「膝」は全身を支えてくれる大切な関節です。子どもの頃、運動会で転んですりむいた思い出のある人も多いのでは。

すり傷程度なら問題ないでしょうが、ご自身やお子さんが海外でもっと深刻なケガをしてしまった時、病院と正確な情報をやりとりできるようにしておきたいですね。

また、重要な関節だからこそ、日本語でも様々なことわざや慣用句に用いられていますが、英語で説明するのはなかなか難しいかと思います。

今回は、海外の病院でも、英会話の話題としても役に立つ、「膝」に関する表現を紹介します。

膝って英語で何ていう?

「膝」は基本的に「knees」と表現します。

直訳すると「knee」になりますが、目(eyes)や耳(ears)と同じく、身体に2つあるものは複数形で表現するクセをつけておいた方がよいでしょう。

特別な必要性がない限り、単数形で言われると、英語圏の人たちは違和感を覚えてしまうようです。

また、「膝」を表す英語として、もう一つ「lap」があります。座った時の太ももから膝までの水平部分を表す英単語です。

今の日本ではあまり使わない表現ですが、「膝の上に乗るサイズの小型のノートパソコン」を「ラップトップパソコン(Laptop Computer)」と呼んだりしていましたよね。

「膝」に関する英語表現

「膝」に関する英語表現

膝小僧

「膝」にまつわる日本語として、例えば「膝小僧」といった表現がありますよね。

「膝小僧」は別名「膝がしら」といい、膝関節の前面を擬人化した表現です。ちなみに膝の裏は「ひかがみ」といいます。

英語では「膝がしら(膝小僧)」と「ひかがみ」を区別する表現がないため、どちらも「knee」と英訳することになります。

膝の皿

また、膝の前面にある、いわゆる「膝の皿」については、「kneecap」という表現が当てはまります。

「膝立ちになる」「ひざまずいた」

ところで、英語には「kneel」という動詞があるのですが、この単語は膝の片方または両方を地面につく動作全般を指します。

そのため、「膝立ちになる」も「ひざまずく」もkneelを使って表すことになります。

一応「膝立ちになる」状態は「kneeling」「ひざまずいた」状態は「kneel down」と表現することが多いですが、使い分けはあいまいです。

膝をついた状態を表すということで、正座や座禅も「seat in a kneeling position」と表現することになります。

日本語の「膝」を使った慣用句を説明するには?

日本語の「膝」を使った慣用句を説明するには?

日本語の「膝」を使った慣用句は、完全に日本語独特の表現なので、直訳して通じることはないでしょう。

ここでは、日本語の「膝」を使った慣用句を英語で言いかえる場合のフレーズを紹介します。

膝を打つ

「膝を打つ」とは、何かに納得したり感心した状態や、何か閃いた時にポンと膝を打つ動作から派生した慣用句です。

そのため、例えば以下のような言いかえができるのではないでしょうか。

Aさん
I was deeply convinced.
訳)私は深く納得した

膝を交える

「膝を交える」とは、親しく語り合う様子を表す慣用句です。そのため、以下のように言い換えると良いでしょう。

Aさん
We talked intimately.
訳)私たちは親しげに語り合った

「膝が笑う」

山を登り終えて下山している時に、疲労で膝ががくがくする様子を「膝が笑う」と表現しますが、英語で説明するのはかなり難しいですよね。強いて言えば以下のように言い換えられるかと思います。

Aさん
I have my knees about to give out.
訳)膝が砕けそう

 

膝を崩してください

お茶の席や法事などで、正座に不慣れな海外の方に「膝を崩してください」という場合には、以下のような言いかえが考えられます。

Aさん
Please sit in your comfortable position.
訳)楽な姿勢で座ってください
Aさん
You don’t need to sit in Japanese style.
訳)日本式に合わせなくていいですよ
Aさん
Please get comfortable.
訳)楽にしてください

これらの表現を参考に、自分で日本語の慣用句の意味をしっかり理解して、分かりやすくかみ砕いて説明する英語力を養ってほしいと思います。

「膝」に関する知っておきたいフレーズ

「膝」に関する知っておきたいフレーズ

洋画をもっと楽しめるフレーズ

洋画を見ている時に男性が女性に膝をついて花束を差し出すプロポーズのシーンは、ロマンチックで憧れてしまいますよね。

そんなシーンは、英語では以下のように表現します。

Aさん
He knelt down and proposed.
訳)彼はひざをついてプロポーズをした

「膝をつく」は「kneel down」という表現を使います。「kneel」の過去形は「knelt」と不規則な変化をするので注意しましょう。

また、欧米の文化で特徴的なのが、以下のような教えではないでしょうか。

Aさん
When you talk to a child, kneel down to his/her level.
訳)子どもに話しかける時は、その子の目の高さまで腰を落としなさい

洋画でも、大人が子どもにまじめな話をするシーンで、以下のような動作がよく見られますよね。

Aさん
He knelt down to talk to his son.
訳)彼は膝を折って息子に語りかけた

子どもを子ども扱いせず、大人と同等の存在として扱うのは、欧米の素敵な文化だと思います。

「kneel down」には様々な意味が

「kneel down」は必ずしも良いイメージばかりの表現ではないようです。日本語で「ひざまずく」とも訳せますよね。

そのため、「kneel down」と聞くと、以下のような表現をイメージする方も多いようです。

Aさん
He knelt down on the ground.
訳)彼は土下座した

また、特にキリスト教圏などでは、祈りの動作を表すという印象もあるようです。

Aさん
He is kneeling down in prayer.
訳)彼はひざまずいて祈っている

膝のケガに関するフレーズ

海外の病院などで役に立つ、膝のケガに関する表現です。

ケガに関しては、単数形の「knee」を使った方が自然な状況が多いでしょう。

Aさん
I scraped my knee.
訳)私は膝をすりむいた
Aさん
I broke my knee.
訳)私は膝を骨折した
Aさん
I had to walk with crutches.
訳)私は松葉杖をついて歩かなければならなかった

「松葉杖」は他にも「Walking sticks」「Walking aid」などと表現しますが、「crutches」が最も一般的です。

あまり聞きなじみのない英単語ですが、海外で膝を骨折した時などは必須の表現と言えるでしょう。

松葉杖をつかなければいけないケガについての表現はほかに以下のようなものがあります。

Aさん
I suffered from knee arthritis.
訳)私は膝の関節炎を患った

「arthritis(炎症)」は耳慣れない単語だと思いますが、英語圏ではごく当たり前に使う単語のようです。

学校では習いませんが、海外旅行に行く際は、例えば「diarrhea(下痢)」や「painkiller(痛み止め)」など、自分の体調を管理するための最低限の単語をしっかりおさえておきましょう。

まとめ

海外旅行や海外生活で、ケガや病気をした時に、自分の状態を正確に伝えられるようにしておくと安心ですよね。

転んだ時、真っ先に自分の身体を守ってくれるのは膝かもしれません。膝のケガなどについて、耳慣れない単語も積極的に学んでいきましょう。

また、英会話においては、日本語の慣用句を思いついても無理に言い換えようとせず、「知っている表現に逃げる」ことも大切だと思います。

ただ、自分の国独自のことわざや慣用句は、英会話をするうえで格好の話題になります。

Aさん
In Japanese, when your knees buckle from exhaustion, it’s called “knee laughs”!
訳)日本語では、疲れて膝ががくがくすることを、”膝が笑う”というんですよ

こんな話題だけで、ひとしきり盛り上がれそうですよね。

海外で自分の身体を守るためにも、英語力を磨くためにも、「膝」にまつわる表現をぜひ学んでみてください。