社員研修や新人教育において「OJT」と言う言葉を聞いたことはありませんか?
「OJTの取り組み」「OJTのマニュアル」など、職場で幾度となく耳にする頻出ワードですよね。
聞き慣れた言葉ではあるものの、そもそも「OJT」の意味を知らない、「OJT」の目的や方法なんてもっとわからない、という方も多いのではないでしょうか。

「OJT」とは、英語の”on-the-job training”を略したビジネス用語です。
おもに、新しく入った人材を育成する手法として、多くの企業で取り入れられています。

今回は、今さら聞けないビジネス用語「OJT」について、英語”on-the-job training”の意味と正しい使い方、類義表現を紹介していきます。

「OJT」の意味

「OJT」の意味

「OJT」は、英語の”on-the-job training”を略した言葉です。
”on-the-job training”とは、上司や先輩社員が、後輩または新入社員に対して、業務に必要な知識やスキルを実践しながら教えていく人材育成の手法を指します。
日常の業務と並行して、仕事をしながら知識と技術を身につけさせ、現場で活躍できるようにする教育訓練を意味します。

「OJT」では、教育を担当する上司または先輩社員が、部下や後輩にマンツーマンで指導するのが一般的です。
「OJT」の目的としては、社員の早期育成と業務効率の向上が挙げられます。
新しく入ってきた人材に対して、実務で役立つ具体的な知識や技術を習得させることがねらいです。
実務を通じて必要な知識やスキルを身につけさせることで、現場で効果を発揮する即戦力を養います。
また、密にコミュニケーションをとりながらのマンツーマン指導により、人間関係や組織の風通しにも良い影響を与えることが期待されます。

さらに、指導を担当する社員がスキルアップできるのも、「OJT」のもう一つのメリットといえるでしょう。
日常業務と並行しながら教育することで、自身の能力が高められるだけでなく、後輩のマネジメント力も同時に鍛えられます。

「OJT」を実施する企業は6割以上

厚生労働省がまとめた令和5年度の能力開発基本調査によれば、「従業員に対して計画的なOJTを実施している」と答えた事業所は63.2%と、半数以上の企業が「OJT」に取り組んでいることがわかりました。
前年と比べると0.4ポイント上昇しており、平均でみても徐々に上昇傾向にあります。
教育訓練において「OJTを重視している」と答えた企業は78.5%に上り、現場で役に立つ知識や技術を養うため、「OJT」は多くの企業で前向きに捉えられています。

参考:厚生労働省 令和5年度能力開発基本調査

「OJT」と似ている言葉に「OFF-JT」という教育手法があるのを知っていますか?
「OFF-JT」とは、”off the job training”を略した言葉です。
複数の新入社員を会議室や研修室に集めて、ビジネスの基本や業務内容を一斉に学んでもらうのが目的です。
「OJT」が実務を通して実践的な指導を行うのに対して、「OFF-JT」は実務とは別で実施する、「集合研修」や「講義」のことを指します。
新入社員を含めた従業員全員の能力向上と業績アップを図るため、多くの企業で「OJT」と「OFF-JT」が活用されています。

”on-the-job training”の意味

「OJT」は、”on-the-job training”の略称でしたね。
”on-the-job training”は、辞書で以下のように定義されており、仕事をしながら必要なスキルを学んでいくことを意味しています。
なお、”on-the-job”は、一つのイディオムなので、必ずハイフンをつけて表記しましょう。

on-the-job

 

  • happening while you are working
    仕事中に起きたこと
  • while working, or at work
    仕事中

 

training

  • the process of learning the skills you need to do a particular job or activity
    特定の仕事や活動に必要なスキルを学ぶプロセス

 

参考:
on-the-job | Longman Dictionary of Contemporary English
ON-THE-JOB | Cambridge Dictionary
TRAINING | Cambridge Dictionary

”on-the-job training”を略した「OJT」ですが、英語で話すときは略さずに、”on-the-job training”と言わないと通じません。
ちょっと長いな…と思った方は、「研修」や「トレーニング」を意味する”training”だけでも問題ないですよ。

