アフリカのタンザニア北部に位置する「ンゴロンゴロ保全地域(Ngorongoro Conservation Area)」は、世界でも有数の野生動物の宝庫です。ここには、絶滅の危機にある動物を含む約2万5000頭もの大型哺乳類が生息しており、その圧倒的な生態系から「世界の動物園」とも称されます。
さらに、この地には360万年前のアウストラロピテクスの足跡が発見されるなど、人類の歴史にも深く関わる場所として、2010年に自然遺産と文化遺産の両方を満たす「複合遺産」として世界遺産に登録されました。
今回は、そんな魅力あふれるンゴロンゴロ保全地域を、英語とともに旅してみましょう。
ンゴロンゴロ保全地域とは?

ンゴロンゴロ保全地域は主にアルーシャ州に属しており、州都アルーシャからは西へ約180km。なお、北西のセレンゲティ国立公園に隣接し、西のマスワ禁猟区と隣接しています。
タンザニアってどんな国?
タンザニアはアフリカ大陸の東部にある国で、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、ザンビア、マラウイ、モザンビークなど8カ国と国境を接しています。首都はドドマですが、経済と文化の中心はインド洋に面した都市ダルエスサラームです。
タンザニアには、アフリカ最高峰のキリマンジャロ山、世界的に有名なセレンゲティ国立公園、そしてこのンゴロンゴロ保全地域など、壮大な自然が広がっています。
訳) タンザニアは素晴らしい野生動物と息をのむような自然景観で有名です。
火山がつくった大地
「ンゴロンゴロ(Ngorongoro)」とは、マサイ語で「大きな穴」という意味。その名の通り、保全地域内にはかつて活動していた火山がいくつも存在します。最大の見どころである「ンゴロンゴロ・クレーター」は、およそ300万年前の火山噴火によって形成された世界最大級のカルデラで、直径約20km、深さ約600mの巨大なすり鉢状の地形です。
また、オルモティ、エンパカーイなどの火口もあり、これらは現在は活動を停止しています。
UNESCO World Heritage Convention:Ngorongoro Conservation Area
人間と動物が共に生きる場所
この地域の特徴は、自然と人間の共存がなされている点です。クレーターには柵がなく、動物たちは自由に暮らしていますが、実際には多くの動物がこの中で一生を終えます。クロサイやシロサイ、チーター、ゾウなどの希少種も確認されています。
また、先住民のマサイ族が今もこの地で暮らし、伝統的な生活を守りながら、観光客との交流にも積極的です。保全地域内には、ロッジやキャンプ場も点在し、サファリツアーや文化体験が楽しめます。
アクセス方法
ンゴロンゴロ保全地域への玄関口は、キリマンジャロ国際空港です。空港からアルーシャという町まで車で約1時間。アルーシャはツアーの出発点となる都市で、そこからさらに西へ車で3〜4時間ほど走ると、ンゴロンゴロ保全地域の入口に到着します。
ンゴロンゴロ保全地域の歴史
この地をヨーロッパ人として初めて記録に残したのは、19世紀末に探検したオーストリアの探検家オスカー・バウマン。もともとこの地にはマサイ族が住んでおり、彼らは牧畜を中心に生活していました。
1951年、イギリス植民地下でセレンゲティ国立公園が設立された際、マサイ族は強制的に土地を追われます。しかし彼らの強い抗議運動により、1959年にマサイ族の居住と伝統的活動が許される形で「ンゴロンゴロ保全地域」が誕生しました。
これは、世界でも珍しい「人間と自然の共生」を目指した保全の形であり、現在もその理念が守られています。
世界遺産としての価値
1979年に自然遺産として世界遺産に登録されたのち、1984年に危機遺産とされました。しかし、2010年には人類の化石などの文化的価値も評価され、「複合遺産」に拡張登録されました。
登録理由とは?
評価された主なポイントは以下の通りです。
- 大型哺乳類が集中する豊かな生態系(自然的価値)
- 人類の進化を示す遺跡が存在すること(文化的価値)
- マサイ族との共生モデル(社会的・文化的価値)
UNESCO World Heritage Convention:Ngorongoro Conservation Area
覚えておきたい英会話フレーズ
ンゴロンゴロ保全地域を旅しながら使える英会話フレーズを、実際の会話形式でご紹介します。感動や発見を英語で伝えてみましょう。
訳)わあ、木の下でライオンが休んでる!
訳)すごい、こんなに近くで見るのは初めてだよ!
訳)ここ、動物たちの楽園みたいね。
訳)まさに“エデンの園”って感じだね。
訳)何百万年前に火山でできたって読んだよ。
訳)自然って、本当にすごいよね。
訳)今も人がここに住んでるって知ってた?
訳)うん、マサイ族が自然と共に暮らしてるんだ。
訳)アフリカのこと、もっと知りたくなっちゃった。
訳)僕も。すごく多様で魅力的な大陸だよね。
ンゴロンゴロ保全地域の見どころ

野生動物と人類の歴史が共存するンゴロンゴロ保全地域。ここでは壮大な自然と貴重な遺跡を体感できます。
ンゴロンゴロ・クレーター
直径20km以上に及ぶ広大なクレーターの内部には、サバンナ、森林、湖などの多様な環境が存在し、ゾウ、ライオン、カバ、ヌー、バッファローなど約2万5000頭の大型哺乳類が生息しています。乾季・雨季を問わず、多くの動物が見られるため、年間を通してサファリ観光が盛んです。
特に注目は、絶滅危惧種であるクロサイやチーター。ライオンが獲物を狙う姿や、ヌーの群れが草原を走る姿を間近で見られることもあります。
オルドバイ渓谷
保全地域内のもう一つのハイライトが「オルドバイ渓谷(Olduvai Gorge)」。人類の祖先・アウストラロピテクスの足跡や化石、石器が発見された場所です。
考古学博物館も併設されており、出土した遺物を実際に見ることができます。動物だけでなく、人類のルーツに触れることができる貴重な場所です。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
ンゴロンゴロ保全地域は、アフリカの自然、野生動物、人類の歴史、そして伝統的な文化が共存する場所です。英語で情報を得たり、現地のガイドと話すことで、学びの幅も広がります。
英語で世界を旅すれば、語学力も人生を豊かになることでしょう。
