ハンガリーの首都ブダペストは、ドナウ川をはさんで「ブダ」と「ペスト」というふたつの街が合わさってできた美しい都市です。丘陵のブダには歴史的な建物が立ち並び、平地のペストには官庁街や商業地区が広がっています。その風景は「ドナウの真珠」や「東欧のパリ」とも称されるほどです。
この記事では、「ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通り」という世界遺産に焦点を当て、歴史・魅力・見どころを、英語表現も交えて紹介していきます。
ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通りとは?

世界遺産を含むブダペストの歴史や街の魅力、アクセスについてみていきましょう。
ブダペストの歴史的背景
ブダペストは、ハンガリー北部に位置する国内最大の都市です。その起源は非常に古く、ローマ時代にはすでに「アクインクム」という町が築かれており、現在もその遺跡が北ブダ地区に残っています。
西岸の「ブダ」は丘の上に位置し、9世紀にはマジャール人によって定住が始まりました。13世紀にはモンゴルの侵攻を防ぐためにブダの丘の上に城が築かれ、後のブダ城へと発展していきます。15世紀にはルネサンス様式で美しく整えられましたが、16世紀にオスマン帝国に征服され、城や街は破壊されました。
17世紀末、ハプスブルク家の神聖ローマ帝国が支配するようになると、再建と拡張が進められます。マリア・テレジアの時代には華麗な宮殿やバロック様式の建築が次々と築かれ、街は再び輝きを取り戻しました。
訳)ブダ城はオスマン帝国によって破壊され、後にハプスブルク支配下で再建されました。
現代のブダペスト
19世紀には、ドナウ川にかかる初めての恒常的な橋「セーチェーニ鎖橋」が完成し、ブダとペストの行き来がしやすくなります。そして1873年、ブダ、オーブダ、ペストの3都市が合併して現在のブダペストが誕生しました。
ペスト側には新しい官庁街や文化施設が築かれ、街の成長と共に近代的な都市設計が進められました。その一環として作られたのが「アンドラーシ通り」。オペラ座や美術館、カフェが並び、ヨーロッパ大陸で初の地下鉄(現在のM1線)がこの通りの地下を通っています。この地下鉄は1896年に開通し、現在も現役で活躍中です。
訳)ブダペストの地下鉄M1号線は、ヨーロッパ大陸で最も古い路線です。
温泉大国?
意外に思われるかもしれませんが、ハンガリーは世界でも有数の温泉大国です。国内には350ヵ所以上の温泉施設があり、治療目的の「温泉病院」や、トルコ支配時代に築かれたトルコ式温泉、また夏季限定の温泉プールなど、多種多様です。
中でも有名なのが「ゲッレールト温泉」。アール・ヌーヴォー様式の豪華な内装とともに、ホテルに併設されており、観光客にも人気のスポットです。温泉で体を癒やしながら、ヨーロッパの歴史を感じられる貴重な体験ができます。
訳)ゲッレールト温泉は癒やされるだけでなく、建築的にも傑作です。
アクセス方法
リスト・フェレンツ国際空港(ブダペスト)から市内中心部へは、シャトルバスやタクシーがあります。観光に便利な「ブダペスト・カード」は、市内でバスや地下鉄で利用できます。
世界遺産としての価値

この世界遺産は、1987年に「ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区」として登録され、2002年にアンドラーシ通りと地下鉄M1号線が拡張登録されました。
現在、登録名は「ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通り(Budapest, including the Banks of the Danube, the Buda Castle Quarter and Andrássy Avenue)」です。
ユネスコはこの地を、「長い歴史の中で都市の発展を示す優れた例」であり、「建築と都市計画の調和がとれた景観がある」と評価しています。特に、ドナウ川を挟んで広がる街並みと、城、橋、通りがつくる一体的な美しさが、世界的に見てもユニークな点とされています。
訳)ドナウ沿いの調和のとれた都市景観は、世界遺産の宝です。
覚えておきたい英会話フレーズ
ブダペストの美しい街並みや世界遺産について、英語で感動を共有したり、現地で役立つ会話を紹介します。
訳)ここって「ドナウの真珠」って呼ばれてるんだって。
訳)そうだよ!漁夫の砦からの景色は本当にすごいよ。
訳)このスパ、すごく気持ちいいね。
訳)ゲッレールト温泉はアール・ヌーヴォー建築でも有名なんだ。
訳)またここに来たいな。
訳)僕も。ブダペストは魅力と歴史にあふれてるよ。
主な構成資産を紹介!

ブダペストの世界遺産には、歴史的・建築的に価値ある名所が数多く含まれています。ここではその中から代表的なスポットをご紹介します。
ブダ城
かつての王宮として機能してきた壮大な建築群で、丘の上から市内を一望できます。現在はハンガリー国立美術館や歴史博物館などが入り、一般公開されています。夜にはライトアップも美しく、ブダペストの象徴的存在です。
マーチャーシュ聖堂
13世紀に創建されたゴシック様式の教会。正式名は「聖母マリア聖堂」。ハンガリー王の戴冠式や王族の結婚式が行われた格式高い聖堂です。聖堂の前に広がる「聖三位一体広場」には、聖三位一体像 がそびえています。
漁夫の砦
マーチャーシュ聖堂の北東に建っているのが漁夫の砦です。白い尖塔が特徴的な建造物で、ドナウ川を挟んでペスト側の景色を一望できます。かつてこの場所を守っていた漁師の組合に由来して名づけられたと言われています。
ゲッレールトの丘
標高約235メートルの丘で、自由の像が立ち、第二次世界大戦後の歴史を物語っています。夜には街全体が光に包まれ、特にドナウ川沿いのライトアップが幻想的です。
セーチェーニ鎖橋
1849年に完成した、ブダとペストを結ぶ最古の吊橋。第二次世界大戦中に破壊されましたが、1949年に再建。
国会議事堂
ドナウ川沿いに堂々と建つネオ・ゴシック様式の壮大な建物。衛兵交代も見どころの一つです。
英雄広場
ハンガリー建国1000年を記念して造られた広場で、中央の記念碑には大天使ガブリエルの像が立っています。周囲には歴代の王や英雄の像が並び、国家の歴史と誇りを感じられる場所です。
アンドラーシ通り
パリのシャンゼリゼ通りをモデルにした美しい並木道で、19世紀末の都市計画の成果を象徴しています。ハンガリー国立オペラ座があり、カフェや高級住宅なども立ち並んでいます。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
ブダペストは、美しい街並みと深い歴史が魅力の都市です。そんな世界遺産を訪れながら、英語で感動を伝えたり学んだりすれば、旅も英語ももっと楽しくなります。英語で世界を広げてみませんか?
