日本語の「貰う(もらう)」は非常に便利な表現。何かを貰うときにはもちろん、「~してもらう」という意味でも使うことが可能です。
しかし、そんな「貰う」を英語で表現する場合はどうでしょうか。果たして、日本語の「貰う」に完全一致する英語表現は存在するのでしょうか。
ということで、今回のテーマは「貰う(もらう)」です。
日本語の「貰う」が表す意味を確認し、それぞれに当てはまる英語表現を詳しく確認していきます。
これを読めば、英語でも日本語の「貰う」のニュアンスを表現できるようになりますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
そもそも「貰う(もらう)」ってどういう意味?
そもそも日本語の「貰う(もらう)」という動詞には、①「物を貰う」と②「行為を貰う」という2通りの意味があります。
「物を貰う」という意味の場合、たとえば「お金を貰う」「手紙を貰う」「プレゼントを貰う」といったように「~を」を伴うかたちで使われます。
それに対し、「行為を貰う」という意味の場合は、たとえば「直してもらう」「切ってもらう」「教えてもらう」といったように「~して」を伴って使われます。この意味のときは「貰う」という漢字表記でなく「もらう」という平仮名表記の方が一般的です。
また、例に挙げた「教えてもらう」に関しては、英語に翻訳すると teach や tell など、多くの表現が該当します。そのため、ここでは「教えてもらう」ことを「情報を貰う」とし、「貰う」の3番目の意味として取り上げたいと思います。
以上の点をまとめると、次のようになります。
意味 | 例文 | |
貰う(もらう) | ① 物を貰う
「~を貰う」 |
「お金を貰う」
「手紙を貰う」 「プレゼントを貰う」 |
② 行為を貰う
「~してもらう」 |
「直してもらう」
「切ってもらう」 |
|
③ 情報を貰う
「教えてもらう」 |
「教えてもらう」 |
日本語の「貰う」に完全に一致する英語表現はない
このように、日本語の「貰う」には主に3つの意味がありますが、これらを完全に満たす英語表現は存在しません。そのため、①~③の意味ごとに適切な英語表現を選ぶ必要があります。
それでは、次の見出しから1つずつ詳しく確認していきましょう。
「~を貰う(もらう)」は英語で何て言う?【物を貰う】
何か物を貰う場合、英語では “get” か ”receive” を使います。
これらはほとんど同じ意味で使うことができますが、厳密に言うと少しニュアンスが異なります。それぞれ詳しく確認しておきましょう。
「~を貰う」①:get
“get” は「手に入れる、得る」という訳語が有名ですが、他人から物を貰う際にもよく使われる動詞です。
receive に比べると口語的なニュアンスになりますが、あらゆるシチュエーションで使うことができます。
I got a present.
訳)私はプレゼントを貰いました。
また、「貰う」というと肯定的なイメージですが、以下のように嬉しくないものを貰う場面でも使われます。
I got a parking ticket this morning.
訳)今朝、駐車禁止の切符を切られました。
「~を貰う」②:receive
“receive” は与えられた物を自動的に受け取るイメージです。
テニスやバレーボールで返球することを「レシーブ」と言いますよね。成功するかどうかは置いといて、レシーブは相手からの送球後に自動的に行われます。
それと同様に、receive は与えられた物を自動的かつ無感動に貰うことを表します。そのため、get に比べて少し事務的なニュアンスの漂う表現です。
I received a letter from him yesterday.
訳)昨日、彼から手紙を受け取りました。
「~してもらう」は英語で何て言う?【行為を貰う】
「~してもらう」を英語で表す際は、”get +人+ to do”、または “have +人+do” を使って表します。
表面上は同じ意味ですが、それぞれにニュアンスが異なっていますので、詳しく確認していきましょう。
「してもらう」①:get +人+ to do
“get +人+ to do” のかたちで、ある程度努力をして「~してもらう」ことを表します。
たとえば、友達に髪を切ってもらいたいとします。その際、当然こちらから頼まなければ、友達は髪を切るなんて面倒なことを引き受けてくれないですよね。このように、してもらう際に説得やお願いなどの努力が必要な場合は “get +人+ to do” を使います。
この後紹介する他の表現と異なり、get の場合は to do と「to不定詞」のかたちになる点には注意してください。
I got John to cut my hair.
訳)ジョンに髪を切ってもらいました。
また、相手を明言する必要が無い場合は、”get +目的語+過去分詞” の語順でも使うことが可能です。以下の例文の場合、わざわざ言わなくても家の人(お母さんなど)にしてもらうことが明白ですよね。
I’ll get this T-shirt washed.
