エジプトといえば、誰もが思い浮かべるのがピラミッド。そしてそのピラミッドが数多く集まる場所が、エジプト古王国の首都だったメンフィス(Memphis)とその周辺の墓地遺跡群です。
世界七不思議のひとつ「ギザの大ピラミッド」をはじめ、アブシール、サッカーラ、ダハシュールといった広範囲にわたる古代遺跡群が、ユネスコ世界遺産「Memphis and its Necropolis – the Pyramid Fields from Giza to Dahshur」として登録されています。
この記事では、これらの遺跡を紹介しながら、旅の中で使える簡単な英語表現も取り上げていきます。
メンフィスとその墓地遺跡とは?

メンフィスは、ギーザから約20km南、ナイル川西岸に位置し、紀元前3000年頃に第1王朝が築いたエジプト古王国時代の首都でした。ナイル川の要所にあたり、エジプト全域の統治に適した場所とされていました。
古代エジプトにおいて、ピラミッドは王の権威と永遠の命を象徴する建造物でした。メンフィスとその墓地遺跡には、ギザの3大ピラミッド(クフ王、カフラー王、メンカウラー王)をはじめ、80以上のピラミッドや9000以上の岩窟墳墓が存在します。
特に、サッカーラの階段ピラミッドや、ダハシュールの赤いピラミッドなどは、ピラミッド建築の進化の過程を知る手がかりとして重要です。
ピラミッドはどうやって造った?
巨大建造物であるピラミッドの建設方法については、今でも多くの謎が残っています。かつては奴隷が過酷な労働を強いられていたと信じられていましたが、最近の研究では、農閑期の公共事業として、報酬を受け取った熟練労働者たちによって建設されたという説が有力です。
ピラミッド内部に刻まれた労働者の「落書き」などからも、それが裏付けられつつあります。
石材を運ぶ方法についても、以前は木の装置が使われたとされていましたが、現在ではスロープを作ってそりで引いて運んだという説が有力です。
また、ピラミッドが王墓であったかどうかも議論の的。クフ王のピラミッドには「石棺」がありますが、ミイラは見つかっておらず、謎に包まれています。
アクセス
日本からエジプトへは、中東(ドバイ、イスタンブールなど)を経由してカイロ国際空港へ。所要時間は約15〜20時間です。カイロからは日帰りツアーでギザやサッカーラなどを訪れることができます。
ピラミッドの歴史
現在、エジプトでは150近いピラミッドが確認されています。その多くは、正確な四角錐で構成され、各辺は東西南北を指しています。最古のピラミッドは、サッカーラにあるジョセル王の「階段ピラミッド」。それ以前は「マスタバ」と呼ばれる平らな墓が一般的でした。
スネフェル王によって建てられた「屈折ピラミッド」や「赤いピラミッド」も技術の進化を示す重要な遺跡です。太陽神信仰とともに、ピラミッドはファラオ(古代エジプト王)の権威の象徴として築かれました。
労働者たちは奴隷ではなく、国家のために働いた職人たち。クフ王の時代に最盛期を迎えたピラミッド建設も、次第に衰退していきます。時代の移り変わりとともに、王たちは岩窟墓や神殿を建設するようになりました。
世界遺産としての価値
「メンフィスとその墓地遺跡-ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯(Memphis and its Necropolis – the Pyramid Fields from Giza to Dahshur)」は、1979年にユネスコ世界遺産に登録されました。
登録理由は?
世界遺産に登録された理由は以下の点です。
- 古代エジプト文明の高度な建築技術の証
- 宗教的・政治的権威を象徴する建造物群
- ファラオの権力と永遠の命への思想を示す文化的価値
覚えておきたい英会話フレーズ
旅先でよく使う英語フレーズを覚えておくと、よりスムーズに観光を楽しめます。ここではピラミッド見学中に役立つ簡単な会話例を紹介します。
訳)このピラミッド、信じられないほど大きいね!
訳)ほんとに!4500年以上前にこれを造ったなんて信じられないね。古代エジプト文明の偉大さを感じる。
訳)世界遺産に登録されてるのも納得だね。
訳)うん。文明全体の歴史と信仰を今に伝えてるもんね。
訳)ピラミッドって、ほぼ完璧に東西南北に合わせて建てられてるんだよ。
訳)本当?すごいね!当時の人たち、天文学に詳しかったんだね。
主な構成資産を紹介

ギザ(Giza)
エジプト観光の象徴ともいえるギザには、世界的に有名な三大ピラミッド(クフ王、カフラー王、メンカウラー王)がそびえ立ちます。中でもクフ王のピラミッドは約146mの高さを誇ります。
その隣には、ファラオの顔を持つライオン体の像「スフィンクス」があり、王の権威を象徴すると同時に神聖な守護者としての意味合いも持ちます。
サッカーラ(Saqqara)
メンフィスから約6kmに位置するサッカーラは、最も古いピラミッド「階段ピラミッド(Step Pyramid)」があることで有名です。このピラミッドは第3王朝のジョセル王のために建てられたものです。これはマスタバを6層に積み重ねた形で、ピラミッド建築の始まりを象徴しています。
サッカーラには、セケムケトの未完成の階段ピラミッドもあります。
ダハシュール(Dahshur)
ダハシュールは、スネフェル王によって建てられた2つの革新的なピラミッドが有名です。
一つは、屈折ピラミッド(Bent Pyramid)。途中で角度が変わる珍しい形状。建設者が意図的に角を滑らかに作った最初のピラミッドだと考えられています。技術的な試行錯誤を物語る重要な遺構です。
もう一つは、赤いピラミッド(Red Pyramid)。エジプト最古の「真正ピラミッド(smooth-sided pyramid)」とされ、外壁を覆っていた白い石灰石が削られていき、花崗岩が赤く見えることから「赤いピラミッド」と呼ばれるようになりました。
メンフィス(Memphis)
古代エジプトの首都として栄えたメンフィスは、行政と宗教の中心地でした。現在は遺跡の一部が残るのみですが、「ラムセス2世の巨大な像」や「アラバスター製のスフィンクス」などが残されており、当時の権力の大きさを物語っています。
アブ・ロアシュ(Abu Rawash)
ギザの北にあるこの遺跡には、第4王朝のジェドエフラー王によって建てられたとされるピラミッドの跡がありますが、現在は石材の残骸があるのみです。それでもピラミッド建設の試行錯誤の一例として考古学的に注目されています。
アブシール(Abusir)
ギザとサッカーラの間に位置するアブシールは、中王国時代や後期王朝のファラオたち5人のピラミッドが残っています。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう
一度は目の前で見てみたいエジプトのピラミッド。誰もが知る歴史的遺産でありながら、現地でそのスケールを目の当たりにすると、言葉を失うほどの感動があります。そのとき、英語を少しでも話すことができれば、現地のガイドや旅仲間と感動を共有でき、旅は何倍にも豊かになるでしょう。
歴史に触れながら英語を学んでみませんか?
