「とりあえず」は、日本語でもかなり使用頻度が高いのではないでしょうか。若者言葉でも、「とりま」というものがあり、「とりあえずまあ」という意味で使われます。ただ、日本語のこの「とりあえず」という表現は便利なようであって、外国人からすると複数の意味を一様に表すものだからわかりにくいとのこと。私たちは当たり前のように使っていますが、実は英語にする時には「とりあえず」が持つそれぞれの意味に分けて単語を覚えなければならないのです。どんな表現がよく使われるのかを見ていきましょう。
そもそも「とりあえず」の意味とは
「とりあえず」には、実は3つの意味があります。1つ目は、「直ちに」という急ぐ表現。2つ目は「今のところ」という当分の期間を表す表現。そして3つ目は、「第一に」と順番をいう表現。これらは「とりあえず」という言葉ひとつにまとめられてるため、日本語を母語としない人にとってはかなり使い方が難しいのです。英語では、この3つそれぞれの表現が別であるので、具体的にどういうのかを知るのが今回も目的となります。
ちなみに「とりあえず」は日本語でも色々に言い換えることが可能で、「一旦」だったり、「さしあたって」、「一応」ということもありますね。
「とりあえず」の英訳を辞書で見てみよう!
研究社 新和英中辞典で「とりあえず」の英訳を見てみたところ、以下のような記載がありました。
とりあえず 取り敢えず
1〈さしあたり, 当分〉 for the time being; for the present
- 左記の事実, 取りあえずお知らせ申し上げます.
We hasten to inform you of the following facts.2〈直ちに, 急いで〉 at once; in a hurry; without delay
取りあえず…する
lose no time (in) doing
【形式ばった表現】 hasten to do
- その知らせを受けるや, 彼は取るものも取りあえず現場に急行した.
The moment he heard the news, he hurried to the spot.3〈第一に〉 first of all
- 朝起きたら取りあえずこの薬をお飲みなさい.
Take this medicine (the) first thing in the morning.
辞書を見ても、冒頭でお伝えしたように「とりあえず」が持つ3つの意味別に英語表現が書いてあることがわかりますね。例文もあって覚えやすいので、ここで少し暗記時間を取ってから先を見るのもアリですよ?
ちなみに、「とりあえず」を「一旦」と言い換えて辞書でまた調べてみると、別の表現が出てきました。Onceという表現がベースになってはいますが、例文によって最も適切な単語は変わっています。「一旦」のところを「とりあえず」に置き換えても意味が通じる流れになっているので、以下の例文を見て言葉の入れ替えをしてみてください。
- 一旦~すれば
once- 一旦~に戻って
once back in- ~の問題を一旦脇に置く
step back from the issue of- (人)と話をする前に一旦その場を離れて冷静になる
go away and cool off before talking to- 〔that以下〕という事実は一旦脇に置いて
independent of the fact that- これまでの常識を一旦忘れる
leave one’s preconceptions behind [at the door](全く新しいことを試す場合などに)- キャッシュを一旦消す
clear a cache《コ》
表現がたくさんあるほど覚えることはもちろん多くなりますが、それだけ言えることが多くなるということでもあります。ネットで調べれば覚えるべき例文もたくさん探せるので、気になる単語があったらその言い換え表現もセットで覚えてみることをおすすめします。
では、次からはより細かく「とりあえず」の英語教育について解説していきますよ!
for the moment
こちらは訳せば「とりあえず」になりますが、英語で使うとしたら結構フォーマルな場になります。
言われたら自分はまだ相手と打ち解けられていないと思うような表現ですし、自分が使うとしたらビジネスの場になるでしょう。
tentatively
かなり長く、やたらアルファベットのtが多く出て来る単語ですが、こちらも「とりあえず」と訳します。本来の意味は「暫定的に」や「試験的に」というのですが、意訳すれば「とりあえず」になりますよね。
「とりあえず」という訳ではちょっと変になるかなと思うなら、「今のところ」などで置き換えをしてみましょう。
for now
「とりあえず」を表す英語の中で、最も覚えておいてもらいたいのはこちらです!なぜなら、日常会話で使える表現だから。
意味としては、「とりあえずビールで」というような時に使うもので、ちょっと先の未来を言うために使います。
start off with
こちらもFor nowと同じく、「とりあえずビールで」という意味で使う熟語です。Startという単語が入っているのが変かもしれませんが、「とりあえずビールから始める」と言い換えればニュアンスは掴めるのではないでしょうか。
このStartは動詞なので、For nowと同じ意味でも使い方が異なる点は注意してください。
first of all
For nowと同様に使われる機会が多いのがこちら。ただ、単語が示す通り「第一に」という意味が強いのが特徴です。
文頭でも文末でも、コンマを挟めば文中でも使える便利な表現です。
for the time being
For nowは日常会話でよく使うと解説しましたが、こちらの表現はそれよりフォーマルで、「当面の間」という意味で使います。
やはり単語や熟語が長いとフォーマルな表現になりがちなのがわかりますね。
Anyway
話がまとまらない時などに使いたいのがこちら。「とりあえずお昼にしよっか」などのニュアンスで使います。
基本的には文頭や文末につけますが、「とりあえず」という意味を強調したいなら、相手が真っ先に耳にする文頭に置いた方が良いでしょう。
まとめ
「とりあえず」は、外国人泣かせである単語であることがわかりましたね。なぜなら、これには3つの意味が入っているから。だから英語に訳そうとなると、それぞれの意味に分けて訳さなければなりません。一番日常会話で使うカジュアルな表現はFor nowなので、それこそ「とりあえず」これだけでも覚えてもらえたらいいなと思います。