今回は、日本では当たり前のように使っている「先輩」という英語についてご紹介していきます。・・・と、意気込んでみたはいいのですが、実は最初に言ってしまうと英語圏で先輩という概念がそもそもないため、日本で使われている「先輩」をどのように伝えるかは結構難しい問題となってきます。辞書で引けばSeniorなんて出て来るかもしれませんが、これもあまり使われません。では、英語圏では「先輩」に当たるような近い表現はあるのでしょうか。

英語圏に「先輩」という概念はない

先ほども述べた通り、英語圏に日本のような「先輩」という概念はありません。そもそも日本がどうして「先輩」という言葉を使うのかというと、それは日本が縦の関係や役職、階級を重んじる文化だからです。

中学生になってから、1年しか年が違わないのに急に部活で「先輩」、「後輩」という言葉が使われ始め、年上には敬語で話さなければいけないことに驚いたという記憶がある方もいるのではないでしょうか。敬語も含め、年上は敬うべきだという文化が子どものころから植え付けられているのが日本です。

会社に入ると、敬語はもちろんのこと相手のことを役職名で呼ぶのが当たり前となっていますよね。社長のことを○○さんと呼べる会社は少ないはずです。

英語圏では誰もをファーストネームで呼ぶ

英語圏では誰もをファーストネームで呼ぶ

では、「先輩」という概念がない英語圏では、仕事をする時などは相手のことをどう読んでいるのでしょうか。ここは非常に気になるところではありませんか?しかし、海外ドラマや洋画を見ている人ならなんとなく予想がつくでしょうね。英語圏では、一緒に仕事をしている人は皆ファーストネームで呼び合っています。

上司や先輩など、役職が自分より上であっても下であってもファーストネームで呼ぶのが英語圏流。欧米には、日本のように年上を敬う文化がなく、立場は横一列と考える文化があるからです。

上司と言えばBossという英語がありますが、「先輩」となると英語での表現は難しいですね。ですから相手を自分の先輩であると他人に紹介したいなら、「彼は私の同僚だけど、私より早く入社しました」というように紹介することとなります。

普通はこんな風に入社時期を細かく説明することなんてありませんから、もし英語圏で言ったら「そう言うからには何か他に入社時期に関する話題があるのだろう」と思われてしまいそうです。

よって、英語圏に行ったなら、一度「先輩」という言葉は忘れた方が良いですね。日本の縦の文化のまま海外で働くと、その文化が邪魔をして言葉の壁をより厚くしてしまうこともあります。とりあえずファーストネーム呼びで良いと覚えておけばそれでOKです。

あえて注意点を言うとすれば、日本と同じように初対面でいきなりファーストネームで呼ぶのは少し避けた方が無難かなという点と、もちろん時と場合によってはファーストネーム呼びが失礼に当たることもあるので、敬称を付けて呼んだ方が良い場合がある点ですね。

英語で「先輩」に近い表現は?

英語で「先輩」に近い表現は?

では、無理矢理にでも英語で「先輩」という単語に近いものはないのか、あるとすればどういったニュアンスで使えばいいのかを見ていきましょう。そもそも英語圏にはない感覚であると意識した上で単語の意味を確認してみてくださいね。

senior

辞書で「先輩」と引くと載っているのがこのSenior。日本語でシニアと言うと高齢者のことを指しますし、シチュエーションによっては英語でもそうなのですが、上下関係を伝えたい場合には使うことがあります。

日本語にするなら「年上」という訳になるため、やはり「先輩」という概念を伝えるには至りませんね。また、一般的な紹介方法ではありません。ネイティブからしたら、「どうしてあえて年齢を強調するのだろう」と不思議がるかも・・・。

日本は上下関係を意識しすぎるあまり、相手が自分より年上か年下か同い年かわかるまで、敬語でいいのかわからないため真っ先に年齢を聞くこともありますね。でないとろくに会話もできないからです。そのため、日本のこの年齢を妙に重視する文化を嫌う日本人もいます。

Dr.〇〇やMrs○○など

「先輩」に当たるかどうかは自分の立場によって変わってしまいますが、大学の教授などの場合、Dr.○○と呼んで欲しい人もいます。英語に敬称がないわけではないので、相手の希望通りに呼んであげるのが良いでしょう。

Dr.○○は日本だと医者のイメージが強いですが、特にアメリカでは教授という意味で使われることがあります。また、博士にもDr.○○と言いますね。

一番無難な方法としては、最初に敬称を付けて呼んでみて、相手が「ファーストネームでいいよ」と言うのを待つ方法でしょう。敬意を示されて敬称をつけて呼ばれるよりは、ファーストネームで親しくなれた方が嬉しいという人も多いです。

Aさん
Dr. Smith?
訳)スミス教授?
Bさん
No, please call me Nancy.
訳)いえ、私のことはナンシーって呼んで

senpai

英語圏に「先輩」という概念がないなら、これはもう日本独自の文化としてローマ字でそのまま言ってしまうのが一番確実にニュアンスを伝える手です。しかし、やはりこれでは伝わらないというのも事実です。

ただ例外はあり、アニメが好きな外国人なら「senpai」とそのまま言っても通じることがあります。これは、アニメの中で「先輩」と呼ぶキャラクターが多いためです。ここから日本の縦社会の文化を学ぶ人もいますね。また、ロリショタ文化が好きな国は日本であるという風潮もここから来ていたりします。

Aさん
Do you know the word, “senpai”?
訳)「センパイ」って言葉知ってる?
Bさん
Oh yes! It’s Japanese right?
訳)ああ、うん!日本語だよね?

まとめ

「先輩」という概念は、そもそも英語圏にはないのでしたね。概念そのものがないのですから、当然「先輩」という英語もないのです。ですから、もし会社で相手を何と呼べばいいのかわからない時などには、最初は敬称+ファミリーネームで言ってみて、相手がファーストネームでいいよと言ったらそのようにすることが無難な方法になります。一応Seniorなどの言い方はありますが、それでも一般的なものではないことを意識しておいてくださいね。