映画やアニメ、漫画を見ていて、「ヴィラン」という言葉に遭遇したことはありませんか?
初めて聞いたら、「キャラの名前?」「どういう意味?」と、一瞬戸惑ってしまう方もいるでしょう。
パッと聞いただけではイメージしづらい「ヴィラン」ですが、一体どんな意味を表す言葉なのでしょうか。

今回は、知らない方も多い英語由来のカタカナ言葉「ヴィラン」について、”villain”の意味と使い方、類義語と対義語を紹介していきます。

「ヴィラン」とは?

「ヴィラン」とは?

「ヴィラン」は、英語”villain”に由来しており、悪役、悪人役、悪党、敵方、敵キャラといった意味を表したカタカナ言葉です。
「ヴィラン」=「悪役」あるいは「敵役」として知られています。
ディズニー作品で登場する敵役たちが「ディズニー・ヴィランズ(Disney villains)」と総称されるのをご存知の方も多いでしょう。

劇や小説の主人公に対する「悪役」や「敵役」を指すほか、ストーリーによっては「犯人」や「犯罪者」とも捉えられます。
子どもやペットをしかりつけて、「こいつ」または「小僧」、「坊主」などと言い換えられる場合もあります。

ヴィランと同じような意味で使われる言葉に「ヒール」「エネミー」がありますが、「悪役」と「敵役」を指すという点においてはどちらも共通しています。

「ヒール」とは、おもにプロレスなど、エンターテイメント性の強いスポーツで用いられる言葉です。
観客から非難されたりブーイングを受けたりして場を盛り上げるための存在として重要な役役目を果たします。

「エネミー」は、悪役や敵、不正行為などを意味する一般的な言葉です。
動物、人間、自然災害、困難な状況など、幅広いものに対して使われます。
ゲームをクリアするまでに立ちはだかる苦難や障害、またはクエスト達成を阻む敵の存在も「エネミー」で表現できます。

”villain”の意味

英語の”villain”は、「悪役」や「悪人」を意味する単語です。
特に、映画や本、演劇、アニメなどの物語において、主人公に敵対する相手や悪人、犯罪者を指して使われます。

  • a bad person who harms other people or breaks the law
    他人を傷つけたり法律を破ったりする悪い人
  • a criminal
    犯罪者
  • a character in a book, play, film, etc. who harms other people
    本、演劇、映画などで、他人に危害を加える登場人物

参考:Cambridge Dictionary

”villain”の発音は /ˈvɪl.ən/ で、カタカナの「ヴィラン」と読み方に大きな違いはありません。

”villain”の語源は、ラテン語と古フランス語にさかのぼります。
ラテン語の”villa”(田舎の家、農場)から由来した中世ラテン語の”villanus”(農場労働者)が、1300年頃の英仏語と古フランス語”vilain”(農民、農夫、粗野な人、田舎者)に変化していきました。
小説や演劇などの「悪い行いをするキャラクター」という現代の意味は、1822年から使われるようになりました。

”villain”を使った例文

”villain”を使った例文

”villain”は、非難されるのがお決まりの悲しい役どころではありますが、ストーリー展開には欠かせない重要な存在です。
映画、小説、演劇などいろいろな場面で登場する”villain”の使い方を例文で確認していきましょう。

作品や登場人物の話題における「悪役」

Aさん
The movie searches for heroes in the knowledge that villains are thick on the ground.
訳)この映画は、悪党が大勢いることを知りながら英雄を探すストーリーです。
Aさん
He made his reputation as an actor playing villains.
訳)彼は、悪役俳優として名を馳せました。
Aさん
In many of her stories, there are princesses and princes, heroes and villains.
訳)彼女の物語の多くには、お姫様や王子様、ヒーローや悪役が登場します。

プロレスやスポーツにおける「悪役」

Aさん
Athletes speaking out against racial injustice are being vilified as villains by those in power.
訳)人種的な不公平に声を上げるアスリートは、権力者たちから悪役として中傷されます。
Aさん
The striker became the villain of the piece after a challenge that provoked a shoving match.
訳)このストライカーが悪役になったのは、押し合いを誘発したチャレンジの後でした。
Aさん
I was watching a villain wrestler brawl right in front of me.
訳)わたしは悪役のレスラーが目の前で乱闘するのを見ていました。

一般論として語る場合の「悪役」

Aさん
Every villain out there will be thought of as an easy target.
訳)世間の悪役はみんな、格好の標的と考えられているでしょう。
Aさん
Everyone’s either a hero or a villain, depending on your point of view.
訳)見方によっては、誰もが英雄にも悪役にもなりうるのです。
Aさん
Deliver a villain and a hero emerges.
訳)悪役を登場させれば、ヒーローが現れるものです。

”villain”の類義語

”villain”の類義語には、以下のような単語が挙げられます。

  • criminal … 犯罪の、刑事上の、犯罪的な、犯罪を犯している
  • antagonist … 敵意のある者、敵対者、競争者、相手、
  • rogue … 悪党、ごろつき、悪漢、腕白者、いたずらっ子
  • wretch … 哀れな人、みじめな人、恥知らず、嫌われ者

少し難しいですが、「行為者」や「実行家」を意味する“doer”がついた単語もあります。
”wrong”は、間違っている、”evil”は、道徳的に良くないという意味を持っているので、どちらも悪いイメージを持つと覚えておきましょう。

  • wrongdoer … 悪事を働く人、非行者、犯罪者、加害者
  • evildoer … 悪事を行なう者、悪人

”villain”の対義語

”villain”の対義語としては、以下のような単語が挙げられます。
”protagonist”以外は、ヒーロー、ヒロイン、スター、ポピュラーなど、カタカナ言葉でもなじみがあるので覚えやすい表現といえるでしょう。

  • hero … 詩・劇・小説などの主人公、主要人物、英雄
  • heroine … 詩・劇・小説などの女主人公、ヒロイン
  • protagonist … 演劇の主役、物語などの主人公
  • star … 主役、スター、花形、人気者
  • popular figure … 名物キャラクター、主役、人気者

まとめ

意外と知られていない英語由来のカタカナ言葉「ヴィラン」について、”villain”の意味と使い方、類義語と対義語を紹介しました。

「ヴィラン」は、英語”villain”に由来したカタカナ言葉で、悪役、悪人、悪党、敵方、敵キャラといった意味を表します。
”villain”は、社会的な規範に反する者、道徳的に良くない行為をはたらく者を指して使われることが多いです。

代表的な類義語は、犯罪者を意味する”criminal”、対義語は主人公を意味する”hero”または”heroine”が挙げられます。
聞き慣れないカタカナ言葉は、もとになっている単語を調べ、意味や使い方に相違がないか確認しておくことが大切ですよ。

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