訳)このTシャツを洗濯してもらおう。
「してもらう」②:have +人+ do
“have +人+ to do” のかたちで、当然のこととして「~してもらう」ことを表します。
たとえば、床屋さんに髪を切ってもらうとします。その場合、代金さえ支払えば、特に努力する必要なく切ってもらえますよね。このように、対価などを払うことで当然の権利(サービス)としてしてもらえる場合は “have +人+ to do” を使います。
I had the barber my hair cut.
訳)いつもの床屋さんで髪を切ってもらいました。
また、get の場合と同様、相手を特に明示する必要が無い場合は ”have +目的語+過去分詞” の語順でも使えます。床屋さんで散髪する場合、わざわざ「床屋さん」と言わない方が普通ですよね。
I had my hair cut.
訳)髪を切ってもらいました(散髪に行きました)。
なお、have を使うからといって、必ずしも対価を払うわけではありません。相手が特に嫌がらないようであれば、以下のような意味を表すことも可能です。
I had my son clean his room.
訳)息子に自分の部屋を掃除してもらいました。
make、let は「してもらう」の意味では×
以上見てきた get と have の用法は「使役動詞」と呼ばれ、”make”、”let” と合わせて取り上げられることが多いです。
しかし、make の場合は「無理やり~させる」、let の場合は「自由に~させてやる」という意味を表すので、「~してもらう」という意味では基本的に使われません。
My father made my brother do his homework.
訳)父は弟に(無理やり)宿題をやらせました。
I usually let my cat go outside.
訳)私はだいたい、猫を(自由に)外に出してあげてます。
「教えてください」は英語で何て言う?【情報を貰う】
最後に、「情報を貰う」ために必要な「教えてください」を表す英語表現について取り上げます。
「教えてください」を表す英語表現は “tell me”、”teach me”、”show me”、”inform me”、”let me know” の5種類です。
ひとくちに教えるといっても、これらが表す内容は全く異なります。1つずつ詳しく確認していきましょう。
「教えてください」①:tell me
口頭でわかる情報を教えてもらう場合は “tell me” が適切です。
tell の本来の意味は「伝える」。そのため、道順や連絡先など、相手の知っている情報をただ聞く際は tell me を使います。
ただし、tell me はカジュアルに響く表現なので、ビジネスなどの場面では “Could(Would)you ~?” を添えるなどして、相手に失礼のない聞き方になるよう気をつけましょう。
Could you tell me the way to the station?
訳)駅までの道順を教えていただけませんか?
「教えてください」②:teach me
“teach me” は、専門的な知識を教えてもらう際に使われる表現です。
日本人にとって「教える」といったら teach が最も一般的ですが、これは先生と生徒など、詳しい人(プロ)が詳しくない人(素人)に教え諭すことを表します。そのため、単なる情報をやり取りする場面で使うと違和感が生まれるので注意しましょう。
Please teach me how to use this machine.
訳)この機械の使い方を教えてください。
「教えてください」③:show me
“show me” は、身振り手振りや図表など、目に見えるかたちで実演して教えてもらう際に使われます。「実際にやってみせて」というニュアンスです。
物事の一連のプロセスを聞く表現なので、単純な情報を聞く際には使わない方がよいでしょう。
Show me how to dance!
訳)踊り方を教えて!
「教えてください」④:inform me
“inform me” は、間違いのない正確な情報を尋ねる際に使われる表現です。
情報を教えてもらうという点では tell me と同一ですが、inform me は非常にフォーマルな印象になります。そのため、ビジネスシーンには打ってつけですが、気の置けない日常会話では不自然な表現となります。
また、”inform me of 名詞” と、聞きたい情報の前に of を添える点にも注意が必要です。
Please inform me of your phone number.
訳)御社の電話番号を教えてください。
「教えてください」⑤:let me know
「何かあったら教えて」などと、漠然とした情報を聞きたい場合に使うのが “let me know” という表現です。
先述の通り、let は「(相手の)自由に~させる」という動詞。そのため、let me know に強制の意図は無く、「気が向いたら教えて」といった軽いニュアンスになります。
日常会話には頻出の表現ですが、ビジネスにおいても、同僚同士や、ある程度仲の良い取引先との会話などでしばしば用いられます。
Please let me know if you need any help.
訳)何か困ったことがあれば教えてください。
まとめ
今回は「貰う(もらう)」をテーマにお話ししてきました。
日本語の「貰う」という言葉には、大きく分けて「物を貰う」「行為を貰う」「情報を貰う」という3種類の意味があり、英語で表す場合はそれぞれで違う表現を使う必要があります。
今回ご紹介したことを参考に、英語でも日本語の「貰う」のニュアンスを活かしていきましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!