日本庭園やイングリッシュガーデンなど、世界各国にそれぞれ特徴のある庭園があります。中東に位置するイランにも素晴らしい庭の文化が存在します。特徴的な様式を持つだけでなく、初めての計画的な庭園は紀元前にまで遡るスケールです。
そして、イランのペルシャ庭園が世界遺産に登録されていることをご存知ですか?
この記事では、イランの世界遺産「ペルシャ庭園」を紹介します。世界有数の高度な芸術文化を持つ、イランのペルシャ庭園の特徴や魅力などを英語表現とともにみていきましょう。
イランってどんな国?
ペルシャ湾とカスピ海に面した国イラン。
まずは、簡単にイランという国について紹介します。
正式名称は”Islamic Republic of Iran”
私たちがイランと呼ぶ国は、正式名称”Islamic Republic of Iran”です。
・首都 テヘラン
・人口 約8280万人
・宗教 イスラム教
・民族構成
ペルシア人・アーザリー人などトルコ系、クルド系
・公用語
ペルシャ語。多民族国家ということからトルコ語やアラビア語など多くの言語も使用される。観光客向けの場所、ホテルなどでは英語が通じます。
ペルシャからイランへ
1935年、ペルシャをイランという国号に統一すると宣言され、日本政府はこれを正式に承認しました。
本記事ではペルシャ庭園という世界遺産を紹介しますが、このペルシャという言葉はイランがかつてペルシャと呼ばれていたことが由来です。ペルシャ猫もイラン原産の長毛種の猫です。
イラン・ペルシャ庭園の基本情報

次に、イランにある「ペルシャ庭園」の基本情報について紹介しましょう。
ペルシャ庭園とは?
世界遺産として「ペルシャ庭園」というときには、ひとつの庭を刺すのではなく、イランの国内各地にある9つの庭園をまとめた形になります。ペルシャ式の庭園には、水路が張り巡らされていることが特徴です。
訳)世界遺産のペルシャ庭園には、イランにある9つの庭園が含まれます。
四分庭園チャハルバーグとは?
イランでなくても、例えばスペイン・グラナダにあるアルハンブラ宮殿の庭を訪れたことのある人は水と植物をふんだんに取り入れた庭を思い出せるでしょう。
長方形の庭を水路で4分割し、その中央に噴水を設置するスタイルを四分庭園といい、イスラム庭園ではチャハルバーグと呼びます。緑と水の組み合わせで造られる庭は美しく、心が穏やかになります。
ペルシャ庭園の英語フレーズ
イランという国やペルシャ庭園について少し理解したところで、ここではペルシャ庭園を英語でどう表現するのか紹介しましょう。
ペルシャ庭園の英語フレーズ
ペルシャ庭園の英語フレーズはThe Persian Gardenです。
訳)ペルシャ庭園はしばしば、エデンとゾロアスター教の4つの要素である空、地、水、そして植物を表現したものと考えられています。
エデンは聖書に登場する楽園、そしてゾロアスター教は世界最古の宗教のひとつで天国の理想郷を地上に再現するという理念を持っていました。ペルシャ庭園はそのような考えが反映されているのです。
ペルシャ庭園が世界遺産になった理由は?

それでは、ペルシャ庭園が世界遺産に登録された年や理由をみていきましょう。庭園が世界遺産になるには、どのような状態が条件に当てはまったのでしょうか?
ペルシャ庭園が世界遺産になった年
訳)ペルシャ庭園は、2011年にユネスコの世界遺産に登録されました。
ペルシャ庭園が世界遺産になった理由
訳)ペルシャ庭園は、人間の創造的才能の傑作を表しています。
訳)ペルシャ庭園の造園が可能になったのは、知的で革新的なエンジニア・ソリューションと高度な水管理システム、そして植栽の適切な選択とその配置によるものです。
訳)チャハルバーグは、古代イランの人々の目から見た、自然と宇宙の秩序の神話的認識を反映しています。
チャハルバーグ(The Chahar Bagh)は長方形の庭を水路で4分割し、その中央に噴水を設置するスタイルを四分庭園のことでしたね。
このように、ペルシャ庭園は人間の創造的才能の傑作であること、水管理技術の歴史的意義、そして独自の空間設計による楽園の概念を具現化したことなどが認められ世界遺産になったのです。
引用:UNESCO World Heritage Centre
ペルシャ庭園の9つの庭

世界遺産として「ペルシャ庭園」というときには、イラン国内の9つの庭園が対象になっていることを述べました。ここでは、これら9つの庭園を紹介します。
9つの庭園を紹介
以下が9つの庭園になります。()内は場所です。
1. Bagh-e Pasargad パサルガダエ庭園(ファールス)
2. Bagh-e Eram エラム庭園(シーラーズ)
3. Bagh-e Fin フィン庭園(カーシャーン)
4. Bagh-e Chehel Sotoun チェヘル・ソトゥーン庭園(イスファハーン)
5. Bagh-e Dolatabad ドラマーン庭園(ヤズド)
6. Bagh-e Abbasabad アッバーシー庭園(マーザンダラーン)
7. Bagh-e Shazdeh シャーザーデ庭園(ケルマーン)
8. Bagh-e Afif Abad アフラシャド庭園(シーラーズ)
9. Bagh-e Pahlavanpur パールサー庭園(ヤズド)
訳)パサルガダエ庭園は、最古のペルシャ庭園です。
パサルガダエ庭園は、紀元前6世紀に造営された最古のペルシャ庭園、 エラム庭園は薔薇が咲き乱れイランのパラダイスと呼ばれる庭園など、それぞれ特徴があります。しかし、どれも水路が張り巡らされチャハルバーグのある典型的なペルシャ庭園ばかりです。
ペルシャ庭園の歴史を紹介
ペルシャ(イラン)の歴史は紀元前3000年ごろにも遡ります。そして、ペルシャ庭園の歴史も注目に値する歴史を持っています。
ペルシャ庭園の歴史
紀元前6世紀ごろ、キュロス大王によって初めて計画的な庭園が造られました。最古の庭園パサルガダエには、キュロス大王の墓があります。
西暦224年からは、ペルシャ庭園の洗練化が進み、チャハルバーグ様式が確立されます。そして、7世紀以降、イスラム文化と融合したペルシャ庭園は、モスクや宮殿の庭園に取り入れられていきました。
ペルシャ庭園を訪れるときの注意点
水を中心としたペルシャ庭園の美しさは完璧な設計によってユネスコに認定されています。しかし、イランはイスラム教を国教とする国家であり、庭園を訪れる際には気をつけるべき点があります。
ペルシャ庭園訪れるときの注意点とは?
敬虔なイスラム教徒をリスペクトし、服装には少し気をつけなければなりません。女性であれば、髪の毛をスカーフなどで覆う、肌が露出する衣類は避けるなど配慮が必要です。ペルシャ庭園だけでなく、飛行機を降りるところからこれらの服装の制限は始まります。
これらは、英語学習者にとっては異文化を理解するという意味で大変重要です。
しかし、イランの人々はとてもフレンドリーです。おもてなし文化のあるイランでは、お茶をご馳走してくれることが日常茶飯事という話も聞きます。
「郷に入っては郷に従え」を押さえて、世界遺産を楽しみましょう。
まとめ
本記事では、2011年にユネスコの世界遺産に登録された「ペルシャ庭園」を紹介しました。世界に様々ある美しい庭園のなかでも、水路が張り巡らされていることが特徴で最古の庭園は紀元前6世紀ごろのものです。
地上の楽園と言われるペルシャ庭園は一見の価値あり!です。
