ロンドンのテムズ川沿いに立つ荘厳な建物群──それは、世界遺産「ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター大寺院および聖マーガレット教会」です。これらは、イングランドの政治・宗教・市民の中心として、長い歴史を刻んできました。
イギリスといえば、時計塔ビッグ・ベンが有名ですが、それもウェストミンスター宮殿の一部です。
この世界遺産の歴史と魅力を、英語を交えながら紹介します。
ウェストミンスターとは?

「ウェストミンスター(Westminster)」は、ロンドンの中心部にある地域の名前であり、イギリス政治の中心地です。その名は「West Minster(西の大寺院)」に由来します。
この地は、かつてテムズ川に浮かぶソーニー島(Thorney Island)と呼ばれる小島で、そこにベネディクト会の修道院(現在のウェストミンスター大寺院)が建てられたことが始まりでした。
政治、王室、信仰、市民生活の象徴的な建物が、ウェストミンスターに集結しているのです。
アクセス情報
最寄り駅は、地下鉄の「Westminster駅」です。ロンドン市内から多くのバス路線が当駅を経由します。駅からは徒歩圏内です。
ウェストミンスター宮殿とは? ― イギリス議会の象徴
ウェストミンスター宮殿(Palace of Westminster)は、現在イギリスの国会議事堂として使用されています。
その起源は11世紀、エドワード懺悔王が王宮としてこの地に建てたことにさかのぼります。
中世を通して王の住居として使われていましたが、1834年に大火災で多くの部分を焼失。再建にあたり、チャールズ・バリーとオーガスタス・ピュージンにより、壮麗なゴシック・リヴァイヴァル様式で設計されました。今の姿はそのときのものです。
その美しさは夜のライトアップでさらに引き立ちます。
ビッグ・ベンとは?
「ビッグ・ベン(Big Ben)」という名前で親しまれる時計塔。実は正式名称は「エリザベス・タワー(Elizabeth Tower)」で、2012年にエリザベス2世の在位60周年を記念して命名されました。
「ビッグ・ベン」は本来、塔の内部にある大時鐘の愛称です。1859年に設置された当時は、世界最大かつ最も正確な時計でした。
訳)あれがビッグ・ベン?
訳)うん!国会議事堂の一部だよ。
塔の老朽化に伴い、2018年から修復工事が行われ、議会機能は一時的に近隣施設に移されています。完全復帰は2025年以降の予定といわれています。
ウェストミンスター大寺院 ― 王室とともに歩む聖なる空間

ウェストミンスター大寺院(Westminster Abbey)は、イギリス王室と深く関わる歴史的教会です。1066年、ウィリアム1世がここで戴冠式を行って以来、ほぼすべての英国王がこの場所で即位しています。
また、王室の結婚式や国葬の場にもなっており、1997年のダイアナ妃の葬儀、2011年のウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式が記憶に新しいところです。
教会内には科学者のアイザック・ニュートン、進化論のチャールズ・ダーウィン、小説家チャールズ・ディケンズなど、イギリスを代表する著名人の墓も多くあります。
建築様式は13世紀以降にフランス・ゴシックの影響を受け、イギリス独自のスタイルと融合しました。
聖マーガレット教会 ― 市民に開かれた教会
聖マーガレット教会(St. Margaret’s Church)は、ウェストミンスター大寺院のすぐ隣にある小さな教会です。
12世紀にベネディクト会の聖職者によって創建され、15世紀から16世紀にかけて現在のテューダー朝様式に再建されました。
この教会は、貴族や政治家ではなく、一般市民のために建てられた点が特徴的です。
訳)マーガレット教会は見過ごされがちだけど、静かな魅力があるね。
世界遺産としての価値とは?

「ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター大寺院および聖マーガレット教会(Palace of Westminster and Westminster Abbey including Saint Margaret’s Church)」は、1987年にユネスコ世界遺産に登録されました(2008年に軽微な変更あり)。
登録理由は?
この場所は、政治・宗教・市民生活という3つの分野で英国社会の核心を担ってきたこと、そしてそれぞれが優れた建築遺産であることが評価されました。
- 歴史的建造物としての価値
- 王室と国民の関係性を表す象徴性
- ゴシック建築の傑作
こうした理由から、「イギリスの歴史そのもの」としての価値があるとされています。
覚えておきたい英会話フレーズ
ここでは、実際にこの世界遺産を訪れたときに使える英語フレーズを紹介します。
訳)ウェストミンスター宮殿は何様式?
訳)あれはゴシック・リバイバル様式だよ。1834年の火災の後に再建されたんだ。
訳)ウェストミンスター大寺院は何に使われているの?
訳)英国王室の戴冠式とか結婚式が行われるところだよ。
訳)有名な科学者たちもここに埋葬されてるって聞いたけど。
訳)その通り。ニュートンやダーウィンもここに眠ってるよ。
訳)あの寺院の隣の小さな教会、かわいいね。何ていうの?
訳)聖マーガレット教会だよ。庶民のために建てられたんだ。
訳)ここも結婚式に使われてたの?
訳)うん、昔は特に上流階級の人たちが式を挙げてたらしいよ。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
ウェストミンスターの世界遺産は、イギリスの歴史や文化が詰まった場所です。実際に訪れると写真や教科書ではわからない感動があります。
こうした場所を英語で紹介できるようになることは、英語学習のモチベーションにもなります。
世界遺産を通して、英語も世界も、もっと身近に感じられることでしょう。
