ロシア西部に広がるサンクト・ペテルブルクは、歴代ロシア皇帝が築いた壮麗な都。バロック様式や新古典主義の建物が建ち並び、エルミタージュ美術館として有名な冬宮殿や、きらびやかな教会、運河と橋が織りなす景観が広がっています。その美しさから「北のヴェネツィア」とも称され、ユネスコの世界遺産としても高く評価されています。
サンクト・ペテルブルク歴史地区と関連建造物群とは?

この世界遺産は、サンクト・ペテルブルク市の中心部および周辺の36のエリアから構成されており、建築、都市計画、文化の融合という観点から世界的に貴重とされています。
ロシアの伝統とヨーロッパ様式が交差する都市は、18世紀から19世紀にかけて、バロック様式や新古典主義様式で整えられました。その美しさと歴史的価値から、1990年にユネスコ世界遺産に登録されています。
歴史的背景:ピョートル大帝の夢とその継承
サンクト・ペテルブルクという名前は、キリスト教の聖人「聖ペテロ(Saint Peter)」にちなんでおり、創設者ピョートル1世(大帝)の名前とも重なります。
17世紀末、ロシアの西欧化を目指したピョートル大帝は、自らヨーロッパを視察。その経験から「西への窓」としての新しい首都を築こうと決意し、1703年、ネヴァ川河口に要塞(ペトロパヴロフスク要塞)を建設。そこから都市建設が始まりました。
この地域はもともと湿地帯で、多くの捕虜や労働者が運河や道路の建設に従事。都市設計はフランス人建築家アレクサンドル・ルブロンが担当し、周囲の自然と調和した壮麗な都市が形づくられていきました。1713年には首都となり、以後ロシア帝国の中心地として発展します。
18世紀後半、エカチェリーナ2世の治世になると、新古典主義の建築が増え、現在のエルミタージュ美術館(旧冬宮殿)をはじめ、多くの文化財が整備されていきます。
20世紀にはロシア革命(1917)によりモスクワへ首都が移転し、「レニングラード」と改名。その後、1991年のソ連崩壊と共に、再び「サンクト・ペテルブルク」の名が復活しました。
アクセス方法
日本からのアクセスは、モスクワまたはヘルシンキを経由するのが一般的です。プルコヴォ空港から市内へはバスで地下鉄「モスコフスカヤ駅」へ向かい、そこから市内中心部へ移動できます。
世界遺産としての価値

1990年、サンクト・ペテルブルク歴史地区とその関連建造物群(Historic Centre of Saint Petersburg and Related Groups of Monuments)はユネスコ世界遺産に登録されました。
登録理由とは?
主に、次のような点から評価されています。
- 都市計画と建築において、18~19世紀のヨーロッパ文化とロシア文化の融合を示している
- ピョートル大帝による国家的ビジョンの実現例である
- 世界的な芸術・建築の傑作が多く集まる地域である
UNESCO World Heritage Convention:Historic Centre of Saint Petersburg and Related Groups of Monuments
覚えておきたい英会話フレーズ
旅行や学びに役立つ、サンクト・ペテルブルクにまつわる会話を紹介します。
訳)サンクト・ペテルブルクって、アムステルダムやヴェネツィアに影響を受けたって知ってた?
訳)わあ、それであんなに運河と橋が多いんだね!
訳)エルミタージュ美術館って、もともと宮殿だったんでしょ?
訳)そうそう、ロシア皇帝の冬の宮殿だったんだよ。
訳)血の上の救世主教会って、おとぎ話のお城みたいだよね!
訳)本当だね。あのカラフルなドームは本当にユニークだよ。
訳)聖イサアク大聖堂の壮大さには圧倒されるよね。
訳)うん、あの黄金のドームは町のどこからでも見えるんだ。
訳)今度は夏に来て、エカテリーナ宮殿に行こうよ!
訳)いいね!あの琥珀の間を見てみたいな。。
主な見どころ

サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群には、36のエリア(構成資産)が含まれ、歴史ある建物や美しい教会など、見逃せないスポットがたくさんあります。ここではその中でも特に有名な場所を紹介します。
ペトロパヴロフスク要塞
1703年にピョートル大帝が建設した星型要塞。町の起点となった場所で、内部には皇帝たちが眠る首座使徒ペトル・パウェル大聖堂があります。
血の上の救世主教会(ハリストス復活大聖堂)
ロマンチックなロシア・ナショナリズム、中世のロシア建築の影響を色濃く受けています。
アレクサンドル2世の暗殺を悼んで建てられた教会で、壁面が『聖書』の中の悲劇的な要素を主題としたモザイク画で装飾されています。タマネギ型のドームと内部のモザイク装飾が見どころ。
冬宮殿(エルミタージュ美術館)
パリのルーヴル美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館と並ぶ世界三大美術館のひとつ。18世紀に建てられ、エカテリーナ2世の美術品コレクションが始まり。緑色の外観が印象的です。
主な所蔵作品には、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ティツィアーノ、ルーベンス、カラヴァッジオ、エル・グレコ、ベラスケス、ゴヤ、ヴァン・ダイク、レンブラントなどがあります。
夏宮殿(エカテリーナ宮殿)
郊外にある豪華な離宮。「琥珀の間」はとくに有名で、戦争中に消失後、近年復元されました。
メンシコフ宮殿
ピョートル・バロック様式の代表。1710年建設で、現在はエルミタージュ美術館の分館。
聖イサアク大聖堂
新古典主義様式で建てられた巨大聖堂。黄金に輝くドームが特徴的で、内部の装飾も豪華で、ドームに登れば市内を一望できます。
旧海軍省
ネフスキー大通りのランドマーク。金色の尖塔が目印で、都市の中心的な構造物のひとつ。
大理石宮殿
新古典主義の初期作品で、ロシア帝国の権威を象徴するような建築美が特徴です。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
サンクト・ペテルブルクは、美しい建物や歴史がたくさん残る、ロシアの特別な町です。運河のある町を歩きながら、昔の皇帝たちの夢や、芸術を大切にした人々の想いを感じることができます。
その魅力を英語で表現できれば、海外の人々とも感動を分かち合えるはずです。英語を学ぶことは、世界遺産をもっと深く知る鍵。次の旅では、ぜひ英語でその感動を語ってみてください。
