今回のテーマは「変換」です。ひとくちに変換といっても、言葉や文字を変換するのか、形を変換するのか、はたまた単位を変換するのか、その対象によって意味合いが大きく異なってきます。
英語で「変換する」という意味を表す単語は全部で4種類。今回は、その1つひとつのイメージや意味の違いを詳しく確認していきます。
これを読めば、変換を表す単語を適切に使い分けられるようになりますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
「変換する」は英語で何て言う?
「変換する」を英語で表現する場合、”convert”、”transform”、”translate”、”change” のいずれかが使われます。
日本語にした場合は同じ「変換」でも、4つそれぞれに少しずつニュアンスが異なります。1つひとつ詳しく確認していきましょう。
変換する①:convert
単位など、表現の仕方を変換する場合は “convert” が適切です。発音記号は「kənvˈɚːt(kənvˈəːt)」、カタカナだと「コンヴァート」といった発音になります。
「AからBへ変換する」という意味で使う場合は “convert A into B” と言います。convert に限らず、今回ご紹介する変換系の動詞はすべて into を伴いやすいです。ぜひ覚えておきましょう。
convert はもともと「クルッと向きを変える」という意味です。たとえば、右を向いている人が左に向きを変えたからといって、その人自身は何も変わっていないですよね。変わったのは向いている方向だけです。
つまり、convert が変換するのは見かけだけで、本質はそのままであることが多いんです。そのため、単位などの表面だけを変換する際によく使われます。
Please convert Fahrenheit into Celsius.
訳)華氏を摂氏へ変換してください。
温度の単位を華氏から摂氏へ変換したからといって、温度自体が変わるわけじゃありませんよね。
You must convert dollars into yen.
訳)ドルを円に変換しなければいけません。
ドルから円に変換したところで、お金の価値自体は変わりません。見かけの単位が変わっただけです。
変換する②:transform
パーツを組み替えるなどして、形自体を変換する場合は “transform” が使われます。発音記号は「trænsfˈɔɚm(trænsfˈɔːm)」、カタカナでは「トランスフォーム」となります。
trans- は「~を超えて」、-form は「形」という意味なので、transform で「形を超える」であるとか「変形」という意味を表します。そのため、要素を組み合わせるなどの数学的な変換に多く用いられる傾向にあります。
Please transform Formula A into Formula B.
訳)Aの式をBの式に変換してください。
数学における式変形は、1つひとつの要素の組み換えです。形がガラリと変わってしまうため、専門知識の無い人にとっては同じものには見えなくなります。
This system can transform water power into electricity.
訳)このシステムは、水力を電力に変換することができます。
水力と電力は組成がまったく異なる力です。それらを変換するためには、要素に分解して再構築する技術が必要になってきます。
変換する③:translate
ある言語を他の言語に変換する場合には “translate” が使われます。発音記号は「trænsléɪt」、カタカナだと「トランスレイト」といった発音になります。
trans- は先ほどと同じく「~を超えて」、-late は「運ぶ」という意味なので、translate で「(言語の壁)を超えて(メッセージを)運ぶ」、つまり「翻訳する」という意味になります。
He translated the book from English into Japanese.
訳)彼はその本を英語から日本語に変換しました。
英語と日本語という言語の壁を超えているので translate が適切。しかし、「平仮名から漢字へ」といったような同じ言語内での変換の場合は translate は使われません。
そのような場合、日本語という本質はそのままに表記方法だけが変わるため、convert を用いるのが適切でしょう。
This smartphone can convert hiragana into kanji smoothly.
訳)このスマホは平仮名から漢字への変換がスムーズなんだ。
変換する④:change
「変える」という意味で有名な change は、どのような変換も表せる万能選手。ここまでご紹介してきた convert、transform、translate のいずれの場合も change で言い換えることが可能です。
とはいえ、便利だからとすべて change で済ませてしまうと、個々の変換の違いが表現しにくくなってしまいます。可能な限り convert、transform、translate の3種類を使い分けて、change は困ったときの最終手段に取っておくのがオススメです。
My mother is good at changing her sadness into her happiness.
訳)母は悲しみを幸せに変換するのが得意です。
悲しみから幸せに変換するのは、見かけだけの変換なのか、要素の組み換えなのか、はたまた翻訳なのか、よくわからないですよね。このような場合は change という伝家の宝刀に頼ってしまいましょう。
番外編:予測変換
携帯電話の予測変換は、英語で “autocorrect(オートコレクト)” と言います。auto は「自動」、correct は「正しい」という意味なので、自動的に正しいものへ変換してくれるということですね。
自動で正してくれる分にはありがたいものの、実際は自動で誤った形に変換してくれちゃうことも…。そのような予測変換による誤変換のことを英語では “autocorrect fail” と呼びます。「自動補正 失敗!」といったニュアンスですね。
また、よく言う略語でDYACというのがありますが、これは “Damn You Auto Correct(予測変換の馬鹿野郎)” という意味。国と言語は違えど、どこも同じような状況なことがわかりますね。
I want to be strange.
訳)奇妙になりたい。
I typed strong, not strange! DYAC!
訳)強くなりたいって打ったつもりなのに、奇妙って何だよ!予測変換のバカ!
まとめ
今回は、「変換」というテーマで確認していきました。
変換という意味の単語は convert、 transform、 translate、 change の4種類。前者3つはそれぞれにニュアンスが異なっていて、change はすべての代わりをすることができる万能選手でした。
物事の変換の仕方は人それぞれ。どれが正解かということに縛られ過ぎず、イメージを大切にしながら、それぞれの単語を積極的にコミュニケーションに取り入れていってください。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!