日本語で上着は「着る」、ズボンは「履く」、じゃあオーバーオールは一体どっちなんでしょう。そこに引っ掛かりを覚えて早何年、未だにオーバーオールが買えずにいる今日この頃です。

ということで(?)、今回のテーマは「着る」です。

英語で「着る」を表す表現はいくつかありますが、それぞれに意味やニュアンスが少しずつ異なっています。この記事ではそれぞれの違いを詳しく説明しているので、これを読めば英語らしいニュアンスで各表現を使い分けることができるようになりますよ。

それでは、早速始めていきましょう!

「着る」は英語で何て言う?

「着る」は英語で何て言う?

着る①:put on

“put on” は「着る」という動作を表します。読み方はそのまま「プット オン」ですが、実際には縮まって「プトォン」に近い発音になります。

put on は直訳すると「(身体の)上に置く」となり、洋服に限らず身に着けるもの全般に使うことができます。日本語では「洋服を着る」「帽子をかぶる」「靴を履く」「眼鏡をかける」といったように、身に着けるものによって動詞が異なりますが、英語では全部 put on でOKです。

Aさん
Let’s put on the matching T-shirts tomorrow.
訳)明日はおそろいのTシャツを着ようよ。
Bさん
OK. And let’s put on the matching sneakers, too.
訳)わかった。スニーカーもおそろいにしちゃおうか。

 

put on に含まれる動詞 put は過去形、過去分詞形も変わらず put のままです。そのため、「着た」などと過去を表したい場合も putted on と誤って言ったり書いたりしないように注意しましょう。

原形(現在形) 過去形 過去分詞形
put put put
Aさん
I put on glasses this morning.
訳)私は今朝、眼鏡をかけました。

 

着る②:wear

“wear” は「着ている」という状態を表します。発音記号は「wéɚ(wéə)」、カタカナ表記では「ウェア―」となります。put on と同様、洋服に限らず身に着けるもの全般に使うことが可能です。

Aさん
You wear a nice watch.
訳)素敵な時計を着けてるね。
Bさん
Thanks. I got it from my father.
訳)ありがとう。父からもらったんだ。

 

wear は過去形・過去分詞形が不規則に変化します。weared という形は存在しないので、誤って言ったり書いたりしないように注意しましょう。

原形(現在形) 過去形 過去分詞形
wear

(ウェア―)

wore

(ウォーア)

worn

(ウォーン)

Aさん
I wear glasses day and night.
訳)私は四六時中眼鏡をかけています。

 

put on と wear は何が違う?

put on は「着る」という動作、wear は「着ている」という状態を表す点で、それぞれ意味が異なっています。

たとえば、「帽子をかぶる」という場合で考えてみましょう。道を歩いている男性が帽子をかぶっている場合は、以下のように wear を使うのが自然です。

Aさん
The man walking over there wears a hat.
訳)その男性は帽子をかぶっています。

 

その一方 put on を使ってしまうと、道端で帽子を脱いだり被ったりする動きをしていることになり、少々不自然な文になります。

今度は「着物を着る」という場面で考えてみましょう。お母さんの着物の着付けを待っているとしたら、着るという動作の真っ最中なので以下のように put on を進行形で使うのが自然です。

Aさん
My mother is putting on a kimono now.
訳)母は今着物を着ています(着る動作の最中です)。

 

このような場面で wear を使ってしまうと、着物の着付けは既に終わっており、お母さんは着物を着ている状態で待機していることになります。いったい何を待っているのかわからない、不自然な状況になってしまいますね。

Aさん
My mother wears a kimono now.
訳)母は今着物を着ています(着た状態で待機してます)。
Bさん
So what?
訳)それで?

 

以上のように、「着る・着ている」という同じ訳語ではあっても、put on と wear には日本語にはないニュアンスの違いが存在します。表したいのが動作なのか状態なのかをしっかり判断したうえで、適切な方を使用しましょう。

put on、wear 以外の「着る」の表し方、類語表現

put on、wear 以外の「着る」の表し方、類語表現

「着る」という意味を表したい場合、上述の put on、wear でほとんどの場面をカバーすることができますが、それ以外にも選択肢が存在します。ちょっと表現を変えたい場合や、より状況に適した表現にしたい場合などは、他の言い方を覚えておくと便利です。

ここでは、「着る」という意味で put on、wear 以外によく使われる6種類の表現について確認していきましょう。

「着る」の類語①:pull on

pull は「引っ張る」という意味なので、pull on で引っ張り上げるように着る動作を表すことができます。急いでいたり苦労していたりといったニュアンスです。

たとえば、ブーツやハイカットのスニーカーを履く場合であれば、通常の靴とは違ってグイッと引き上げる動作が必要なので、pull on がしっくり来ます。

Aさん
He pulls on my boots every morning.
訳)彼は毎朝ブーツを履いています。

 

その他にも、ジーンズを履いたり、コートに急いで袖を通したりなどといったシチュエーションで幅広く使用可能です。

「着る」の類語②:slip on

slip は「滑る」という意味なので、”slip on” で服や靴などに身体を滑り込ませる動作を表すことができます。力を加えず楽に着られるニュアンスです。

この表現が元となり、紐無しですぐに履ける靴のことを slip-on(スリッポン)” と呼ぶようになりました。

Aさん
I love slip-on shoes because I can slip them on.
訳)サッと履けるからスリッポンって大好き。

 

「着る」の類語③:have on

「持っている」という意味の動詞 have を用いた “have on” は、wear とほとんど同じ「着ている」という状態を表すことが可能です。

もちろん洋服以外にも使用可能で、以下のように化粧を表すこともできます。

Aさん
I usually don’t have on any make-up.
訳)普段からスッピンで過ごしています。

 

「着る」の類語④:be dressed

「着せる」という意味の他動詞 dress を受け身の形にした “be dressed” で「着ている」という状態を表すことができます。たいていは後ろに「in + 着ているもの」が付きます。

とはいえ、この表現は誰かに「着せられている」というニュアンスが漂うので、日常会話ではあまり一般的ではありません。「あえて着ている」といったニュアンスを表したい場合に限って使うようにしましょう。

Aさん
My daughter is dressed in a new uniform.
訳)娘が新しい制服を着ています。

 

「着る」の類語⑤:in

前置詞 “in” だけでも「着ている」という状態を表すことができます。全身が中に包まれるイメージなので、他の表現とは違って基本的には洋服にのみ使われます。

in の後ろには具体的な洋服が来ることもあれば、以下のように色だけで「〇〇色の服」を表すことも多いです。

Aさん
My brother is always in black.
訳)兄はいつも黒ずくめです。

 

「着る」の類語⑥:don

ちょっと発展的ですが、「着る」動作を表す “don” という動詞も存在します。代動詞 do とput on、have on などの on が合わさった “do on” が縮まって生まれた単語です。過去形・過去分詞形は “donned” です。

Aさん
The cool guy donned his jacket and went out.
訳)そのかっこいい男の人はジャケットを着て出て行きました。

 

まとめ

今回は、「着る」というテーマで確認していきました。

「着る」という動作を表したい場合は put on、「着ている」という状態を表したい場合は wear が適切です。9割方はこれら2つの表現で表せますが、もう少し表現に幅を持たせたい場合は、pull on や be dressed など、その他の表現も少しずつ織り交ぜていきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!