ドイツといえば、ベルリンやミュンヘン、ロマンティック街道などが有名ですが、「ブレーメン」という町の名前を聞いたことがあるでしょうか?グリム童話『ブレーメンの音楽隊』で知っているという人もいるかもしれません。

ブレーメンには、中世の面影を色濃く残す美しい広場と歴史的建築物が残されており、その中心となる「マルクト広場の市庁舎とローラント像」は、2004年ユネスコ世界遺産に登録されました。今回は、この世界遺産の魅力と、英語での表現にも触れながら、楽しく学んでいきましょう。

ブレーメンのマルクト広場の市庁舎とローラント像とは?

ドイツの世界遺産「ブレーメンのマルクト広場の市庁舎とローラント像」とは?メルヘン街道の終点を英語で巡る

中世の繁栄を伝える市庁舎と自由の象徴ローラント像は、ブレーメンの歴史と誇りを体現する世界遺産です。

ブレーメンってどんな町?

グリム童話『ブレーメンの音楽隊』の舞台として親しまれているブレーメンは、ドイツ北部の都市で、ブレーメン州の州都です。ヴェーザー川沿いに位置し、港町としても発展してきました。

中世には、北ドイツを中心とした都市同盟「ハンザ同盟」の重要な一員として繁栄。12世紀には神聖ローマ帝国の「自由都市」として自治を認められ、独自の権力と誇りを持つ都市として知られていました。

マルクト広場はその象徴的な空間で、観光客にも人気のエリア。広場には、ゴシック様式とルネサンス様式が融合した美しい市庁舎ブレーメン市民の自由と自治を象徴するローラント像、さらに『ブレーメンの音楽隊』の彫像もあります。ここは、「ドイツ・メルヘン街道」の終点にもあたります。

ブレーメン市庁舎(ラートハウス)

ブレーメン市庁舎は、15世紀初頭に建てられた建物で、ゴシック様式の傑作として知られています。17世紀になると、ファサード(正面部分)にルネサンス様式の装飾が加えられ、現在の姿となりました。

この市庁舎は2階建てで、上階と下階にはかつて市議会の会議室がありました。地下には、ドイツで最古のワインセラー「ラーツケラー」があり、現在も多くのワインが貯蔵されています。観光客にも人気のレストランとして利用されています。

また、2階の窓部分には、神聖ローマ帝国の皇帝・カール大帝や、選帝侯たちの彫像が並び、歴史の重みを感じさせます。

第二次世界大戦の爆撃によって街の大部分が破壊されたにもかかわらず、市庁舎は奇跡的に被害を免れました。今では、ブリック・ゴシック建築(煉瓦造りのゴシック様式)の最も優れた例の一つとして、ヨーロッパ建築史でも重要な位置を占めています。

ローラント像

市庁舎の前、マルクト広場の中央にそびえるのが、高さ5.47メートルの「ローラント像」です。台座や天蓋(てんがい)を含めると、高さは10.21mにもなります。

ローラントとは、カール大帝の騎士であり、中世の叙事詩『ローランの歌』で知られる英雄です。彼の姿を模した像は、力強く剣を構え、市民の自由を守る象徴としてブレーメンに立ち続けています。

この像が建てられたのは1404年。当時から、ローラント像が立つ町は「自由都市」である証とされており、他のドイツの都市でも見られますが、ブレーメンの像は現存する中で最も古く、最大のものです。

Wikipedia

アクセス方法

ブレーメンへは、ドイツの主要都市から鉄道でアクセス可能です。例えば、ハンブルクからICE(高速列車)で約1時間、ベルリンからICEで約3時間半、フランクフルトから:ICEで約4時間。

ブレーメン中央駅からマルクト広場までは徒歩約15分。トラムやバスも利用できますが、旧市街の美しい景観を楽しみながら歩いて訪れるのがおすすめです。

世界遺産としての価値

構成遺産の見どころ

「Town Hall and Roland on the Marketplace of Bremen(ブレーメンの市庁舎とマルクト広場のローラント像)」は、2004年にユネスコ世界遺産に登録されました。

登録理由は以下の通りです。

  • 中世の都市構造と政治的自治の象徴として、ヨーロッパの歴史を物語る貴重な遺産であること。
  • ブリック・ゴシック建築とルネサンス様式の融合した市庁舎が、都市建築の傑作であること。
  • ローラント像が自由都市としての伝統と法の支配の象徴であること。

UNESCO World Heritage Convention:Town Hall and Roland on the Marketplace of Bremen

覚えておきたい英会話フレーズ

旅先で歴史的な建物や像を前にすると、その感動を誰かと共有したくなりますよね。ここでは、ブレーメンの市庁舎やローラント像を訪れたときに使える、英語の会話フレーズを紹介します。旅行しながら英語を楽しく覚えていきましょう!

Aさん
Look at this building! The facade is so beautiful.
訳)この建物見て!ファサードが本当に美しいね。
Bさん
Yeah, it’s amazing. Did you know this town hall survived World War II?
訳)本当だ、すごいね。この市庁舎、第二次世界大戦を生き延びたんだって。
Aさん
Really? That’s impressive. And what’s that statue?
訳)本当に?すごいね。あの像は何?
Bさん
That’s the Roland statue. It’s a symbol of freedom and justice.
訳)あれはローラント像。自由と正義の象徴なんだ。
Aさん
Is that the statue from the Bremen Town Musicians?
訳)あれって『ブレーメンの音楽隊』の像?
Bさん
Yes, people say touching the donkey’s legs brings good luck!
訳)そうだよ。ロバの足に触ると幸運が訪れるって言われてるよ!
Aさん
I didn’t expect Bremen to be this beautiful.
訳)ブレーメンがこんなに美しいなんて思わなかった。
Bさん
It’s a hidden gem in northern Germany.
訳)ドイツ北部の隠れた名所だよ。

構成遺産の見どころ

市庁舎、ローラント像、『ブレーメンの音楽隊』の像など、見どころ満載のマルクト広場を巡ってみましょう。

マルクト広場の市庁舎

外観の美しさはもちろん、内部の会議室や中世の面影を残す豪華な装飾、そして歴史あるワインセラーの見学も可能です。ガイドツアーも充実しており、歴史や建築に興味がある人にとっては何時間でも過ごしたくなるような、見どころの多いスポットです。

ローラント像

自由と正義の象徴として、600年以上の時を超えてブレーメンの街を見守り続けるローラント像は、市民にとって誇りそのものの存在です。堂々とした姿で剣を構え、自治都市としての精神を今に伝えています。像の前では、訪れた人々が立ち止まってその姿を見上げたり、記念写真を撮ったりする様子が絶えず、街のシンボルとして深く親しまれています。

ブレーメンの音楽隊の像

市庁舎の西側の壁にあるのが、『ブレーメンの音楽隊』の像です。ロバの上に犬、その上に猫、そして一番上にニワトリが重なって立っているユーモラスな姿が特徴的です。ロバの前足に両手で触れると願いが叶うという言い伝えもあります。

おわりに:英語で世界遺産を旅しよう

ブレーメンのマルクト広場に立つ市庁舎とローラント像は、歴史と美が共存する世界遺産です。英語を学びながら、こうした世界遺産を実際に訪れることは、言葉だけでなく文化や価値観を体験する素晴らしい方法です。

英語で現地の案内を理解したり、感動をシェアしたりすることで、旅の楽しみもぐっと広がります。次の旅先で、英語を使って世界を感じてみませんか?