼントはいかがですか?
  • This item is handmade and only available in this area.
    これは手作りで、この地域でしか手に入りません。
  • We can gift-wrap it for you.
    プレゼント用に包装できます。
  • This is our best-selling item this season.
    これは今季の一番人気商品です。

接客のポイント

プレゼント案内では、「売り込む」のではなく「提案する」姿勢が重要です。おすすめ理由を添えながら紹介することで、信頼感と好意が生まれます。また、ギフトラッピングや免税手続きの案内もセットでできると、より満足度の高い接客になります。

英会話例

Bさん
I want to get something for my friend. Do you have any suggestions?
(友達に何か買いたいんですが、何かおすすめはありますか?)

Aさん
This is a popular souvenir among foreign visitors. It’s handmade and only available in Kyoto.
(こちらは外国人のお客様に人気のお土産です。手作りで、京都限定ですよ。)

Bさん
Sounds perfect! Can you wrap it for me?
(ぴったりですね!包装してもらえますか?)

Aさん
Of course! We can gift-wrap it for you.
(もちろんです!プレゼント用に包装いたします。)

お土産案内は、英語が少し話せるだけで印象が大きく変わります。「伝わる+ちょっと嬉しい提案」が、おもてなしのプロの技です。

感謝の言葉を英語で伝える!印象に残るおもてなしの締めくくり

観光業において、お客様とのやりとりを締めくくる言葉はとても重要です。英語が堪能でなくても、感謝の気持ちを一言で伝えることが、最高のおもてなしになります。
「また来たい」と思ってもらえるような心のこもったフレーズを用意しておけば、最後の印象がグッと良くなります。特に観光業では、「買ってくれてありがとう」「来てくれてありがとう」を自然に伝えられる力が接客レベルを左右します。

すぐ使える感謝の言葉 英語フレーズ

  • Thank you very much for coming.
    ご来店(ご来館)ありがとうございました。
  • We hope you had a great time.
    楽しい時間を過ごしていただけたなら嬉しいです。
  • Thank you for your purchase.
    お買い上げありがとうございます。
  • Have a safe trip!
    お気をつけてお帰りください。
  • We look forward to seeing you again.
    またのお越しをお待ちしております。

接客のポイント

感謝の言葉では、「言葉そのもの」+「表情と声のトーン」がセットです。たとえ英語がシンプルでも、真心がこもっていれば確実に相手に伝わります。また、「次にまた来てほしい」という気持ちを込めると、自然とリピーターにもつながります。

英会話例

Bさん
Thanks! I really enjoyed the experience.
(ありがとう!本当に楽しかったです。)

Aさん
We’re glad to hear that. Thank you very much for coming.
(そう言っていただけてうれしいです。ご来店ありがとうございました。)

Bさん
I’ll definitely come back next time.
(また来ますね!)

Aさん
We look forward to seeing you again. Have a safe trip!
(またのお越しをお待ちしております。お気をつけて!)

感謝の言葉は、英語力よりも“思いやり”の力が問われる場面です。気持ちを込めて伝えることが、外国人観光客に「心のこもった日本のおもてなしだった」と感じてもらえる最大のポイントになります。

礼儀正しい接客を英語で!丁寧な表現で信頼を得る方法

日本のおもてなし文化の中核にあるのが「礼儀」です。観光業においても、相手に失礼のない対応や敬意を込めた言葉づかいは、お客様との信頼関係を築く上で欠かせません。
英語でも、「ていねいな接客」を表現するためのフレーズがあります。難しい敬語のような言い回しは必要ありませんが、やさしいトーンで配慮のある表現を選ぶことが重要です。

すぐ使える礼儀表現 英語フレーズ

  • Would you mind waiting a moment?
    少々お待ちいただけますか?
  • I’m terribly sorry for the inconvenience.
    ご不便をおかけして大変申し訳ありません。
  • Let me confirm that for you.
    確認させていただきます。
  • Thank you for your patience.
    お待ちいただきありがとうございます。
  • Please don’t hesitate to ask.
    どうぞご遠慮なくお尋ねください。

接客のポイント

礼儀表現を使う場面は、トラブル対応や謝罪、確認時などさまざまです。ここでは、「直接的な命令」や「カジュアルすぎる表現」は避け、控えめかつ丁寧な印象を与える英語を選びましょう。また、英語が不完全でも誠実さを込めた対応が最も大切です。

英会話例

Bさん
Excuse me, my reservation seems to be missing.
(すみません、予約が見つからないようです。)

Aさん
I’m terribly sorry for the inconvenience. Let me confirm that for you.
(ご不便をおかけして申し訳ありません。すぐに確認いたします。)

Bさん
Thank you. I really appreciate it.
(ありがとうございます。本当に助かります。)

Aさん
Thank you for your patience. I’ve found your reservation.
(お待たせしました。予約が確認できました。)

このような「ていねいな英語表現」が自然に使えるようになると、接客の質が格段にアップします。英語力そのものよりも、相手を尊重する姿勢が伝わるかどうかが、おもてなし英語の核心です。

まとめ

外国人観光客に喜ばれる接客の鍵は、「伝わる英語」「心を込めた態度」「文化を共有する気持ち」にあります。本記事で紹介したフレーズや会話例は、すべて観光業の現場ですぐに使える実践的なものばかりです。
少しずつでも構いません。まずはひとつのフレーズを、明るい声と笑顔で伝えることから始めてみてください。
それが「また来たい」と思ってもらえる、最高のおもてなしにつながります。