フランス南東部にある都市リヨン。ソーヌ川とローヌ川という2つの大きな川が交差するこの町は、古代ローマ時代から現代まで、2000年以上にわたって発展し続けてきました。特に石畳の旧市街から、丘の上に広がるクロワ・ルース地区にかけては、「リヨン歴史地区」として1998年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
この地域は、古代ローマの遺構から中世の大聖堂、ルネサンス時代の街並み、絹織物工房など、時代ごとの建築や文化が調和して残されています。
訳)リヨンの歴史地区は、2000年にわたるヨーロッパの歴史が生きる博物館です。
リヨン歴史地区の起源と発展

リヨンの街としての起源は紀元前1世紀にさかのぼり、ヨーロッパの政治、文化、経済の発展に重要な役割を果たしてきました。
ローマ時代の起源
リヨンの歴史は、紀元前43年にローマ人が「ルグドゥヌム(Lugdunum)」という名の都市を築いたことに始まります。この町は、現在のフランス、ベルギー、スイスなどを含む「ガリア3州」の中心都市となり、政治や軍事、商業の拠点として栄えました。
中世の商業都市
中世になると、ソーヌ川沿いにヴィー・リヨン(旧市街)が形成されます。15世紀にはフランス王ルイ11世がリヨンに自由市の特権を与え、リヨンは商業・金融の中心としてさらに発展しました。
ルネサンス期の繁栄
16世紀、イタリアから絹織物の技術が導入され、リヨンは織物産業の中心地となります。
『星の王子さま』の作者、サン=テグジュペリの街
リヨンは、あの有名な絵本『星の王子さま』の作者、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの生まれ故郷でもあります。彼はリヨンで生まれ、後に飛行士となり、第二次世界大戦中に消息を絶ちました。
旧市街にはサン=テグジュペリと星の王子さまの銅像があり、ファンにとっての聖地のようになっています。
アクセス方法
リヨンへは、パリから高速鉄道TGVを使えば約2時間。主要な駅は、リヨン・パールデュー駅(Lyon Part-Dieu)、リヨン・ペラーシュ駅(Lyon Perrache)、リヨン・サン=テグジュペリ駅(Lyon Saint-Exupéry)です。
世界遺産としての価値
リヨン歴史地区は、1998年に「Historic Site of Lyon」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
登録理由とは?
世界遺産として評価されたのは、主に次のような点です。
- 都市計画の継続性:ローマ時代から現代に至るまでの都市構造がよく保存されていること
- 建築の多様性:ローマ劇場、中世の教会、ルネサンスの邸宅、19世紀の工場などが共存していること
- 絹織物産業の歴史的役割
覚えておきたい英会話フレーズ
リヨン歴史地区の魅力を英語で伝えられたら、旅ももっと楽しくなります。ここでは、観光中の会話で使える実用的な英語フレーズを紹介します。
訳)わあ、この古い通り、とてもきれい。まるで時間をさかのぼったみたい。
訳)うん、リヨンの旧市街って歴史がたっぷり詰まってるね。
訳)あの丘の上にあるのは、ローマ劇場?
訳)そうだよ、紀元前1世紀のもの!いまでもコンサートで使われてるんだ。
訳)見て、サン=テグジュペリと星の王子さまの像だよ!
訳)彼はリヨン生まれ。ファンにとっては特別な場所だね。
訳)なんで昔、リヨンってこんなに栄えたの?
訳)主に絹産業のおかげだよ。
リヨン歴史地区の見どころ

リヨン歴史地区には、古代ローマの劇場や中世の大聖堂、19世紀の工業建築まで、時代ごとの文化が色濃く残るスポットが点在しています。美しい街並みを歩くだけでも、まるで歴史の旅をしているような気分が味わえます。
ベルクール広場
フランス最大級の広場のひとつで、広さは6ha以上にも及びます。広場の南西には『星の王子さま』と作者サン=テグジュペリの像もあり、彼がこの地で生まれたことを記念しています。観光の出発点としても人気の場所です。
フルヴィエールの丘
リヨンを一望できるこの丘には、紀元前1世紀に建てられたローマ劇場の遺跡が残っており、当時1万人もの人々を収容できたといわれています。丘の上には、19世紀に建てられた壮麗なフルヴィエール大聖堂がそびえ立ち、ビザンチン様式とロマネスク様式が融合した独特の美しさを放っています。夜になると大聖堂がライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれます。
訳)フルヴィエールの丘からはリヨン全体が見渡せます。
リヨン旧市街
ソーヌ川の西側に広がる旧市街は、中世からルネサンス期にかけての建物が数多く残るエリアです。石畳の路地を歩くと、サン・ジャン大聖堂など荘厳な建築物が姿を現します。1600年、フランス王アンリ4世がマリー・ド・メディシスと結婚式を挙げた場所だとされています。
クロワ・ルース
かつて絹織物産業の中心地として栄えた丘陵地帯です。織物工房が多く並んでいた名残として、今もアトリエ風の建物が点在しています。特徴的なのが「トラブール」と呼ばれる秘密の通路で、これは織物を雨や盗難から守るための構造でした。
テロー広場
リヨン市庁舎と美術館に囲まれた歴史ある広場で、現在では市民の憩いの場として親しまれています。17世紀にかけて整備されるまでは、ここには古代ローマ時代の運河が流れていました。テローとはフランス語で「地球」を意味しています。
広場には有名な彫刻家バルトルディが手がけた噴水があり、迫力ある馬の彫刻は観光客の注目を集めています。カフェやアートイベントも多く、文化的な雰囲気にあふれています。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
リヨン歴史地区は、2000年にわたるヨーロッパの歴史と文化が折り重なる、「生きた博物館」といえる特別な場所です。古代ローマの遺跡から中世の教会、ルネサンス期の街並みや産業遺産まで、時代の流れを肌で感じられる空間が広がっています。
こうした場所を英語で紹介したり、海外の人と感動を共有したりできると、旅の楽しさはさらに深まります。英語を学ぶことは、世界のさまざまな価値や文化を理解し、他者とつながるための力になります。
次に旅に出るときは、ぜひ「英語で」世界遺産をめぐってみてください。