”on-the-job training”の例文

「OJT」を意味する”on-the-job training”はどのように使われるのでしょうか?
例文と一緒に正しい使い方を確認していきましょう。

Aさん
There are many different types of on-the-job training.
訳)OJTにはさまざまな種類があります。
Aさん
No formal qualifications are required for the work, and you’ll get on-the-job training.
訳)この仕事には正式な資格は必要なく、OJTを受けられます。
Aさん
We emphasize on-the-job training to ensure employees gain practical experience.
訳)当社では、社員が実践的な経験を積むことができるよう、OJTを重視しています。

”on-the-job training”の類似表現

”on-the-job training”の類似表現

「OJT」は”on-the-job training”の略で「現任訓練」や「実地研修」などを意味します。
企業での研修や教育は、ほかにもいろいろな英語で言い換えが可能です。
”on-the-job training”の類似表現を紹介していきます。

training

”training”は、企業などにおける「研修」「訓練」「養成」などという意味を表す英語です。
”on-the-job training”にも含まれているのでイメージしやすいかと思いますが、”training”の一単語で、会社や業務に関するさまざまな内容の研修を表します。

Aさん
I’ll be in new employee training for three weeks starting next Monday.
訳)来週の月曜日から3週間、新入社員研修を受けます。
Aさん
We will be doing regular training throughout the year.
訳)当社では、1年を通して定期研修を行う予定です。

orientation

”orientation”は、新しく入った社員または学生に対する最初の研修を意味する英語です。
「オリエンテーション」と日本語でも言いますが、新入社員や新入生に対する最初の研修を指しており、会社や学校の基本的な情報を伝えるのが目的です。

Aさん
This is orientation week for all the new employees.
訳)今週は、新入社員全員にとっての研修期間です。
Aさん
They give their new employees a day or two of perfunctory orientation.
訳)新入社員には1日か2日、形式的なオリエンテーションを行います。

apprenticeship

”apprenticeship”は、「見習い研修」や「見習い期間」という意味を持つ英語です。
熟練した職人や技術者から、業務に必要な知識やスキルを学び、実務経験を積んでいくトレーニングのことを指します。

Aさん
It has created formal apprenticeship programs and enabled them to shadow employees on the job.
訳)正式な見習いプログラムを設け、従業員の仕事ぶりを見学できるようにしています。
Aさん
After serving his apprenticeship as a toolmaker, he became a manager.
訳)彼は工具職人としての見習い期間を経て、経営者となりました。

Internship

”internship”は、学生が企業で職場経験を積むための「実務体験」や「実習訓練」を意味する英語です。
「インターンシップ」や「就業体験」など、日本語でもなじみのある表現なので、理解しやすいでしょう。
教育と実務経験の橋渡しをするのが目的とされ、学んだ知識を実際の仕事に活かす機会を与えてくれます。

Aさん
The internship allows students to gain real-world experience in their field.
訳)インターンシップは、学生が自分の分野で実務経験を積む機会を提供します。
Aさん
I worked for them for a summer as a kind of internship at a local TV station.
訳)ひと夏、地元のテレビ局でインターンシップのような形で働いたことがあります。

workshop

”workshop”は、参加者が実際に手を動かしたり、ディスカッションしたりしながら学ぶ研修を意味します。
企業主催の”workshop”では、業務に活かせる実践的なスキルの習得を重視して行われることが多いです。

Aさん
The organization runs a stress-management workshop.
訳)同団体はストレス・マネジメント・ワークショップを開催しています。
Aさん
A four-day event is planned for guest lectures, business seminars, and workshops.
訳)ゲスト講演、ビジネスセミナー、ワークショップなど、4日間のイベントが予定されています。

まとめ

ビジネスシーンでよく聞く「OJT」について、英語”on-the-job training”の意味と正しい使い方、類義表現を紹介しました。

「OJT」は、英語の”on-the-job training”の略称で、「職業訓練」や「実施研修」を意味する言葉です。
新しく入った社員や学生に対して、指導担当者がマンツーマンで、業務に必要な知識やスキルを実践しながら教えていく人材育成の手法を指します。
「OJT」は日本語でだけ通用する言い方のため、英語では必ず”on-the-job training”と言うようにしましょう。
書くときは”on-the-job”とハイフンをつけるのもお忘れなく。

仕事も英語も、知識を得たら実践することで力がついていきます。
たくさんアウトプットして英語スキルを高めていきましょう!

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