皆さん英語で何かを言おうとして、時制に迷ってしまったことはありませんか。時制と聞くとどうしても、「その動作をした時はいつなのか」を考えてしまいがちですが、実は「伝えたい内容や強調したいニュアンス」によって時制は変わってきます。
オンライン英会話講師をしていて、ゆっくり考えると分かる時制もふと間違えてしまいやすい表現がいくつかあることに気が付きました。
今回は、時制を間違えやすい表現の中から、変化を表す現在進行形に焦点を当てて「伝えたい内容や強調したいニュアンス」を考えた時制の捉え方をご紹介します。
変化を表す現在進行形(I am doing)
例題
先ず、下の文を見てどちらが正しいか考えてみて下さい。
- At first, I didn’t like English lessons, but I begin to enjoy it now.
- At first, I didn’t like English lessons, but I’m beginning to enjoy it now.
解説
正解は、2. At first, I didn’t like English lessons, but I’m beginning to enjoy it now.(始めは英語のレッスンが好きではなかったが、今では楽しくなってきました)です。これは、英語では「時間軸の今/Nowの周辺で起きている変化」については、変化が起きている最中とみなして現在進行形で表すためです。
現在進行形とは?
ここで変化を表す現在進行形についてより深く見ていくために、現在進行形が用いられる場面について確認していきましょう。現在進行形は、「人や物がある動作の最中にある」ときに用います。例えば、今この記事を読んでくれているあなたが、この瞬間に「what are you doing now? (今何しているの?)」と聞かれた場合、答えは「I’m reading a blog post. (ブログの記事を読んでいるよ)」となります。
しかし、実はこの「動作の最中」というのは、「動作を始めてまだ終えていない状態」という意味で、必ずしも話し手が今その瞬間に動作をしている必要はありません。例えば、レストランで友人に会った会社員のトシさんは最近どうしているかと聞かれ、「I’m working on a new project(新しいプロジェクトに取り組んでいます)」と答えました。この場合、Aさんはレストランにいて、話をしている瞬間にはプロジェクトには取り組んでいませんが、こういった場面でも「動作を始めてまだ終えていない状態」の場合、現在進行形を用います。
ここで始めの、変化を表す現在進行形に戻りましょう。変化を表す表現では、英語の時制に迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。例題でも「楽しくなってきた」という日本語訳から、過去形をイメージされる方もいると思います。ここで覚えておいていただきたい時制のヒントが「時間軸の今/Nowの周辺で起きている変化」は現在進行形で表すということです。これは上でも触れましたが、今を中心に起きている変化については、その変化は動作(変化)の最中であるとみなすことができるからです。
では、「(今)雨が降り始めた」という表現はどうでしょうか。もう皆さんお分かりの通り、正解は「it is starting to rain」です。しかし、「it starts raining」「it started raining」などが頭に浮かんだ人もいるのではないでしょうか。これらを使い分けるには、「伝えたい内容や強調したいニュアンス」を考える必要があります。そして、今起きている変化自体について伝えたい時は⇒現在進行形、変化が起きる頻度やいつ起きたのかも合わせて伝えたい時は⇒現在進行形以外の時制で表します。では例文から、変化を表す現在進行形とその他の時制の文がどのように違うのか確認してみましょう。
- 状況:朝は晴れていたのに、ふと窓の外を見てみるとちょうど雨粒が落ちてくるのが見えた
-It’s starting to rain. (雨が降り始めた)
- 状況:雨期の夕方のスコールについて語る時
-Everyday around 5pm, it starts raining(毎日午後5時頃、雨が降り始めます)
- 状況:雨が降り出したことを知らない友人に対して
-It started raining when I left my house. (私が家を出た時、降り始めたんです)
上の例文の様に、改めて状況と伝えたい内容を考えると時制が分かりやすくなります。
現在進行形で変化を表す動詞
上の例題の「begin」や「start」以外にも、下のような動詞を用いて「時間軸の今/Nowの周辺で起きている変化」を表します。
例文:
- I’m getting tired (疲れてきた)
- My English is getting better (私の英語は上達してきた)
- Foreign tourists are increasing (外国人観光客が増えてきている)
- This place is becoming popular (この場所は人気になってきている)
- Unemployment rate is falling (失業率は下がってきている)
まとめ
いかがでしたでしょうか、時制を間違えてしまいやすい変化を表す現在進行形についてご紹介しました。現在進行形という名称から、どうしても今現在起きている事柄というイメージが強いですが、「動作を始めてまだ終えていない状態」や「時間軸の今/Nowの周辺で起きている変化」について表す際も用いられることを再確認いただければと思います。ぜひ今回ご紹介した現在進行形で変化を表す動詞を用いて、ご自身の日常生活から例文を作って復習してみてください。